はい。
毎年のことではありますが、フリンジで3−4週間上演された多くのコメディがこれから(一呼吸おいて)イングランドの首都ロンドンへ、さらに英国中を駆け巡ります。
随時アップデートとして行くつもりです。今発表されているもの&ロンドンで観れるもので、おすすめまたは気になってるもののリンクを下記に貼り付けまくっているのでどうぞご参考にしてください。はい。
毎年のことではありますが、フリンジで3−4週間上演された多くのコメディがこれから(一呼吸おいて)イングランドの首都ロンドンへ、さらに英国中を駆け巡ります。
随時アップデートとして行くつもりです。今発表されているもの&ロンドンで観れるもので、おすすめまたは気になってるもののリンクを下記に貼り付けまくっているのでどうぞご参考にしてください。2年ぶりのエディンバラ・フリンジ。ついに本日で終わり。(明日もやる芸人さんもいますが)
この数日間見てきたなかで、特にご紹介しときたいもの2本。です。
Nic Sampsons Marathon 1904
https://tickets.edfringe.com/whats-on/nic-sampson-marathon-1904
コレは、本当に良かった。1904年にアメリカで開催されたオリンピックマラソンの実話エピソードをベースにしたオーラル・ストーリー。。キエランくん(Kieran Hodgson)の作品群 を思い起こさせるスタイルです。ある意味クラシックだけど、一人全役をこなし、芝居部分が多いので、芝居構成とか役者としての高い技量がないとできないタイプ。だから実際あんまりこの手で注目を集めるコメディショー自体がない、と思います。(→1日に3000以上公演されてるんで、数はあると思うんですけど、注目集めるところまでいかない、ってことで)
お客さんとのインタラクション、特に客の招き入れ方もうまかったなぁ、と。客が即興をやらないといけないシーンがあるんですけど、客の投げた球を、上手に拾ってショーに取り込みつつも、ショー自体は壊させない。小さいハコ(60-70人くらい?) で午後4時半過ぎだから、質の良いお客さんたち少人数っていう環境だから、というのもあるかと思いますが。
実話がベースなので、情報にもなりますし、本当に良作です。
Josh Glanc Vroom Vroom
https://tickets.edfringe.com/whats-on/josh-glanc-vrooom-vrooom
まるでモチベーションが高まるどころか、不安にさえさせてくれるPR写真だった一方、紹介欄見ると、
Adelaide Fringe Best Comedy Weekly award winner 2018 and 2019. Perth Fringe Best Comedy award winner and nominee of the Arts Editor Award. 'Master of craze' **** (Guardian). 'Absurd and dynamic' **** (Fest). 'An extraordinary talent' **** (Scotsman). As seen on Australian television: ABC and Network 10. 'Wonderfully offbeat nonsense from one of Australia’s most exciting rising stars' ***** (TheWest.com.au). 'Impeccably well-crafted silliness – and it’s that which makes him one of the smartest comedians on the scene.' ***** (Advertiser, Adelaide 2022).
もうコレは外せないやつじゃないですか! よく考えれば、こーゆー写真とオレの感想のギャップは ニック・ヘルムでさんざん経験済み。持つべきものはオレレベルのコメディ・ギークの友です。
ちなみにJosh Blanc、何しろ写真が「コレ」なので、客層がMonkey Barrelではあんまり見かけないポーキーな男性がフヨフヨしてまして。何を期待していたのかわかりませんが、この点も8−10年くらい前のニック・ヘルムの客層タイプと似てたw
ショーは、特にストーリーがあるのではなく、ソロ・スケッチの連続アワーで、音楽とリズムの使い方がめちゃくちゃ上手い。無駄にすごいある歌唱力で、ちょっとしたキャッチ・フレーズを作っていきながら、次第にビートを入れていき、歌い出す、っていうネタを要所要所でインサートして、キュッと全体を締めてます。キレがめちゃくちゃ良かったです。
プロップいっぱい。事前に仕込んでるボイス・オーバーを利用して、自分の内心の声や客の内心の声、それからプロップの声をきかせる、という演出効果によって生まれる笑いが卓越してましたね。「あいつ最低!って叫ばなきゃ!」と客の内心の声が流れて、お客さんが叫ばなきゃいけなかったり。
もひとつ例を挙げると、気がつくと、人形が客席に座ってるんですが、その人形が「もうこんなのつまらなすぎるからハコから出たい。隣の人、お願い、私を連れ出して!」って言うんですよ。設定としては心の声。で、隣のお客さんが人形持って出て行こうとすると「ちょっと待って、あんた何やってんの?!」ってジョッシュさん止めに入る、っつーw これ何回か繰り返すんですよ。客が本当に猛ダッシュして人形連れ出すまで。仕込みじゃないんで、めちゃくちゃ面白い。
6年前まで弁護士だったんですって。クラシックですなw
ノミネート発表をレポートしたポスティングはこちら。
http://www.gojohnnygogogo2.com/2022/08/2022-edinburgh-fringe-2022-2022.html
で、受賞者が発砲、じゃなくて(→オートコレクト)発表されました。
Congratulations to the winner of Dave’s Edinburgh Comedy Award for Best Comedy Show 2022 Sam Campbell 👏🎉 pic.twitter.com/ei9LmtzXX5
— Dave's Ed Comedy Awards (@ComedyAwards) August 27, 2022
息をするかのようにチェックしているTwitterを仕事終わった瞬間にチェック。ロイヤル・マイルで、「ウソだろマジか!」と、悲鳴をあげたアジア人を見かけたら、それは紛れもなく、オレ様です。
断続的に怒涛のように推して推して推して推して、推しまくってはや4年のオレが、マジかよレベルで驚くのもどうかと思うのですが、本人の昨晩のライブでの様子を見てると、本当に受賞してよかった😭👏👏👏🙌!!気分は絵文字を入れるくらい浮かれている!!!
あと、大親友のアーロンくんのTシャツ着てる所に感動です。ものっすごいエモ入ってます。
何しろ、今まで自己パトロールベース&自分発信ベースでみなさまのTLへ垂れ流してたサムくん情報が(Twitterやってない典型的な若者なので)、あっちもこっちもわっしょいわっしょい、ウソだろーレベルでオレのTLを埋めまくっている状態ですよ。この、受賞した途端に手のひら変えたように取り上げるメディアたちめ・・・。いいんですけど。いいんですけど!!!
