イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2014年10月31日金曜日

2014年秋のUKコメディ中間報告 (1)

ものすごい勢いで秋のUKコメディをこなしているのですが、なかなかブログにアップできず、すみません。右脇のカラムにあるツイッターでは逐一UKコメディを中心に騒いでいるので、チェックしていただければ幸いです。

というわけで一気に行きます。2014年秋のUKコメディ中間報告です (注:好きなものだけ話をしているので偏ってます。すみません!)

Contents:

① 相変わらず「Detectorists」は絶対にはずせない

② スコティッシュ色爆裂!なスプーフコメディ「Scot Squad」が激ヤバに面白い

③ (バスデンさんの)「Plebs」 シリーズ2がやけにぬるいと思ったら…!

④ Liam Williams君曰くの"Flash Fiction”、「Common Place」読みました

⑤ タイトルにドン引きの割に地味にヒットしているChannel 4 の「Scrotal Recall 」

⑥ Andrew Lawrence騒動は何だったのか



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① 相変わらず「Detectorists」は絶対にはずせない

先ほど第5話の視聴を終えたばかりですが、
1)緻密なプロット展開とキャラクター設定
2)マッケンジー君色が出るに完璧な演出と映像感覚
3)超オフビートなコメディにすることで、ビタースイートで心がズキズキ痛くなり、ティッシュが離せないほど泣いてしまうドラマへとのいったりきたりが非常にスムーズ
です。すごすぎます。
コレを見逃しては、おそらく人生で損をします。私のような笑いの趣味の方は確実に損をします。ぜひおすすめします。

② スコティッシュ色爆裂!なスプーフコメディ「Scot Squad」が激ヤバに面白い



いわゆる「警察24時」のスコティッシュ版のモキュメンタリーです。でも、コレ、モキュメンタリーと再現ドラマの境界線をぼやけさせるほど、”こんな感じ!アルアルアル!”な番組です。(→ゆえに超笑える)ウソくささがまるでない。実体験に基づいているに違いない! 警察の人たちも警察の上司も、でてくる一般市民も全部等身大で笑える言動なんです。上手に伝わっているかわからないのですが、こんなに涙を流してゲラゲラ笑ったスプーフコメディは久々です。

③ (バスデンさんの)「Plebs」 シリーズ2がやけにぬるいと思ったら…!

S2が始まり、騒いでいましたが、正直S1よりもパンチがどんどん弱まる一方。(*)E5のTim Keyゲスト回では、Tim Keyのキャラを上手に利用した話になり(→なのでTim Keyを知ってれば面白いは面白かった)E6ではJonny Sweet君が出ていたにも関わらず、どんなに頑張って視聴してもヌルヌルで、E7はまたもNaz Osmanoglu君のキャラを利用した話になっており(→なのでNaz君を知ってれば面白いは面白い)なーんか、不完全燃焼だったんですよね。ネタがファミリー関係になってて、その落とし方がぬるいか下世話で、セリフのやりとりにいつもの独特の”毒”なバスデン節がない。
「ITV2だからITV2仕様にしなきゃいけない政治とかあるのだろう…」と我慢していた矢先に、びっくり!

Ritualistic double-act, FREEZE! have decided to bring their Christmas drinks onto stage and do just over an hour of Yule horseplay in Soho.
Tim Key (poet/voiceovers/turkey enthusiast) and Tom Basden (gorgeous/slim/married) are in negotiations to get a Christmas Tree or a children’s choir or neither or maybe just dangle a screen and project some stuff or cook a turkey or some chocolate coins. Key’s really wants Basden to dress as an elf.

うわああああああああああ! 
結婚した!!!”#$%&”#$%&

びっくりしたけど、「死」から「生」という真反対なものへの落とし込みがされていたHoles や今回のPlebsでの乳母ネタやら結婚ネタ、すべてが腑に落ちてですね。いや、ネタ自体はどんなんでもオッケーなんです。ただ、そのネタをベースにバスデン色が上手に出ないのには、それなりの幸せで安定した理由があったからだったと! むちゃくちゃいい人(→憶測)ってのは、今の幸せを皮肉れないんだろうなー…(汗)気持ちはわかる! しかし、早いところ上手に今の変換期を昇華して色を再び出して欲しいなと思います。その色が元々と違うイロになっていても全然いいっすから!

