http://www.gojohnnygogogo2.com/2014/10/bbc4detectorists.html
BBC4の深夜枠で異例の注目と視聴率を獲得し、BAFTAもとっちゃったThe Detectorists。ミトコンドリアだったであろう予算がちょっとだけ膨らんだらしいことが、シーズン2の冒頭を見ると明らかに。YOU TUBEで探してみたけど、見つからないので、お楽しみにしてください。
ハウエヴァー、予算膨らんでも、The Detectoristsの世界にはあまり関係ないようで、この膨らんだ予算を全部冒頭に費やしてしまったかのような作りです(笑 S1にも増して、シンプルだけど綿密で繊細。誰もが気にもとめないようなことを、大切なかけがえのない宝物のように見せてくれる世界は変わりません。むしろ、それを期待している視聴者を裏切らないどころか、さらに魅せてくれる世界を作ってくれています。
具体的に何がどうなのよ、という話ですが、突出していえることは、映像のこだわりです。カメラワークにおける基本を尊重&規格のずれをすべて計算し、シリーズで一貫した基軸を持ち、その基軸を基盤にしたテイストから絶対にブレない。
(→前にも話しましたが、The Wrong Mansの監督さんから、放送時に撮影時のサイズと規格を変えて放送するので、オンエアされるものに非常にフラストレーションを覚えるという話をきいています)。
視聴者はとくに、期待して冒頭を見るからだと思うのですが、そのみんなが期待する冒頭に対するこだわりがすごいのです。毎週冒頭でワナワナ泣いてます。
例えばですね… (→ だいたい木曜深夜に画像キャプって叫んでます)
This is just one example to prove that #TheDetectorists was filmed in such an unbelievable way. pic.twitter.com/ITodlzu7J9
— Miki Inamura (@whiteanklesocks) November 5, 2015
これは2話目なのですが、この2人が、歩いているときの基軸、そして2人がとまって会話をするときの位置とスプリングクラーの位置、みてください。フィールド上にバミるんでもないとできないですよね?!いや、オレできないと思う!! ナニコレ?!
っていうのばっかりなんです。
この作品は基本シンメトリですが、Wアンダーソンのタイプの完璧シンメトリじゃないんです。ちょっとだけくずすんです。このテイストが、この物語をビジュアルで物語っている。完璧じゃないし、よくみないと気がつかない。だけど、それこそがキラキラ光る宝物のような魅力なんだよ、と。
アンディは、相変わらず、うだつがあがらない。考古学の学位をとったけれども、お宝発見の華々しい未来はまだこない。すぐに見つかると思っていた仕事がまったく見つからない。えりごのみをしているわけでもないのに。というか、パパになっちゃってるので、えりごのみをしている場合じゃないんです。奥さんに経済的におんぶにだっこ。義母に赤ちゃんの世話でもおんぶにだっこ… なんとかしたいけどなんとかならないでいるもどかしさがそこかしこで観る者たちの心に響きます。
さらに、おじいちゃんがかつて機上していた爆撃機の行方を知りたいと、ディテクトリストたちの仲間にはいったドイツ人のピーターが、S1でアンディとちょっとだけうほほ?な関係の気配だったソフィーといつもいっしょにいる。それから、ランスに若い彼女ができたかもしれない…など、(余計な)心配事も加わります。
画像&プロット&セリフとどれも魅力が目立つような作りをしていないので、いわゆる「ベタ」なわかりやすい笑いどころが、アクセントとなってキレイにきくんだと思います。(例:サイモン&ガーファンクルとか)お洋服のコーディネートでもそうですよね。黒基調で、靴赤にしてアクセント、とか、マフラーを派手にしてアクセント、とか。
コレは本当に人生みた作品のなかでも、10本の指に入っちゃうかもしれないくらい好きです。いわゆるよくあるコメディではない、という意味では、もしかしたら"pushing boundaries"の成功例ともいえるかもしれないです。この作品、ホントに大好きです。