というわけで、2回見に行っちゃったので、そして、2回目鑑賞後は、3回見てもよかったんじゃねーかくらいな気分になっている今回の受賞作について追加の忘備録です。
8月16日に鑑賞後の忘備録はこちら。
http://www.gojohnnygogogo2.com/2022/08/edinburgh-fringe-2022-2022prsam.html
8月26日に鑑賞後の追加忘備録は、下記の通り。
1)やっぱり16日は新作ほやほやだったことがわかるほど、今回はすっかり出来上がってました。例えば、もうちょっと広い年齢層やオーストラリアのローカルネタにピンと来にくい客層がアクセスしやすい補助を入れてたり、ネタを入れ替えたり(グーグルのネタが最後じゃなくなってた)。
2)とにかく、仕事が早い! ちょこちょこネタを差し替えてて、26日はノミネート後だったので、まさに、渦中の「2週間公演でノミネート」に真っ向から猛毒をはいてたり、エディンバラのゴミ問題に茶々入れてたり。そのスピードと生産力に、今更ながら絶賛するしかありません。
3)とにかく、ノリノリで嬉しそうだった。それ観てめっちゃ嬉しかったです
4)Paul Williams さんとMark Silcoxおじさんのカメオに加え、Dan Rathも追加投入。最後にDan Rath出て来たときは、さらにやったー!感が激増でした。
5)一般客と芸人客の割合と、有名人の量がちょっと・・・レベル越えで思わずおおおおお。でした。だってエドガー・ライト監督とかマシュー・ベイントンとかジム・ホイックとかごっそり。あの芸人さんもこの芸人さんも(そりゃ同じ町にいてノミネートされたショーやってれば見にいくよね 汗)わんさかいて、ナンジャコリャ状態。コレが沸点きてる芸人さんのマグネットパワーか、とブルブルしました。
別に受賞してもしなくても、この芸人さんの才能とコメディ界内でのインパクト、そして次世代ライブコメディシーンへの希望の大きさはすでに相当だと信じて疑わんのだが(ゆえにノミネートで十分オーケーと思っていた)、やっぱりMilestone的にあったほうが、そりゃいいよねぇ。そして受賞は、やはり大きな力が認識する。しかも1万ポンド、ゲット。
ワクワクしてます。
ハイここ→ https://www.comedyawards.co.uk/
すいません、いつの年からか、推しがノミネートされないとガン無視するようになってしまい、2016年以降(ガッド年&豪インディ・コメディ目覚め年)、実際なかった2年間を含め、6年間も記事におこしていないFringe Comedy Award (元々はペリエ・アワード)ですが、みなさまご存知、ここ数年オレとコメディといえばの、サム・キャンベルくんがなぜかノミネートされたので、記事にしたいと思います。
なぜ、推しなのに「なぜか」と言ってるかというと、サムくん、フリンジ期間中の半分(2週間)しかやってないから。今までだと、リミテッド・ランは対象外なんですよ。新作でリミテッド・ランてのが結構珍しいケースであるせいもあるんですけど。(フリンジってもともと開催期間が3週間ちょっとだったので)3週間強、頑張り続けるからこそ、得られる「対象内」の権利だった、というか。
確か過去に一回この点が問題になって、審査側がはっきり明記した記憶があります。(→あとで確認します)
というか、もっと、へ???って思ったのが、Liz Kingsman。彼女は2021年に発表していたショーで、サムくんよりも短い期間。(12日間)すでにレビューも出揃いまくってるわ、ハコはTraverse Theatreだわ。
「??」っとなってる芸人さんたちも、ちらほら見かけています。(名指ししないほうがいいと思うので、控えます)
というわけで、大変気になって、ELIGIBILITYを調べてみちゃったところ、ああ、なるほど。過去2年のせいで、ルール変更してました。
1)8月18日までに公演開始していて、18日から26日までの間で最低8日以上行なっているもの。または、8月18日以前に公演を開始してる場合は、19日−16日までの間で5日間公演すればよし。
2)2019年のエディンバラ・フリンジ後にオリジナル制作したものが新作とみなされる。(つまり2021年の制作発表ものは対象内になる)
・・・この変更点についての、個人の意見は控えておきます。
そんなこんながあり、のノミネート発表です。
ラインアップもここ数年おなじみの、とってつけたような「ダイバーシティわかってます!」ってドヤ顔で、(どちらかというと、アーティストたちをサポートするっていうんじゃなくて)、審査員自分たちをアピールするためってか。いや、ノミネートされてる人たちみんな素晴らしいのでそこは誤解しないでください。審査員の選び方が、自分を守るため感強いって言ってるんです。(だって実際には経費とかPRとか、まるで全然、演者をサポートしないんだもん。ほっといてるだけ。)
しつこいようですが、サムくんがノミネートされとらんかったら、マジで今年もスルーだった。
てか、白人+独身+若手+男子というThe Weakest Linkの決定版みたいんのが、何の苦悩や葛藤や問題も盛り込まない出来立てホヤホヤの新作で、よくもまあ、ノミネートされましたよ。この時点ですでに勝ち同然ですよ。
というわけで、以下、ノミネート者とコメント入れときます。
Inventing the 4 cheese pizza pic.twitter.com/Eq5ARMoz5K
— Josh Pugh (@JoshPughComic) March 7, 2022
大変気に入りました。
https://festival.summerhall.co.uk/events/feeling-afraid-as-if-something-terrible-is-going-to-happen/
もともとSamuel Barnett(日本語ウィキがめっちゃ充実してる!!!)好きなのでチェックはしてたのですが、スペースでNaviさんとフリンジ作戦会議をしていたときに、「これはフリーバッグの舞台と同じプロデューサー」と確認。フリーバッグの(舞台の)制作といえばガッドさんのBaby Reindeerなので、とにかく、とにかく、とにかく行かなければ、となったのですが、じつは、ブラーブ読んで、もう一つ別の理由で大変興味ができ、その意味でもこの作品に一層の興味がわいたのです。
フリーバッグにはコメディ民の間では、ニッチなメタ・ジョークがありましてw。
フリーバッグの騒がれ方の1つに「(初めて?)客に視線を合わせてダイレクトに語る, 演者が客を認識してパフォーマンスが進行する」ということだったじゃないですか。Breaking The Fourth Wallっつって。
シアター界がライブコメディ界をパフォーミング・アーツから除外する、というかガン無視してるからでw。実際パンデミック中でもアート・カウンシルや政府機関の助成金が劇場や劇場関係者には降りるなか、コメディ関係は圏外になったり、なりかかったり。「アート」として認識されるのに鬼のように大変だったのも記憶に新しく。
なので、「フリーバッグが(初めて?)客に視線を合わせてダイレクトに語る, 演者が客を認識してパフォーマンスが進行する」と騒がれるのは、暗黙のメタ・ジョークにつながるんです。
で。今年。コメディ界の(いろんな意味で)スペシャル枠、スチュワート・リーがいつものように新作に向けてフリンジ中毎日Work in Progressをやっておるのですが、「今回は、なんとなく方向性として、スタンダップとは何か、について話をしようと思っていて・・・」って、やるんですよ。この「フリーバッグ」ネタをwww マジで死ぬほど笑いましたけど。
そんななかでの Feeling Afraid... は、スタンダップ・コメディアンの話。制作側が(スチュワート・リーの新ネタは知らなくて当然ですが)この一連の経緯を知らないわけないと思うんですよね。だからってこのことは芝居の制作にはまるで影響してないと思うのですが、主人公がスタンダップコメディアンなので、コメディ民が考えてることと結構近いことを探求してると思うんですよ。
で、ストーリーのドラマ性と、それをデリバーする役者さんのうまさはさておき(?)、上記の点に焦点をおいて、特記したいのは、「スタンダップ芸人がオーディエンスに向けてパフォーマンスする」「スタンダップ芸人がネタの準備(稽古)をする」設定の2レイヤーをなんの違和感もなくスムーズに移動してストーリーが語られていくところです。「もっかいはじめっから」とかストーリーに登場する人物の名前をその場で決める様子のところとか、暗転とかライトチェンジとか。こういうマイク一本、ストール一個のみの(つまり、スタンダップのw)「芝居」において、何かしらのストーリーを展開するときって、こうした何かしらのパターンって本当に重要ですよね。(→って、そのあとみたショーを観てなおさら思ったんです汗)
ストーリーは最後のほうでぐっときて泣いちゃいましたけど、ハートウォーミングで終わります。このストーリー展開も、賞取りレース狙う系のフリンジコメディでは、ここんとこ7-9年近く王道の「軽めに入って、いろいろあって、40分くらいでドーンと重くなって、最後感動して(ハートウォーミング的なところもいれて)終わる」にちゃんとかぶせてる感じw メタメタやんw
いやいや、ほんと、こういう意味でも面白かったです。
注:エディンバラ・フリンジとか、モントリオールとかのキーワードのせいで、初めてこのブログに来てしまった方は、すいません。ここは、サム・キャンベル絶賛大推しページになります。しかも何も背景を説明していないので、もしご興味があれば、こちらがよくまとまっているかと思います。
また、ショーについての【感想および忘備録】は、この記事の2/3 くらいまで、スクロールダウンしていただくと、でてきます。(すいません、まだ上手に別のパラグラフに飛ばすことができません・・・) あと、2回見に行ってて、2回めの忘備録はこちらです。(2回見たあと、3回見てもいいと思ってる)
あらためて、スタート。
[ 8月13日エディンバラに降臨]
ほんとに、フリンジが始まる前から、話題騒然だったんですよ。
いや、オレだけじゃなくて。もともとJoz Norrisくんが発見。自分のこともツイートするのが面倒臭い芸人さんたちが、反応したっていうところがすごいんです。
Oh my goodness this is great pic.twitter.com/HOnEqNSbra
— Joz Norris (@JozNorris) July 31, 2022
Pleasance と Cowgateがかち合う角にバカでかいサイズのポスターにあるのは、携帯でとったのばればれツーショット。ショーの情報一切なし。知らない人がみたら、ダレこれナニコレ状態。
相手のおじさん、Chortleのベネットさんです。英語圏コメディ界のジョン・ラスキンですよ。ちくしょーと心底思いながらも、ベネットさんとThe Chortleの仲間たちの評価に一喜一憂するのが8月のコメディアン。
街中に3000以上の演目が1日で開催され、少しでも客寄せできるようにと、ショーの宣伝ポスター貼ってフライヤー配って、レビューの引用入れて、獲得した星入れまくって・・・と間違いなく、演者もプロダクションも全員がPRを行っているなか、コレですよ。
普通の笑顔のツーショットですけど、過去にベネットさん他影響力のあるレビュアーの頭を(デジタルで)ぶちぬくという芸風を考えるととても、「オレ、ベネットさんと仲いいんだぜ(ドヤ)」の方じゃないことだけは確か。
シビれます。
オレだけじゃない。みんなシビれてます。(Jozくんツイートのスレッド見てください)。
PR苦手だからこういう発想になるんだろうか・・・
ショーの宣伝も頼まれなくても、騒ぐ(一部の)芸人さんたち。今ではすっかり大人気の売れっ子になってしまったFern Bradyちゃんも
#edfringe recommendation: I saw this in Montreal the other week & nearly had to walk out as I thought a valve in my heart would pop from laughing too hard. Haven't laughed that much since Kim Noble's show about 6 years ago: https://t.co/dJ9Dl7AIRD
— Fern Brady (@FernBrady) August 12, 2022
あぶそるーと・らいおっと、て言ってますよ、ヴィットリオさんも。「the Mythical Beast」っていいネーミングだっ!!気に入った!!