④ Liam Williams君曰くの"Flash Fiction”、「COMMONPLACE」読みました

「Twitterの楽しさわかんねー!」の関門?を突破し、完全にフォローしていて面白いアカウントに成長させているさすがなリアム君が、小説とか短編とか詩とかいうフォーマットになる以前の「走り書き」みたいな冊子を売っていてですね…。

(と、思ったのに売ってない?!
アレ?!?!?! 売り切れた?!いや、まさかそんな! い、いや売り切れるようなフォーマットではないはずなので、そのうち復活すると思ってリンクをはりつけときます。)

ホントに、「走り書き」とか「素材」と呼ぶに相応しいものでした。コレ今後何かの原案となることはなく、そのままフタを閉じてしまう可能性が高いそうなので、正直、不完全燃焼(汗)
ただし、エディンバラフリンジで、ディズニーランドのスプラッシュマウンテン顔負けの並び時間(90分)を持ってしても入れる保証のなかった「Capitalism」の原案もあり、コレはへー!と思えました。11月初旬まで、ロンドンでもやってますが、相変わらずの最高評価レビューを叩き出し続けてます。リアム君も周囲の方々もこれをうけて「記録をとっておく?」とかいう手合いの人たちではないhumble集団なので、機会があればぜひみておくことをお勧めします。

備考:ちなみにリアム君、この期間にOccupy Democracyで9日間ビッグベン前の徹夜デモに参加してたので、ネタが10月中旬から変わってる可能性が高く、オレが前に書いた感想と内容が違っていたらすみません。個人的にはホントにもう1回観ておきたかったです!(→まだ言ってる)

あ、あとリアム君、ラジオドラマに出てます!インフルエンザの感染の描写を恋愛模様に上手に絡めたってことで斬新感を出している結構普通のドラマなので、うーん。リアム君をとりあえずチェックしたい人はぜひ!!(いるのか???そんな人いるのかオレの他に?!汗)

⑤ タイトルにドン引きの割に地味にヒットしているChannel 4 の「Scrotal Recall 」




よく参考にさせてもらっているDen of Geek他のライターさんからすすめてもらったのがきっかけです。クラミジアをもらってしまったディラン(写真トップ)が過去に関係をもった女性全員にそのことを報告しにいく話。プロットとタイトルで「なんだか下世話なベタベタシットコム?」と敬遠したくなりますが、意外にも非常にセンシティブに恋愛感情および関係を描いた良作です。元フラットメイトのエヴィは最近いきなりあちこちで活躍していてびっくりです。サンシャイン・オン・リースをご覧になった方はピンときていただけるのでは?またNorthern Soulにも出てますね。

作家さんはじめ制作陣など、とくに過去に「うわ!コレをやっていたんだ!」と特記する人たちではなかったかな? しかしながらこういう新しい発見はよいものだと本当に思いました。

⑥ Andrew Lawrence騒動は何だったのか

す、すみません。力尽きました…(汗)コレ、大きなネタなので、ちょこちょこっと書いて終わりにできない……(汗)パート2として別日にアップします。

以上です!

(*)追記:フェアではないので、ライアン・サムソン君の演技力は非常に素晴らしいと思っています。アレだけ演技に幅の広いコメディ俳優(?)さんはなかなかいないのではないでしょうか?!頑張れライアン君!

2014年10月8日水曜日

Bo Burnham 君の新曲Repeat Stuffが芸術作品な件について


って突然出ましてね。もともとこういうことやってトップコメディ界の土俵に上がってきたプロディジーですから、みちゃうわけです。んで、今回の新曲、「Repeat Stuff」に関しては、2010年の頃のプロディジーっぷりから、トライアル&エラーを乗り越えた後の、アゲハ蝶的な飛躍でした。というわけで、どうしてそう思ったかについて説明したいと思います。

参考までに、コレまでの(振り返ると怒濤の勢いすぎて戦慄の)Bo 君レポート記録は
http://komeddy.blog130.fc2.com/?q=Bo+Burnham

http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Bo%20Burnham
です。

【インテリな引用は冒頭に一発。しかし規模は核爆弾級】

ボー君といえば、ティーンの頃から文学界のビッグワードやビッグ引用をあちこちにちりばめつつの言葉遊びによるジョーク、そしてティーンだったからこそユーモアとして受け取れたブラックジョークのクオリティの高さがハンパない天才…というカテゴリーだったわけです。
それから、2013年頃のライブの感想でもお伝えしたように、そんじょそこらのインテリ大人も簡単には真似できない質と量の言葉遊びの鎧を捨てて、勝負を始めたんですよね。それが、まだ個人的には奔走している最中に感じたわけです。それから約1年。ティーンの頃の文学界のビッグ引用はもはや一つのジョークを作るための小道具ではなく、作品のテーマ、構成とスタイル、およびメッセージのすべてを全方位で示唆する”隠喩”として使用されていました。文鎮みたい! 信じられますか? この高度すぎる技術を!! 24歳!24歳ですよ! どんだけ天才なんですか。世の中の20代半ばの芸人さんが全員可哀想すぎる。どんだけ才能があっても不憫でならないよ…(涙)

