イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2024年3月18日月曜日

最近観たイギリスのライブコメディの感想その2。Ian Smith, Dan Tiernan とRob Autonのショーの感想です。

 本当は前のポスティングでエイカスターくん含めてまとめて書いちゃってあげちゃうつもりだったのですが、エイカスターくんの感想だけでとんでもない長さになっちゃったので、分けることにしました。大丈夫。この3人は忘備録程度のボリュームに留まります。


Ian Smith: CRUSHING 


ポスター広告にもシール貼ってあるとおり、2023年のエディンバラ・フリンジのコメディ・アワードにノミネートされてるんですよ。ガッドさんのコメディ観て以降、適度に注目している芸人さんであるため、高評価のレビューが出るたびに、行かないと行かないと、とは思ってたんですが、お昼時のタイムスロットで、なかなか上手に時間が取れない!ってことで、このショーが地元に再訪する、って発表になった時点で速攻チケットを確保しまして(多分半年前くらい)・・・くらいの熱量だけはありました。

内容は、プレッシャーとかストレスとかメンタル弱ってるんだけど、それを乗り越えるのは発散だよね、っていう話で。その主な原因が(たしか昔のショーで結婚したって話を聞いた記憶があるのだけど)パートナーとの別れたことではあるのだけど、その話をしたいのではない、と上手にそっちに関連する可能性の話に一切触れなかったのは、スキルだな、と思いました。後半は、セラピー的なアクティビティとして、スロヴァキアに行って車をぶっ壊すツアーに参加してくるストーリーを展開。ショー自体が芸人さんのセラピーの道具ではなく、芸人さんがセラピー方法を提示している、という意味では、他と確実に一線を画したショーを作ったんだと思いました。

本当に残念だったのが、フリンジではその車をぶっ壊すツアーに参加する映像を流したフィナーレがオレが見た地元のショーでは、なかったことです。これがあるとないだと、締まり感とインパクトが全然違うと思いますし、パワー落ちが否めません。その映像はムッチャクチャ面白かったらしい。SOHO THEATREでは流したのかな? 

というわけで、面白かったし、とてもいい芸人さんだと思うけど、注目度は現状維持かなぁ・・・。


Dan Tiernan: Going Under


この1ー2年で頭角を表してきた新人さんで、BBCのNew Comedy Award 受賞したりLeicester Comedy Awardでノミネートされたり。2023年フリンジで上演したこのショーも超話題になってて、見に行かなきゃ、と狙っている一方どうしても時間の都合がつかず。で、今回見てきました。

ディスプラクシア で、ゲイなんですって。こんな症状を持つ自分の学校での話や義父との関係の話や仕事での試行錯誤、コメディアンを目指し始めた経緯等、そんな中、心の支えだった大切な妹さんが白血病にかかってしまい・・・

と、聞いてると、どこが笑えるんだ?と思うんですけど、いいのか悪いのか、(あくまで本人が言うところの→)ゲイっぽくない外見とディスプラクシアの症状を利用して落としていくんですね。体のバランス崩すとか、声のボリュームの加減間違えちゃうとか、動きのコントロールできなくなっちゃう、とか。極めて善良な客を相手に、罪悪感を感じさせずにこの手の笑いを成立させてるのは、スキルかな、と思います。

イギリスでは、日本ではよく見かけるような、唐突に叫んだり動いたり、というショック的なインパクトで笑わせる笑いはあまり見かけません。なので(障害が原因云々はさておき)ダン・ティエランの笑い自体が新鮮なのだとは思います。

おりしも比較的最近「水曜日のダウンタウン」でチャンス大城さんとインタラスティングたけしさんのドッキリ検証があったのを思い出しました。このショーの笑いは、その検証でみんなが語っていることと物凄く関係していると思います。

ものすごいちなみに、憧れの芸人さんはサムくんらしいです。去年のサムくんのフリンジでの10分ショーの時にオレの真後ろの席に座ってたんですよね・・・なるほど。


Rob Auton: Rob Auton Show (UK & メルボルンのチケット売ってます)

2022年11月にThe Stand Comedyで見た時の感想をどこにもあげていない模様で、困ったな・・・


というのも、今回のショーは2023年のフリンジの見逃し分を見たんですが、その内容が2022年のフリンジの見逃しをその年の11月に見た時と共通する点がすごく多くてですね、リンクを貼って、逃げちゃおうと思ってたんですよ・・・