Saw the mythical beast that is Sam Campbell’s show yesterday.
— Vittorio (Find me on the Fringe App 😎) (@thatvittorio) August 16, 2022
What an absolute riot. The first half hour had me completely folded in two.
Best poster at the fringe and a guaranteed crying laugh at midnight.https://t.co/WyvJAwa1Eh
Also Sam Campbell is so so so so SO funny. Go!!
— Celya AB (@abcelya) August 16, 2022
【というわけで、8月16日】
1)久々に、これだぜ深夜のフリンジ・コメディは!という空気です。
2)昨年やってたCompanionはコロナのせいもあって、公演回数はめちゃくちゃ少ないはずなのだけど、小ネタ1本(Barbarネタ)以外、すべてばっさり過去に葬って、完全新作。潔すぎます。
3)醍醐味の1つとしては、インタラクティヴなパワポ系スライドを大活用して、コメディ・ギークネタやナンセンス・リファランスで猛毒を吐きまくることなのですが、今回フリンジの後半戦からの公演のせいか、今年のフリンジ、コメディ・シーンで起きている(だいたい毎年いろいろ起きるんだけど)問題をボロボロと思い起こさせるさせるような(例:Jerry Sadowitzがキャンセルされちゃった件、Matt Fordeのショーに赤ちゃん連れて1番前に座った夫婦が赤ちゃん泣いても動かなかった件、)ネタがぶち込まれていて、天井も床も揺れる勢いで笑いが。この芸人さんは、事前にネタを仕込んでいる場合は、絶対にダイレクトにリファランスかけてこないので(例:「最近の〇〇だけどさー」みたいな、やつです)相変わらずジョークはダブル・トリプル・スタンダードのクオリティ。そして改めて、仕事はやっ!!
4)例えば、冒頭からの「エラゴン」そして後半戦に向けてのトーン替え「Bratz」、後半のクライマックスでの「シュレック」、そして小ネタ時の「アバター」。このサンプリング・チョイスのブレなさに、震えます。センス。パンデミックで年齢層を問わずオンラインの面白コンテンツの浸透率が上がったこと、この2-3年でGenZが18+客層に含まれるようになったことが背景かもですが、さんざんミームやYOUTUBER、TikTok連中にもてあそばれているリスキー・エリアに思いっ切ってふりきり、ミーム文化を凌駕するサム・キャンベル・ワールドをガッツリ!展開する。
これを最前線で爆走してやれているのは、彼も入ってるJunkyard Comedyの芸人さんたちだと思う。もともとオンライン系からきている人たちだからかも。残念ながら、イギリスには、世代の違いによる真の笑いの垣根をぶっ壊すことに成功できている(そこそこ知名度のある)芸人さんがいない気がする。「あいつらはあいつら」「オレには向かない」というスタンスで、距離をおき気味というか。
ちなみに、今年、フリンジに結構Tik Tokスターが1hショーやりに来ているんですよ。たぶん初めてなんじゃないかな。オレは地元のことしかしらないけど、Paul Blackを見に行ってます。チケットは数カ月前から完全に売り切れちゃう。PR力半端ないから。今後、ライブ・コメディ・シーンの絵図が変わってくるかもしれないです。
5)後半で3回くらい窒息して死ぬかと思うくらい笑いました。たぶん会場全体が爆ウケしすぎてたと思う。けど、あとでやっぱりコメディ・ギークをターゲットに0.01ミリたりともブレずに射撃してくるリファランス(例:Mock the Weekの件)なのかも・・・と同行者の反応で思いました(汗)。
6)今回も仕込み芸人さんがいて、Mark SilcoxおじさんとPaul Williams。エディンバラにサムくん来る&この2人も来る!ってわかったときに、コラボをめちゃくちゃ希望していたので、観れてよかった!!!
7)というわけで、今回のショーは、行列のできる名物ラーメン屋さん、みたいな感じで、「オレのラーメン」がたまらないぜ、っていうお客さんが喜べばいいや、系かも。ただ、どうも様子をみてると、新作ほやほやっぽく、最後に「こんなもんで50分たった? みんな、どうだった?」とか「今日はa group of important peopleが来てて、緊張しちゃってて」って言ってた。たしかに、前に2回観たときとは違って、あれ?緊張してるっぽい・・・と思ったんで。このa group of important peopleがパーソナルに重要な人とその仲間なのか、それともベネットさんとその仲間なのかw 。26日に見に行くときには、微調整して完成度がさらに高い可能性高いと思いました。
頭疲れるんです。これが見たくて生きて来ましたみたいな本命とか濃厚なのばっかり、見てると。みんなもオレも力入りすぎ、ってか。
Sunil Patel: Faster Horses
https://tickets.edfringe.com/whats-on/sunil-patel-faster-horses
コメディってオフビートでサクッと徒然なるままに観ちゃうっていうのも本来の姿じゃないですか。
肩こりしないけど、クオリティ高く楽しめる1時間。意外と少ないかも。
その意味で、Sunil Patelさんの1時間、パーフェクトでした。
【Sunil Patelさんも初紹介なので、簡単に】
ここ10年くらいのキャリアの芸人さんです。BBC New Comedy Awardで注目されてから、TVコメディ、オンラインコメディでもちょこちょこちょこちょこ出てる人です。数えるときりがない。ものすごく最近見た、Jordan Brookesさんが作ったChannel4のComedy Blap(パイロット的なもんでもある)にも出てた。(↓これ本当に素晴らしい作品だったです)
【ちなみに、内容】
パテルさんのキャリアの話です。お母さん、つい最近までパテルさんの職業知らなかったんですって。それには、パテルさんの大学卒業後の最初の職務経験のせいで、お母さんはパテルさんに仕事について何も質問ができなくなった経緯があるから。そのトラウマ的体験がどうだったのか。その後フルタイム芸人になる前まで、どんな仕事をやって来たのかを、語ります。
ただ、その合間合間に、細々とリトル・ブレイクがあり、その間に、パンデミック中に思いついた新しいビジネス企画を発表。お客さんの大半がそれはアリ、と言ったらベルをちぃぃぃぃぃん!って鳴らす。
めちゃくちゃまとまってて楽しかったです。ショーの最後に「実はこうやって新しいビジネスアイディアをステージ上で発表してたら、ある時、それを聞いていた(そのビジネスの)関連会社がアプローチして来て、なんと、実現化することに。そのビジネス企画とはどれでしょう???」と、エクストラな楽しみもありましたw
これは新たな期待の星が。
Tom Little Has Good Reviews So Prepare to Be Impressedhttps://tickets.edfringe.com/whats-on/tom-little-has-good-reviews-so-prepare-to-be-impressed
【自分も彼のキャリア詳細がわかってないので、紹介入れます】
ローカル(カンブリア出身らしい)での活動を計算すると芸人キャリア7年くらい?っぽいです。が、2016年はLeicester Comedy Festivalが開催する恒例新鋭芸人アワード受賞していて、2018年にエディンバラきたときはAmused Moose Comedy Awardの新人枠ノミネート。さらにパンデミック中に、頑張ってSNSと現場で活動したのが功を奏して、知名度がコメディ民の間で爆上がりした感じです。
というのも2021年にエセ・ミニ・エディンバラ・フリンジがあったときに、フリーフリンジで毎日猛進していて、(演目少ないんで)レビュワーの注目ガッツ集めて、そのチャンスを逃さず、着実にキメてったんですよね。
いろんな理由からフリー・フリンジにチャンスさえあればブレイクする的な才能の塊みたいな芸人さんが集中したのが7−9年前。その後、フリーフリンジから席をギャランティするためにプリペイドとのコンボを設けるシステム&プリペイドにシフトする傾向になったのと、大手(Pleasance, Assembly, Underbelly)ほど演者も客もコストをかけなくてもいいMonkey Barrelが到来してくれたので、クオリティの高い1hショーをやる技量を持つ芸人さんによるフリーフリンジが下火になったんですよね。そんなところにパンデミックがきて・・・今年。
あんまり回ってないけど、このショートクリップたちは相当笑えると思います・・・
THREAD!