具体的にみてましょう。

Love songs used to be so beautiful
"Let us go then you and I, when the evening is spread out against the sky like a patient etherized upon a table."
-T.S. Elliot

コレです。T.S.ElliotのThe Love Song of Alfred Prufrock. コレを持って来るってすごくないっすか?そして、使いこなし方例が
1)シェイクスピアとかダンテとかいった不朽の名作の引用をしていることで有名。→ この歌詞自体の自虐
2)この詩のタイトルが「Love Song」である。(もともとはLove Songにするつもりじゃなかったんですよね?でもキプリングのThe Love Song of Har Dyalに影響を受けてLove Songってやったんですよね。→ボー君の曲との共通点。
3)Prudfrockの詩はダンテのinfernoを引用しているんですよね。その引用箇所が自分のintrospective的な、現実に目を向けてないよーみたいな箇所なんですよね。そんでオチはそこに(ダンテのInferno的なところに)ぬくぬくつかっていると現実に肩叩かれて溺れて死んじゃうってやつですよね。→この曲のPVの最後みてください。ものすごく!!!リンクしてますから。
4)相手は誰か?というところで、ある特定の女性へ捧げているようでありながら、じつは不特定多数の読者(=客)を対象としているといわれている。→「ポップアイドルによる”ラブソング”およびポップアイドルで大きく稼ぐビジネス業界への痛烈な風刺」との共通点が見える。

Nowadays, thanks to corporately owned pop stars
Love songs are even more beautiful.
How beautiful are today's love songs?
I'll show you.

ええもう、魅せていただきました。たっぷり!!!みせていただきましたとも!!!

以下の歌詞も、上記をふまえて読めば読むほど、冒頭のテーマとリンクして一回りしてまたリンクして…って内容。じゃあないでしょうか?
それがサビのRepeat Stuffに通じちゃってて、どうしたらいいんでしょうか?!
[VERSE 1]
I love your hair I love your name I love the way you say it
I love your heart and you're so smart, 'cause you gave away it
I love your sis' I love your dad I love your mum
But more than all of that I love the fact that you are dumb enough (swag)
To not realize everything I've said has been said before
In a thousand ways in a thousand songs, some with the same four chords
But you'll still love it, let me finger you

[CHORUS]
Oh girl, I hope you don't think that I'm rude
When I tell you that I love you boo
I also hope that you don't see through
This cleverly constructed ruse
Designed by a marketing team
Cashing in on puberty and low self-esteem
And girls' desperate need to feel loved

America says we love a chorus
But don't get complicated and bore us
Though meaning might be missin'
We need to know the words after just one listen so
Repeat stuff [x8]

[VERSE 2]
I love my baby and you know I couldn't live without her
But now I need to make every girl think this song's about her
Just to make sure that they spread it like the plague
So I describe my dream girl as really really vague, like
"I love your hands 'cause your fingerprints are like no other
I love your eyes and their blueish brownish greenish color
I love it when you smile, that you smile wide
And I love how your torso has an arm on either side."
Now, if you're my agent you might be thinking, "Oh no, sound the alarms
You're not appealing to little girls who don't have arms."
But they can't use iTunes, so fuck 'em (who needs 'em?)

[CHORUS]

Repeat stuff [x10]
Repeat it! Repeat it 'til the day you die!

[INTERLUDE]
I'm in magazines full of model teens, so far above you
So read them and hate yourself, and pay me to tell you I love you
And the parents will always come along, because their little girl is in love
And how could love be wrong? How could love be wrong? When you
Repeat stuff [x8]

[ENDING]
We know it's not right, we know it's not funny
But we'll stop beating this dead horse when it stops spitting out money

But until then, we will repeat stuff

もうね、自分がなんて凡人でなんて地味でなんてちっぽけなんだろうって辛くてしょうがなくなる感じですね。オレなんかただの一般人だからいいけど、ここまで消化&昇華できる術まで至ってない20代の芸人さん、みんな酷く落ち込んでるんだろうな… 
 

2014年10月4日土曜日

スゲーーーーー! ITV2 シットコム(バスデンさんの)Plebsのスタジオ全容が全部グーグルマップで見れる!!