オートン・コメディに関しては2014年でどんハマり→2015年で一旦放置して熟成期間を設け→2019年で満を時して賛美という経緯を辿っての注目アーティストさんです。元々Spoken Wordというか絵描き&詩人の要素が高かったんですね。今もコメディアン、というよりはアーティスト性が高い。(オレの中で)
過去の感想のリンクを貼っておきます。2019年のを読んでもらえたら。


自分の生い立ちを通してのアイデンティティの模索で、今回はオーディエンスと絡みながらの絶望や落胆の表現がとても素晴らしかったですね。イギリス内でもオーストラリアでもキャッチできるので、ぜひ。

最近観たイギリスのライブコメディの感想その1。James Acaster: Hecklers Welcome 観ました(2024年2月22日のエディンバラ編)

こんにちは。

正月明けた1月に、法事が主な理由で里帰りしてましたが(注:お会いした方々お世話になりました)ほぼほぼジェイムズ・エイカスター最新ツアーのために、本来は1カ月くらい日本滞在したかったところを、3週間弱に切り上げて現実世界に帰ってきました。

その後も、週に1-2本のペースで昨年のフリンジで取りこぼした話題のショーを見に行っていたので、忘備録をつけておかないと、ネタも感想も忘れてしまうと思い、アップにいたります。

オーストラリア在住の方、これからメルボルン等でコメディフェスティバルが開催されるにあたり、ご参考にしていただければ、幸・・・と思ったら、(あれ?今年行かないの? アレ?)

ちなみに2023年のエディンバラフリンジでみたものの感想はこちら


James Acaster: Hecklers Welcome (→UKチケットはんばい中)


先日NY行ってた時に出演したSeth Meyers。もうNY公演は終わっちゃってると思う・・・


【背景的な話と、なんでこんなショー・タイトルになったかについて】

エイカスターくんは、(イギリスだけじゃなくて)英語圏を中心に大きな劇場をお客さんでパンパンにする芸人さんになっているのに、まだJosh Widdicombeのラジオ番組のサイドキックとしてClassic Scrapesの素材をぶちまけていたパーソナと親近感を維持しており、それが魅力と才能とすごさの1つであります。

その一方(ビッグになる過程ではあるあるな話かと思うのですが)、そのせいでオーディエンスのクオリティコントロールのハードルが他の芸人さんより高くなっちゃってるんじゃないかな、と(*1)。

詳しくは今までのオレの忘備録を全部ひっくり返して読んでくださいレベルの「スタンダップ」とは?という規模のデカい話になってしまうんですが。

客層と規模が広がることによって「スタンダップ・ショー」の認識の違いや経験度の違いにズレが生じてきちゃって、ショーの最中に不適切に客にからまれちゃう事件の発生率が高くなっちゃう。

エイカスター・コメディは一語一句、一本一本のネタが蜘蛛の巣のように、ものすっごい 緻密に計算&構築されていて、各フレーズ、1ネタでも機能しそれがクラスタとなっても機能し、さらには全部が収束して1作のアートになり、その1作1作のアートが連作にもなりうるんです。マジで、ゴッドなんです。

その神ショーが観れるのは、その過程に素人の外部がちゃちゃ入れないとき(*2)

しかしこれは、ガチのライブコメディファンの思いであり、現在の規模の客層を魅了する今、その割合ってのは50%以下かと思います。

(満を持して)ドン!ハネし、大きな劇場を数十分でほぼ完売しちゃうレベルに達しちゃったエイカスターくんは、(おそらく今まで以上に)オーディエンスに絡まれる目にあい、そのたびにブチ切れて、コテンパンにその客を叩きのめして(暴力じゃなくて言葉です)、Taskmasterでエイカスター入門したファンはドン引きするなか、ショーマストゴーオン(*3)。で、終了後我に返って、お客さんに悪いことした・・・ってゲロ落ち込む(→基本いい人。じゃないとこんな天才にはなれない)

そんな経験を繰り返すうちにエイカスターくんは、はたと真実に気づくのです。

「オレ、スタンダップ嫌いだったんだ!」

今までずっとスタンダップ・コメディアンとして成功したいと思って頑張ってきたんで全然気が付かなかった!!