— Tom Little is doing EdFringe (15.45 at Subway!) (@ThisIsTomLittle) September 23, 2020
I make a lot of silly videos for Twitter, so please follow me and retweet if you like them. Here's some of my best, starting with my version of the Grandstand theme tune. Thanks. pic.twitter.com/1ZZJjQt0e9
あと、このクリップ見る限りでは(多分Sunil Patelと共同執筆してると思うんだけど)、相当のインテリです。
確かに、インタビューで影響を受けてるのがStewart LeeとかJohnny Vegasっていってる・・・もともとコメディドラマとかを書きたくてこの業界に入ったそう。だけど、スクリプトをあちこちに送ったところで、誰にも読まれず、反応も得られず終わっちゃう。でもスタンダップだったら、書いたジョークをすぐに発表できて、反応も得られる・・・というわけでマイク一本の世界に入り込んだ、とのこと。
【感想】
ショーが始まる前15分前にはラテ片手に会場に到着してたのですが(注:会場の向かいがUnderbelly。そこに街で人気のMimi's Cupcakeが出店してて、コーヒーとかケーキとか買えるのです。おすすめ)その時点で既に長蛇の列。もうちょっと遅かったら中に入れないほどの人気ぶりです。会場のキャパは175人だそう(立ち見も含め)ギリギリ入れる組だったので、立ち見で1h見ました。
午後15時45分開始のショーではあるのですが、週末土曜日のフリーフリンジで「コメディ」をみるつもりで来るお客さんのタイプは、保証できない。ということもあってか、セルフ紹介(ステージに上がる前に自分で「Please welcome, XXXXX!」的なMC入れる)なしで、いきなりステージに上がってきて「ハロー!」と客の意表をつく冒頭。
「ここに来てる人たち、みんないい人だよね? オレ、すごいナーヴァスで、強気なタイプじゃないから、そんな人間に対してみんながいい人だってのわかってる! だから普通だったらオープニングでは通常(確実に笑える)強いジョークを持ってくるんだけど、オレはそれやんない」っていう、いい感じの強いジョークで始まりましたw。
やんちゃなランドセル小学生系をイメージしてたのですが、本人言ってる通り、ナーヴァスでプレッシャーに弱い社会の弱者的印象で、ちょっとびっくり。ただ、そのイメージとは反対に、ズケズケとした内容をすごいスピードでまくし立てるんですよ。ショー中の頭の回転速度に口が追いついていけてない? それとも、もしかして、スタッター持ち?と思ってしまったほど。ガチ緊張で荒削りと考えるか、このショー用のパーソナを作り上げてた、と考えるかは、次回にこの芸人さんを目撃した時に判断できるかも。というのも、帰って来てから、この芸人さんのクリップを視聴したけど、同じネタ喋っている(ヨーグルトのネタとかカンバーランド・ソーセージのネタとか)のに、こんな喋りのスピードも持ってないし、メンタル弱い社会の弱者っぽい感じじゃないんですよね。フリー・フリンジの現場にもすでに慣れていて、ほぼほぼ全て想定内なはずだし。
どちらにしても、オレにとってはポジティブ・サインです。面白いパーソナを作っている気がする。
ネタの内容もパンデミックやら子供の時の話やら大変よくあるがちな導入口から入るんですけど、それはただの導入口なだけで、全く違う世界が展開します。実体験から着想を得た、完全なフィクションの世界(電車の中でたまたま向かい席に座ってた女性と結果的に付き合うことになったけどその人94歳、みたいな)なのだけど、他の芸人さんより臨場感度がめちゃくちゃ高いです。この容姿振る舞いだと、こんな目にマジであってそう、という。ここを計算していての、パーソナづくりじゃないか?と推測していますが、次回の新作で確定しそう・・・。つまり次回も見る気満々です。
この芸人さん、もう一つ、自分がMCになってTom Little and the Best Comedian He Can Getsというミックスビルのショーも夜にやってます。PR費とか、コネクションがなくて、箸にも棒にもかからない状態なフリー・フリンジの芸人さんたちが、彼を通して認知度を上げることができるかも。
この雰囲気は、新しい風を起こしてくれそうな、非常にいい感じです。というわけで、非常に長くなりましたが、注目したいと思っています。
ここ数年、好きな芸人さんたちと一緒に活動してたせいで、ずっとソロ・ショーを見たかったんですけど。
https://tickets.edfringe.com/whats-on/mark-silcox-i-can-cure-perfect-and-arena-ready-show
シルコックスおじさん。多分、知名度が上がったのは、ジョー・ライセットくん(さん?)の番組、Joe Lycett Got You Back (Channel4)でサイドキックとして登場してからではないかな?と思ってます。
パンデミック中から、特にサム・キャンベルくん(以下SC)とのコラボが異常に多くなってしまい、優先順位が爆上がりしてしまったのが、今回観に行った主な理由です。すいません。
一部紹介↓
またかよ、またSCなのかよ、なのは重々承知なのですが、彼のオンライン上の活動により積み重なったほぼ2年分のバックログを消化することが、何しろ最優先なのです。芸人マグネットのエディンバラ・フリンジでしか見れないやつばっかりなのです。
【内容の前に、感想】
・・・ジョークとかコメディとかショーとか、そういう以前の話で、めちゃくちゃ笑いました。芝居でもコメディでも、鑑賞するときに、オレは何かしらの「視点」でデコーディングをするのですが(注:このデコーディング作業とオレが個人的に面白いと思うかどうかはまた別の話です)視点とかそんなのどーでもいい、問題外のショーなのです。
通常は、二度と観れない一回かぎり系でないと、ネタバレしてレポートしないのですが、Mark Silcoxおじさんのこのショーは、何が起こるかわかって行ってもめちゃくちゃ楽しめる、とエグゼクティヴ・デシジョンにより、ネタバレすることにしました。じゃないと、なんでオレ的に爆笑だったのか、まるで説明できないんだもん!しかもこれネタバレしないと、低評価になっちゃいそうなの。
(オレが行ってた日、若いにいちゃんのレビュワー入ってたんだけど、険しい顔してたから、出てくるレビューが怖くて怖くてしょうがない・・・)
【内容は・・・超・ネタバレです】
1)ちっちゃい会場内に入ると、センターにいろんなものが置かれておりまして。いくつものタッパーとかティーバッグとかケトル3つとか卵とかゴソゴソと。お客さん多分全部で50人くらいかなぁ?もうちょっと入るかもしれないです。とても狭い会場です。
2)今回のショーはタイトル通り「ワタクシが治します」なので、シルコックスおじさんはドクター・シルコックス。お集まりいただいた方々へより良い健康を、というコンセプトのもと、体にいいもの、比較的医学・栄養学的な話を、写真や絵とともに(→A4サイズの紙にプリントアウト、ラミネート加工)みんなに見せて説明していきます。会場狭いですけど、まるで、よく見えないです。
3)体にいいもの、として真っ先にタンパク質が紹介されるのですが、そこで「みんなにChick Peasを・・・」とタッパーを取り出します。その中には、事前に準備していた水でふやかし+茹でてきたひよこ豆が。ドクターはおもむろにそのひよこ豆を一つ目のケトルにぶっ込み、お湯を沸かし始めます。(この間一切喋りません)