コレすごおおおおおおおおい!!!

*(相変わらず枕詞はバスデンさんの、です)


マッケンジー・クルック君のBBC4コメディDetectorists観ました。

日本でも観れるかしら、このクリップ!観れますように!!


マッケンジー・クルック君が、「Game of Thrones」とか「Game of Thrones」とか「ヒューマンうんちゃら」とかいったでっかいTVドラマシリーズで、1分未満のシーンをとるために、何時間と待機させられるトレーラーのなかで、コツコツ書いていた(にちがいない)「Detectorists」。ついにBBC4より10月2日木曜日、放送されました。
http://www.bbc.co.uk/programmes/p027b39h 

シットコム?と呼べるのか、コメディ?と呼ぶべきカテゴリーなのかはさておき、あまりにも秀逸な作品すぎて、全身で感動しています。

【お話は…】社会的に言うとルーザーなランスとアンディ、2人の男性を中心とした金属探知家の話です。クリーナーの派遣企業に属する、キャリア的にぱっとしないアンディは、考古学を学んでいて、いつかお宝を発見し、名声とお金と地位を得るんだと思っている。地元のしょぼい金属探知クラブに属していて、ミーティングとか行っている。苛々しながらも理解を占めそうと努力するとても素晴らしいベッキーと同居しています。
一方ランスはアンディと同じ趣味を持つ長年の友達。時間があれば2人で金属探知機片手にお宝探しをしています。ランスは奥さんをピザハットの配達人に寝取られてバツイチに。今も奥さんに未練があって、奥さんの経営するお店をそーっとのぞきにいったり。
起承転結の「起」にあたる第1話では、主にこの登場人物たちの紹介の外に、今後「承」「転」となる可能性を秘めた仕込みがされています。まず1つ目は、ランスとアンディの金属探知活動に興味を示しクラブに入会する学生ソフィーの登場。2つ目はお宝が埋まっている可能性の高い未開の地の発見と探索です。

超絶オフビート。ワハハな笑いを期待しないでください】マッケンジー・クルック君が好きですか?これにピンとこない方、具体的に言いましょう。

トホホでセンシティブでピュアで人間らしくて、真面目で、心優しくて一途で、心傷つきやすそうなイメージのマッケンジー・クルック君が好きですか?

さらに言うと、

マッケンジー・クルック君の、外の人には大したことない、けれど自分にとってはとても大事であることを、大変希少なキラキラした宝石のように描く世界が好きですか?

この2つのどちらかが好きな人は、この番組が始まって5分以内に虜になることを保証します。

セリフ自体に面白い作りをいれているわけではない。セリフに作りがないんです。極めて自然な言葉のやりとり。日常の断片からそのままとってきたようなリアル感。本当にオフビートです。でも、このやりとりに「味」がある。マッケンジー・クルック君ならではの唯一無二の味がある。この脚本にはマッケンジー君の作り出す空気と世界観が見事に具現化されておるだけでなく、出演者が全員それを体得し表現している。さらには、まるで劇場で生できいているようなライブリー感を出しているんです。本当に素晴らしい。

Telegraphさんが「First rate writing」と言ってますがまさに、その一言につきる超一流芸をみた感じです。

マッケンジー君のことは童話を発表するまでは、素晴らしい実力を持つ鬼かわかっこいい俳優さん、という意味で大好きでしたが、ホントに「書ける人」が最上級で大好きなだけにホントに今はさらに株が大沸騰中です。


2014年10月2日木曜日

2014年9月22日、Dave にてRik Mayallの遺作となったCrackanoryS2E1が放送されました...


Crackanory。60年代に有名人が童話を読み聞かせ、定番人気シリーズとなったBBC「Jackanory」の大人用おちゃらけ番(?)で、毎回有名芸人さんたちがソファにすわって(大人用の)小咄を繰り広げます。そのお話の再現ドラマ?つきです。
2014年9月22日、第二シリーズの1回目が放送。1話目はVic Reevesで2話目がRik Mayallでした。
遺作となります…

本来ならばVic Reevesで相当盛上がらないといけないところなのですが、国民の注目は2話目のRikに。泣きながら笑っていました。小咄自体相当面白かったのですが、コレだけ笑えたのは、やはり表現豊かに繰り広げる語り手Rikのぶっ飛んだ技量のおかげではないでしょうか。

DVDになる予定は今のところなさそうですし、Rikファンがすでに全編をYOUTUBEにアップしているので、貼付けます。
ええ、まだ、この世に戻って来て欲しいと願ってます。強く。