4)「ゆで卵も欲しい人はいますか?」と客席からゆで卵の希望者を募ります。ドクターは希望者全員分の数を数え、その人数分の卵を卵パックから取り出し、2つ目のケトルに卵をぶっ込み、お湯を沸かし始めます。(この間一切喋りません)
5)お湯が沸いてもゆで卵ができるまではそのまま10分放置するのだそうで、お湯が湧いた後もいいしばらく、ラミネート加工されたA4の紙とともに、今度は咳について話をしていきます。
6)ちょうど咳についての話が終わったところで、「多分準備ができたと思うので・・・」と客席全員にキッチンペーパーを配り、そのペーパーの上にティースプーン一杯分くらいのひよこ豆(タッパーに一回戻して塩をまぶしてよく振ってから)を全員にサービングしていきます。(サービング中一切喋りません)
7)配り終わったところで今度は「ゆで卵も・・・」とゆで卵を取り出し、再びキッチンペーパーを取り出し、ゆで卵をカチッと割って(茹だってるか確認してから)先ほどの希望者たちへサービングしていきます(サービング中一切喋りません)
8)全員に行き届き、それぞれがタンパク質を食すなか、プレゼンが再開。すいません、ここで何喋ってたか覚えてないです。ただ、お客さんがこの状況で笑っちゃうので、ドクターもこらえきれずに、笑っちゃって、笑いのエコー現象に。
9)第一部が終了し、第二部へ。第二部の内容は生物の歴史的な話で、ビッグバンから入り、地球の地質学の歴史と、氷河期以降の生物、そして「クモ」について。しかし、第二部が始まる前に「正直この第二部は、とてもアカデミックでつまらないので、みんなにお茶でも・・・」と、3つ目のケトルでお湯を沸かしながら、紅茶、またはコーヒーを希望する観客を募り、希望者全員に飲み物をサービング。(ミルク、砂糖もお好みで)
(→この間、本当に普通にお茶作ってるだけですこのおじさん)
10)お湯を沸かしている間にカスタードビスケットもサービング。全員に配布されます。
11)お茶とビスケットが行き渡ったところで、第二部へ。ビッグバンがどうやってできるのかを説明した後に「では実際にビッグバンを・・・」と、ドライアイスの入った瓶に風船の空気口をはめます。(確かそうだったと思う)ゆっくりと風船が膨らんで行く中、地球の歴史を引き続きレクチャーするドクター。客側はその風船がいつ膨らみすぎて割れるんじゃないかと恐れおののき、レクチャーを聞く余裕なんてないです。途中でみんなの様子に気づいたドクターは、かなりパンパンに膨らんだ風船を取り、口を結んでマイクスタンドに結びつけ、レクチャー続行。
レクチャー自体に、マジで笑いどころがあったかどうかまるで覚えてないです。
一通り生物が生まれるまでを話したのち、チャッカマンを取り出すドクター。「・・・では、みんな耳を塞いで・・・」とチャッカマンの火を風船に近づけ、風船が割れると炎もブワッ!!!
「以上です」
・・・終了・・・。
一回行って、大変楽しんでレポートしたばかりなのですが、本日ノコノコとお昼のショーを観るために並んでいるときに、息をするかのようにチェックするツイッターのTLに
today's director for #TheScottishPlay is old daddy shouting himself: the heavy metal poet, @TheNickHelm.
— thom tuck is lady scottish play. (@turlygod) August 13, 2022
it could be fairly spicy.https://t.co/ssbV0r69TG #macbeth #edfringe #TwoManMacbeth pic.twitter.com/sX7XDo4RoL
ニック・ヘルムが、
https://tickets.edfringe.com/whats-on/nick-helm-what-have-we-become (本人ショーのリンク)
マクベス演出。
まるで理解不能なパワーワードが2つ並んでいるのを目撃しまして。
ニック・ヘルムといえば、オレがそれはもう長年ご贔屓にしている超才能のある芸人さんです。8 out of 10 catsとかそーゆーパネルショーでもおなじみかと思いますが、BBC コメディ Uncleで一躍有名になったのではないでしょうか?英国のコメディドラマでちょこちょこいい味出してる。
感想記事やお知らせ記事をたくさん更新しています。が、ここで紹介している文面がものすごくよくまとまっていると思うので、こちらの記事をお勧めします。
そんなわけで、ニック・ヘルムというパワーワードを出されたら、オレが行かないでどうするよ。というわけで、行ってきました。この芸人さんが喋る言葉は全てパンチラインですね。どんなに弱い玉でも、拾ってスマッシュする。まるで無駄がないどころか笑いの大量生産です。土曜の夜なので、お行儀の悪い客も混ざってるんですよ。特にニックの客層はそういうのが混ざる可能性が高い。そういうお行儀の悪い客もちゃんと取り込みつつ上手に回す。涙流して笑いましたが、感動しました。
さて。
前回のレポートでもお話ししましたが、このマクベスの基本ルールは以下の通り。
1。毎日ですね、フリンジにいる誰かをとっつかまえて演出家として招待し、その人の指示通りにマクベスやります。ほんとに言われた通りに従ってやります。ここ数年、レギュラーご贔屓の芸人さんです。感想記事数は少ないけど、ここ数年生産物はだいたい網羅してます。
Jordan Brookes: This Is Just What Happens
https://tickets.edfringe.com/whats-on/jordan-brookes-this-is-just-what-happens
過去にショーの感想記事で、「シアターあがりの人としか思えない、ショーの作り方なのだが、その辺の情報が一切出てこない」とぼやいているのですが、パンデミック時に、結構オンラインでコメディーやったり、フリンジで賞をとったショーをYOUTUBE経由でWatch partyしたりとしてくれていて、その度に参加しては、作品づくりについてききたいことを質問する機会があったんですよ。 やっぱりジョーダンさんは、短期ですがドラマスクールに通ってました。名前忘れちゃったけど、うんちゃらさんっていう講師から、ストリートパフォーマンスのテクニックを教わったらしい。それがベースにはなっているそうです。
納得。
【今回のショーの内容は】
「今までのショーでは、お客さんにconfrontationalで居心地よくない空気を作っちゃってたけど、それは過去のはなしぃ。お互いナイスでいたいよねぇ。だからこのショーはナイスを保ちます!」という前フリ。なので、ナイスなわけがありません。いわゆるクラシックなジョーダン・ワールドの幕開けくらいな感じです。
「今回話したいのは、ひどいこと言われたときのこと。いやどんなに頑張ってもオレってハンサムではないじゃん。ジョーダンってハンサムじゃないよねって誰かが言ってるの聞いたら、「ええええ?!(あんた何言ってんの?!的に)」って激しく本気で否定する人はいないじゃん。「…えええええ…?(いやそんな身も蓋もなく言っちゃぁ)」って否定するくらいだよね? だから自他共にそーゆーレベルだってのは認識してるんだけど、あるパーティでさ、友達がさ「今友達がジョーダンのことネチネチした陰気なスライムだよね、って言ってた」ってオレにわざわざ伝えに来てさ。ええええええ?!そんなことわざわざいううううう?
っていうところから展開して行く、自意識、自己アイデンティー、メンタルヘルスについてダークに探訪して行く1時間です。
【感想】
ショーは、オーディエンスと交流するという演者vs客の2面と、ジョーダンさんの心の声と建前とのやりとりで展開される2面という、ダブル構成。
建前のジョーダンは、客席から私語が聞こえれば「そこで話してる人たち、ダイジョーブ、どーぞどーぞ喋ってて(にっこり)」会場(おトイレで)抜ける人がいれば「あ、いいよいいよー、でてっちゃうのね、行ってらっしゃあーいー」動きとかポーズが、稲中卓球部とかグリーン・ヒルとか、ああいう感じ。(そーいえば、ジョーダンさんの雰囲気って古谷実ワールドとかぶるかも・・・)そこに時々、心の闇の声による罵倒が聞こえてくる。
この建前&本音という2パターンのジョーダンさんが出たり入ったりしながら、後半のメインネタとなる真剣に付き合ってた彼女と別れてから、ちょっと色々冒険したほうがいいよね、と友人に勧められて、いろんな女性とデートをしたときのエピソードが語られていきます。人の目や言動に翻弄され、悩みを抱え問題だらけの自分。だけど自信を持って、世間なんて気にするもんじゃないよ・・・
ってまるでポジティブメッセージなナイスなショーのように見えて、とんでもない。ジョーダンさん、わかってるんですよ。ごっちゃごっちゃ問題あるとか嫌な目にあったとか、悩みがあるとか言ってるけど、それって結局イングランドの中流階級の白人男性が抱えるようなレベルでね、って。自意識過剰で自分で悪い方向に考えちゃってるのが原因でね、って。しかも最後のオチは、ダーク、皮肉、そして酷いな笑いが制覇する。本当にうまいなぁ、と思いました。この女性とのカジュアルデート部分は、素材としてWiPで聞いたことが2回くらいあったのですが、作り上げるとこうなるのか、と。やっぱりジョーダンさんはすげえ、と思います。
ここ数年、limited runでやってるのですよ。もっとハネていい代物なのだけど、何しろPRとかまともにできない人たちでやってるので、知る人ぞ知る(というか超ニッチなコメディ・サークル)の範囲を超えられない・・・それが トムさんとティムさん制作による例のシェイクスピア・スコティッシュ悲劇です。
Thom Tuck and Tim FitzHigham: Macbeth
https://underbellyedinburgh.co.uk/event/thom-tuck-and-tim-fitzhigham
1)(というか)トムさんとティムさんって誰よ。
Thom Tuckさんは 結構レポートしてます。一回祭ったことがあるので(なんと10年近く前だよ)簡潔にいうと15年以上前にThe Penny Dreadfulsというトリオでフリンジを盛り上げまして、その前後でソロ活動もやってまして、どっちかっていうとトムタックさんは、芝居よりでも活動を多くしていて、観てるのはスタンダップよりも芝居系のほうが多いです。オルタナティヴ・コメディ・ソサエティを運営してる人の1人です。(名誉会員になったかもしれないけど)ショーの演出よくやってます。
Tim Fizhighamさんもぽろぽろ話してます。しかししっかり感想記事を書いたのは11年も前だった・・・ 大丈夫、基本こういう芸人さんです。年とったけどやってること変わらん。
【内容は・・・】
(いや、マクベスなんで(汗)。マクベスの説明はしませんです・・・)
1。毎日ですね、フリンジにいる誰かをとっつかまえて演出家として招待し、その人の指示通りにマクベスやります。ほんとに言われた通りに従ってやります。
2。ショーはもちろん1時間枠です。1時間で2時間半のマクベスを終わらせます。無理やり終わらせます。ゲスト演出家も演者の二人も時間内に終わらせることをつねに気にしますので、芝居が終わらずに終わるということがありません。
3。マクベスを2人だけで演じます。いや、マクベスの一人芝居ってアラン・カミングが昔やったけど、そういうことじゃなくて、ふつうのマクベスを2人だけで演じます。だから例えば1シーンで1人が魔女やってバンクオーやって夫人やるんです。超ベーシックに衣装とかカツラとか変えてやるんです。
【感想】
毎日違うゲスト演出家を迎えるので、あたりはずれがあるかも?と思いきや、とんでもないですね。これはお金と時間があれば毎回とんでもないバージョンのマクベスが堪能できます。オレが観たバージョンは二度とないと思うので、ネタバレしますね。
まずゲストの演出家が当たりだった。Comedy StoreとかでずっとPaul Mertonとかと即興コメディやり続けてきたRichart Vranchだったので、チームワークで展開する即興のエキスパートだったんです。
トムとティムの無駄話ですでに8分ロスしているなかようやく紹介されて登場。ディレクターチェアという舞台袖でろくすっぽライトも照らされないポジションに座らされ、マクベス開始。
「いやさ、テレビシリーズとかで何シーズンもあるみたいな調子で5幕もやってらんねー。てか、ボックス・セットってなに?シーズンがハコになってるんじゃなくてシーズンがハコになってるんだからBoxed Setって呼ぶべきでしょ。そんなわけで、今の時代に5幕もやってらんない。若い層にもアピールできるように、キャッチ―で尺短くて、歌って踊って、リップシンクで1幕目はやるべき」と魔女役のトムさんが舞台袖で音楽かけて歌うティムさんに合わせてリップシンクで冒頭シーンを展開。ここでじかんがすでに半分近く使われちゃって、その後一気に一幕目の最後へ。1幕目のおさらいと2幕目のティーザーを演じることで1幕目をカバーします。(これまでのお話・・・ってやつですね)
とにかく「短く短くキャッチ―に」が演出の方向性なので、すっ飛ばすのが全部オッケーに。
2幕目に入ることにはすでに残り20分。前にいるお客さんにプラスチックの斧持たせて、ダガーにみたて、マクベス苦悩しながらも覚醒するシーン。とにかく時間がないので、ダンカンが殺されるシーンも、部下殺されるシーンも、バンクォ殺されるシーンも、夫人が狂っちゃって死んじゃうシーンも、全部舞台袖の見えないところで叫ぶだけで終わり。いいんです。じっくりやるのは今の時代にあわないんで、飛ばしちゃえばいいんです。
そんなこんなで残りもう8分。最後のクライマックスもやる時間なんかありません。「キャッチ―に纏め的にクライマックスを歌って説明して締めちゃうべきだと思う!」と名演出家の指示に従い、ティムさんギターを取り出し、ちゃらーん。その音色が、どうにもメキシカン。なぜそんな音を奏でる!という突っ込みも脳内でできる前に演出家が「それ、いいねぇ! トーンが明るくてキャッチ―! スペイン語でやっちゃおうか」とスペイン語を指示だし。一方、スペイン語まともにわかる演者ゼロ。無情なまでにメキシカンサウンドが奏でられるなか、うる覚えのスペイン語で、「おバカどもの、おーはーなーしいいいいい」と繰り返し、じゃんじゃかじゃんじゃかギターひいて終了・・・。
こんなマクベスみたことあるか、っていうマクベスでした。でもちゃんとマクベスやってたし終わってました。1時間で。これはもうシェイクスピア劇のルネッサンスだと思います。ぜひキャッチしてください。レビューとかどーでもいいレベルで、フリンジならではの最高な体験ができるかと思います。
・・・背筋にむっちゃくちゃへんな衝撃が走り、なんじゃこりゃ?と考える余裕もないまま ハマっちゃって出てこれない。このショーのタイトルがゴキブリパーティなら、会場だったAssembly George SqのStudio5はゴキブリホイホイと表現するのがベストです。
というようなすごい芸人さん、登場。一秒でも早くレポートしたくてバックログ4本分の感想をすっ飛ばしてpriority serviceで感想をお届けします。
DAN RATH: COCKROACH PARTY
https://assemblyfestival.com/whats-on/dan-rath-cockroach-party
【絶対観なきゃ!のレベルで注目した背景】
この芸人さん、オーストラリアのインディぶっ飛び芸人さんを何人か囲ってるプロモーター、The Junkyardの芸人さんなんですよ・・・それは何を意味するかといえば、もちろん(枕詞略)Sam Campbell君の仲間たちなんです。レビューの評価はどーでもよく、例えば下記みたいんの見ちゃってると、注目度はすでにマックスなんですよ・・・
で、ですね。某サイトで某レビュワーさんが4.5星をたたき出していたレビューが、エディンバラフリンジのレビューにリスト化されてることで、エディンバラに来ていることが発覚。このお宝がエディンバラで徘徊していることがこれ以上世間に知られる前に、さっさと見に行かなければ!と行ってきた、という経緯です。
【内容ですが・・・】
社交能力低くて、社会の順応度低くて、オフィス仕事とか無理で、「旅行先でさ、駐車違反チケット切られて、罰金って払うもんなの?払わないとどうなるの?」ってヨーロッパでチケット切りまくって、車没収されました。「友達」っているのかいないのかようわからん。「同僚」っているのかいないのかようわからん。基本自閉症なんで子どものときからいじめの対象だったし、社会的地位とか金とか一切持ってない。福祉頼って生きてます。そんな社会のゴキブリみたいな立ち位置なんで、失うものなんてなんもありません。しがらみのない思考回路にうかんだことそのままなんでも言っちゃいますよ。オレの頭んなかへようこそ、こんにちは。お品書きには、以下のものが入りますが、必ずしも近年の傾向に沿っているとは限りません。
鬱
リベンジ
あなたがたとの交流
バス
Nando's
メンタルヘルス etc.
(オレものすごく、内容をちゃんと説明できたと思う! アレ見てこれだけスポイラーなしにまとめたオレ、えらい!)
【感想】
何しろ、期待値は推し経由で計っていたのと、タイトルがタイトルだったもので、プロップやらゴロゴロ使うショーなのかと、勝手に想像してたら、ばっさり裏切られました。古着やで見つけたボロッボロ!の FANTA のTシャツとトラックスーツ、お酒と炭酸水ボトル抱えて登場。ピンコーンってベルならしたら、こういう感じで出てくるハウス・パーティのホスト、学生のときに経験してませんでしょうか。まさに、あのバイブです。
思考回路が前代未聞で、なんでいきなりそんなことを想像させる?みたいな「Imagine...」連発。プロップ等を使わない、むしろそこに頑張るエネルギーがゼロの、燃え尽き症候群系サム・キャンベルです。笑いには毒がたっぷりあります。
ただこれ、協調したいのは、今回のショーのために容姿振る舞い含めて緻密にビルズアップしたパーソナだということです。たぶん、どっかでブチっときれて、「出しちゃったほうがいい」と思ったからなのかな?と、2-3年前と比較して思っています。
客とのやりとりがショーの50%くらいをしめていて、ハコが狭いので半分近いお客さんとやりとりをするのですが、そしてその内容はよくある5W1H系の「仕事何やってるの?」なのですが、「オーディエンスをピックアップしていぢる」という使い古されたスタンダップのフォーマット、というよりは、客とのやりとりを通して先述のキャラを根付かせるための、インタラクティヴ・コメディというべきです。仕事何やってる以上のことを客はしゃべりますから、どんな内容が飛び出すかわからないんですよ。でも瞬時に、Dan Rathの作る世界観と彼の(ステージ上)パーソナを強化するための笑いが生み出されていくんです。そしてその笑いの数が半端ない。サムくんみたいに、この芸人さんも笑いに清く無駄がまるでない。
・・・というわけで、これがオレの感想であり絶賛の理由なのですが、なんと、今回同行した大学生のうちの子とお友達にとっては、共感の笑いと思考回路なんだそうです。いくつかほかにも連れてったんだけど、Dan Rathが一番気に入ってて、めちゃくちゃハマって笑ってました。実際お客さんも学生が多かったです。単純に深夜枠で口コミかな?と思いきや。別にTikTokで見ました、memeで有名です、とかじゃなく。その辺でも、ひゃー!!!と思いました。
参考までに、このショーからの数分のクリップがあるので、下に貼り付けます。自分観たショーはこの順番でしゃべってないので、毎回思考回路の赴くままなのかもしれません。今このクリップみると、一貫してあるピリピリ感は、ライブ環境と俊逸な客とのやりとりがあってこそ、とも思えてきました。
もともとフォーク・シンガーなんですよね。オレ、あんまりフォーク・ソング得意じゃなくて詳しく知らないのですが、最近のアルバムはUKチャートにランクインしてるくらい有名です。今回初めてギターなしのスタンダップ1時間をやる、ということで、同行者が注目しまして、行って来ました。
GRACE PETRIE: BUTCH ADO ABOUT NOTHING
https://assemblyfestival.com/whats-on/grace-petrie-butch-ado-about-nothing
これはもはや笑えるとかジョークがどうの、という話じゃないですね。ポロポロと笑わせてくれるジョークもあるのですが、正直「コメディ」というよりは、彼女の話を聞きに行く60分でした。話術はとても長けているので(さすが表現者&音楽のプロ)1時間はあっという間でした。これが1hのショーのデビュー戦かと思うと、素晴らしすぎる語り手でした。
レズとトランスジェンダーの複雑すぎる問題を彼女の生い立ちや経験から通してみるろ、どうなっているのか。彼女がどんなことで傷つき、血の滲むような思いをして生きてきたのか、どのように対応してきたのか。1987年生まれの彼女が幼少からティーンとして過ごした90年代、2000年代は、まだまだゲイ&トランスジェンダーは発展途上国すぎた。彼女がいう通り、レズがSoap Operaでフィーチャーされるのもいっときだけ。彼女の視点で語られるストーリーは、千人十色の一つです。真実であり唯一無二なのに「ああ、またその話ね」的に扱われたり、当事者グループも(の人々も一部)含めて「異議あり」と敵対視してきたり、一派ひとからげにしたりされることが山のようにある。
だからこそ、声をあげて、伝え続けていかなければならない、という彼女のメッセージが痛いほど心に響きました。ぜひ観に行って欲しいです。ちなみにグレイスがマイク一本持って自分の話をしようと思い至ったのは、Hannah Gatzby のショーで覚醒したからだそうです。すごくそれについても納得です。
メインの賞レースでどーにかなるショーじゃないです(汗)だって深夜に毒舌スラングを、パンパンのパンパンに詰め込んで、歌って踊るミュージカルですから。ただ、ギーク・コメディ界では、すでにめちゃくちゃ話題です。KUNT & the GANGというグループの制作。
Shannon Matthews the Musical
https://tickets.edfringe.com/whats-on/shannon-matthews-the-musical
話題になっちゃってる主な理由
1) BandCampその他のデジタル・CD・レコード販売したBoris Johnson is a Fucking Cunt. がバカ売れ(?)しまして。2020年12月に発売されたのですが、UKトップチャート1位を狙って激しい(?)争いが行われ、コアなファンとなった人々はすべてのフォーマットで購入して一位を狙っていました。
そんなグループが手がけるミュージカルのため、すでに(一部では)期待に胸を膨らませている人が結構いるのです。2)Stewart Leeのエディンバラ・フリンジ2022 イチオシリストにめちゃ推しされている。
下記リンクの3番目の項目ですね・・・
たかだかブログ、だがこれはスチュワート・リー(パーソナ)が執筆するブログ。新着ニュースが出るたびに、何かしらでトレンドしちゃう。(→ここで超推されたため、オレもマストで観に行った)
何はともあれ、念のため。Shannon Matthewsって?
実話が元です。
前にツイートした内容をそのままコピペします。
簡単に言うと、学校帰りに失踪
→母警察に電話
→警察&コミュニティあげての大捜査開始
→3日経っても見つからん
→一同最悪を想定しつつも捜査続行
→懸賞金20k宣言
→見つからん
→懸賞金50k
→3週間経過。目撃以前ゼロだが奇妙な情報入手
→Shannon ちゃんの義理父の叔父さん宅でShannonちゃん見つかる
→叔父逮捕
→叔父「オレが悪いんじゃなねぇ。Shannon母から指令を受けてやったんだ!懸賞金をゲットするのが目的さ。悪いのはあの女だ!」
→... で...シャノンちゃんの事件の前に例のMadeline MacCannちゃん失踪事件がありましてですね。懸賞金250万ポンドだっけ?(JKローリングとかガッツリお金出して) すごかったじゃないですか。英国中が子供失踪に通常以上にもっともっとピリピリしてたときなんですよねぇ。で、エリアも西ヨークシャーで
→2000年代半ばー数年ヨークシャーリッパーとか、あとまあ個人的には(失礼ですけど(汗)Red Riding trilogyとか本もドラマもがっつはまった口なので、結構「何とかしなきゃ!」のコミュニティのピリピリ感が伝わると言うか... 捜査に警察○百万ポンドつぎ込んだんですよね...そんな実話が超!インディコメディミュージカルとなり、エディンバラの旧市街、橋のたもとのダンジョンの地下で真夜中に弾けるわけですよ。ワクワクしないわけがないです。絶対見たほうがいいと思います。
感想は・・・
めちゃくちゃプロフェッショナルでクオリティが高くて、場所と舞台セットさえきちんとしてたら、普通に立派な芝居小屋でやるべきミュージカル(コメディ)に完成されていました。特に深夜のフリー・フリンジで想定しがちな、ライブならではのハプニングがショーを邪魔するまたは醍醐味に行くような取り込みとかがなくて、かなりプロのカチカチに出来上がっている。ある意味、この完成度vs時間帯&ハコ&フリーフリンジ(→アマチュア感含む)のギャップはあまりないかも(汗)・・・
ただ、このご時世、どこでこんなネタで、ザ!Profanityの祭典!みたいな歌詞とセリフがてんこ盛りのミュージカルをですね、もっと上の時間帯で扱ってくれんだよ、っていう。下ネタ&下品ネタ&やばい言葉洪水でした。Can't work, Won't workはかなり気に入ってます。
深夜のエアコンのないダンジョン系のハコでは酔っ払いと水分と酸素不足で結構お客さん倒れちゃったりするのは珍しい話じゃないのですが、途中でお客さん一人意識失って運ばれてっちゃって。はじめこれは仕込みなのか?とも疑ったのですが、ガチでした!数日後スコットランドもまた24度越えとかあるらしいので、みなさん水分補給をこまめに!
21世紀における、真のワーキング・クラス・ポリティカル・コメディを展開している注目の芸人さんです。
Tom Mayhew: Trash Rich
https://tickets.edfringe.com/whats-on/tom-mayhew-trash-rich
「ワーキング・クラス・コメディ」については、以前に彼のショーの感想を書いたときに説明しているので、ぜひこちらも合わせて読んでください。
テーマとか笑いのスタイルとかタイプ、それからどんな内容のネタなのか、は正直前回に説明したことと変わらないです。というのも、彼のショーの場合は、具体的なエピソード、つまり、秒速で悪化して行く庶民の生活環境がどれくらいひどい状況なのか、それをより多くの人に伝え、少しでも多くの露出がされ、なんとか改善して行きたい、という思いが重要だから。
今回も、「パンデミック中の話はみんなやってるからやりたくない」と重い部分を語らず「せっかく月に4桁稼げるようになったと思ったら、パンデミックで全てがおじゃんに。まだ両親とカウンシル・ハウスで住んでます」「金持ちに食われてないで、金持ち食っちゃおうぜ」とお客さんとやりとりしたり、甥っ子のエピソードと自分の子供時代のエピソードを合わせながら語ったり、と、途中まで軽めだったのですが、ちょっと時計を見て「うむ、パーフェクト」とウエイトをいきなりシフト。(→賞レースを狙う場合、重い話へのギアチェンジはだいたいショーの35分ー40分が相場)そこで聞いた話は、泣くしかなかったです。
オレは声を大にして保守党が大嫌いと言えるし、本当に大嫌いですが、こんなに怒りを感じたことは行く久しぶりです。
本当に許せない。
少しでも多くの人に見てもらいたいです。ちなみにこのショーはChannel 4でちょっとだけ紹介されるらしいです。
てか、もう表題の状況なので、半分以上の公演が売り切れちゃってます。さっさと買ったほうがいいですよ・・・
Alasdair Beckett-King: Nevermore
https://tickets.edfringe.com/whats-on/alasdair-beckett-king-nevermore
初期パンデミックのロックダウンで、ツイートしたクリップが何回か大ハネして以来、小規模だったフォロワー数は10万越えになり、才能と実力と人気がだんだん釣り合ってきた芸人さんです。歴史ネタが得意。でも確かもともと弁護士さんじゃなかったっけか?(要確認)オレがフォロー始めた時はフォロワー数4桁だったのに・・・
容姿は絵に描いたようにハイランドのスコティッシュ(ジンジャーで青白くてヒョロヒョロー)なのに喋ると超インテリ・イングリッシュのアクセントでがっかり!というのが、売り(?)です。小ネタで明らかに個人的なエピソードを入れることもあるけど、ネタの着想の原点となっているであろう体験や資料ソースなどが、見えないタイプのナンセンスコメディ。言葉とかセンス、比喩表現でネタをつなげて行くので、観終わった後に、「めちゃくちゃ笑ったんだけど、なんだったっけ?」になる素晴らしい1時間です。例えばですけど、スコットランドの国華(アザミ)のネタ*が、ネタとしては結構重要な位置を占める、小学生時代にいたPEの先生のネタの落とし込み方法、そしてショー全体の構成が、同じパターンで作成されているんですよ。これやる芸人さんて、エイカスターくんとか、スチュワート・リーとかなんですけど、まあだからそりゃスチュワート・リー先生、あちこちで推してるわけですよね。
アニメーションを入れたクリップも利用しているため、空間はステージ&客の想像以上の範囲へ広がっています。唐突な笑いや箸休めの笑いを入れやすいですよね。「ニルヴァーナは19世紀のイギリスの田園風景を描いた絵画めちゃくちゃ嫌い」ってやつ、めちゃくちゃ笑いました。
*「アザミは、スコットランドの国華ですけど、(下の方から右手左手を交互に突き出して)あっちいけ!あっちいけ!あっちいけ!あっちいけ! (頭の上であざみの形を手で作って)私はおっはなぁ〜🌸」ってやつです。オレと同行者の一人がめちゃくちゃツボにハマって爆笑しちゃったら思いっきりローカル人と指摘されました(汗)
絶対に見た方がいいです。へんな御託なくすすめるときほど、オレを信用してください。
PAUL WILLIAMS: IN THE MOONLIGHT
https://assemblyfestival.com/whats-on/paul-williams-in-the-moonlight/book-now
もともと絶対観ないといけない枠になっていたのは、オーストラリアでよく推し(注:サム・キャンベルくん)となんかやってることが多かったのですよ。とくに「オーストラリアvsニュージーランドのマジック合戦」というのを2018か2019年だったかにオーストラリアでやってるのに、エディンバラには来やがらないので、オーストラリアを憎んだ記憶も新しい・・・
そんなわけで(?)、ポール・ウィリアムズさんはニュージーランドの芸人さんです。Flight of the Conchords系の笑いで、weird&low-fi&wonderfulなコメディを展開しながらめちゃくちゃ聴かせる歌声でキャッチーな曲をプレイしてくれるのです。毒がないので、センスのある人になら誰にでもお勧めできる。HBO、HBO。HBOの制作物が好きな人は絶対大絶賛するに違いありません。
今回の軸はロマンスなのですよ(自身の実体験をベースにしてるのかな?)。女性との出会いから別れそうになるところの・・・! という、ライブコメディの世界は、なかなかロマンスをコメディにするのは大変な世界であるにもかかわらず、特にハッピーエンド的なのは、めちゃくちゃ大変であるにもかかわらず、しかもストレートの男性が見事やってのけているのは、Flight of the Conchords系の笑いと、マルチ映像コンテンツ、宅録音楽&ライブ演奏、を駆使しているからじゃないかと思います。いや、Surf Music ってアルバム、一部wで相当流行ったのですが、本当にクオリティがめちゃ高いです。このアルバム聴いたら、絶対見に行きたくなると思います!!
その2です。
その1はこちら
http://www.gojohnnygogogo2.com/2022/08/edinburgh-fringe-2022-preview-of_3.html
下記はその2で、ローカル(注:スコットランド)では大変人気の Christopher MacArthur-Boyd です。
https://tickets.edfringe.com/whats-on/christopher-macarthur-boyd-oh-no
比較的ローカル中心で人気の芸人さんについてレポートするときは、大抵同じことを繰り返している気がして、過去記事をちょっと探ってみましたが、それほど繰り返してなかった・・・。
Larry Dean http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Larry%20Dean
Chris Forbes http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Chris%20Forbes
たぶんLimmyのこの記事も・・・ http://www.gojohnnygogogo2.com/2018/03/limmy-vines.html
まとめると、グラスゴーには、お笑いコミュニケーション文化が根付いている、ということです。特にバックグラウンドがワーキング・クラスの人たち。すでに基本レベルが高いので、そこから「プロ」として暮らしていくには、めちゃくちゃ高いレベルを普通に要求されます。
もちろんダブルスタンダードとして地元で「あうん」で共感できるネタであることも否めないですが、やっぱり話術あってのネタだよな、と、ローカル人気、特にグラスゴーの芸人さんを見るたびに思わざるを得ないですね。
グラスゴーの芸人さんって話術が長けすぎてる証拠として、(何しろビリー・コノリーですから)「グラスゴー」のネタって、芸人さんだけじゃなくてグラスゴー出身のハリウッド俳優さんがバラエティやトーク番組に出て話すことも含めると、鬼のようにたくさんきく。なのにまるで使いまわされすぎ感がない。(ネタが転がりすぎてるからというのもありますがw)嫌味じゃなく、奇をてらっているようなイメージも与えない。それどころか、もっとくれ、くらいな高い需要がいつもある。
うざいうんちく言っても逆に萎えるだけと思うので、ぜひこのクリストファーのライブを見に行ってわかってください!!!
今回の1hのショーも、とくに何か大きな一貫した軸やプロット展開があるわけでもなく、パンデミック中の話や生い立ちの話、家族の話に、大学時代の話(クリストファーくんはまだ27歳なので)と、ある意味、アメリカン・スタイルw。この1h、爆笑の連続のうちにあっという間です。ちなみに、小市民のバックグラウンドならだれでも腹の底から共感できるんじゃないか、と思ったのが、大学時代のネタです。セントアンドリュース大学に行ってるんですよ。セントアンドリュースといえば、ゲロ金持ちがゴロゴロ通う大学で、最近は王子や王子の奥さんのなれそめの場所で有名になっちゃったですけど、そんなところから展開する話です。涙止まらなかったですね。