ときは運よく(?)パンデミック。ライブをやっちゃいけない状況で、大手を振ってライブやらずに幸せな日々を過ごすエイカスターくん(*4)しかしその一方で、スタンダップコメディアンが自分のアイデンティティでもあり、切っても切れない仲であることも骨の髄までわかってるんです。

時はさらにながれ、世間は元に戻るなか、エイカスターが目指すべきは、彼のライブコメディにおける負のサイクルからの脱出。つまり、ショーが思い通りに進まなくてもハッピーでいられたらいいんです。というわけで、今回のショーが「お客さん、どうぞどんどん!絡んでください。このショーは、お客さんにどれだけ野次を飛ばしてもいいショーです。エイカスターは邪魔されても絡まれても絶対に怒ってはいけない。それどころか、にこやかに対応しないといけません」というものになったわけです。

二部構成。インターバル20分でした。1部でこのショーが出来た背景と、幼少から「人前に立って話す」ことを職業とする今までの自分とスタンダップの愛憎エピソードを語り、糸をあちこちに張り巡らせたところで、後半でいっきに紡いでいく、というものなんだという印象を持ちました。

【感想】

「印象を持ちました」と書いているように、どのように糸を張り巡らせたか、その糸は計画通りに全部張られているのか。後半でどうやって紡いでいくのか、出来上がる作品はどんな形やデザインなのか。

全然わからないやつに観に行っちゃいました(号泣)

ガチのコメディ・ファン、ガチのエイカスター・コメディのファンとっては、当たりはずれが激しいショーかと思います。

厳密にいうと、前半はオッケーでした。まだ会場が「ショーを観よう」の空気で、絡まれるのも話の内容に沿っていた(*5)ので、エイカスター話の続きが聞ける状態だったし、その場だからこその、インタラクティヴ性から笑いも生まれていた。好みはさておき、タイトル通りのバランスのとれたショーになっていたと思います。

ところが後半ほどなく、歯車が外れ、バランスが崩れだしちゃった。開演前からアルコール入れてたスコッツ客が話の腰を折ることを楽しみ始めちゃった。前半を含めたフリの先にある展開に進もうとするたびに、あさっての方向へむかったボールが投げられ、の繰り返しです。全く関係ないコメントを投げてくるし、いきなり質問してきたり。

何しろこれら全部受け入れて、対応するのがテーマのショーなので、客が「エイカスターがショーを邪魔されて続きを話せない」ことを本格的に楽しんじゃうと、なすすべがなくなっちゃう。

エイカスターくんは後半の途中から「ここまでのレベルで話の続きができない状態(客が自分の話の続きを聞く気がない)のは初めて。完敗だよ。なんとかコントロールしようと頑張ったけど、完全に諦めた!」と、そこから、YOUTUBERとかTiktokerがやってるみたいなQ&Aみたいなスタイルになっちゃって。エイカスター返しなんで、どんなボールも面白く返すんですけどね。すいません、ものすごい欲求不満です。

フラストレーションたまりまくって会場でました(*6)エイカスター・コメディは最高級だと思ってるし、このアイディアはある意味斬新で 客次第では素晴らしい作品になると思うし、エイカスターくん自体も新境地開拓になると思うから、心底応援したいけど、リスク高すぎる。本来作り上げていた絶対に裏切らない最高級クオリティの傑作を観れないのは、【バいですって。ってたぶん45%くらいの客は思ってると思います。


お願いです、エイカスターさん。パンデミックのときに、サイモン・.バードが「客が怖い?から客なしでスタンダップやります」ってスタンダップデビューしたやつみたいので収録してください。客に邪魔されなかったバージョンは本末転倒かもしれないけど、みたいんですよ。45%くらいの客はものすごい観たいと思ってると思います。Pateronでもなんでも10£でも20£でもいいんで売り付けてくれれば、観客全体の45%は購入するにきまってます。やって。お願い。じゃないと、このフラストレーションが消えることは一生ないし、リスク高くてもっかい35£だす気もしないです。

【最後に備考】

前方にF1層の女子が結構いたんですが、堂々と写メと映像とりまくってて、マジでビビりました。あんまりelaborateすると失礼にあたりそうな気もするので、書かないけど、いろんな意味で衝撃でした。

まあ今の子たちって映画館でバービーのゴズリンの写メとったりするみたいだけど・・・

この数日後、サムくんのライブを地元のハコで観てるときに前方の女の子たちがフラッシュつきで写メとりまくってて、「やめてくれそんなことされたら二度とここでライブしてくれなくなる」って夢でうなされました・・・そのうち正夢になりそう。こわすぎる。


*1アニキ系のパーソナだとここまでにはならないんじゃないか、と思っています。Russell Howardがめっちゃハネた比較的直後に、Assembly のMusic Hallって800席くらいのキャパで見たことあるけどお客さんに絡まれてなかったもん。あと、ネトフリで配信してる芸人さんたちってボス的な威圧感でてて、あれを無視して絡むってよほどの泥酔客しかないのでは?とはいえ、オレは芸人さんが大きな劇場でやれるようになった段階でほとんどの場合みなくなるので適当なこと言ってるかもだけど。

*2エイカスター・コメディはシアターよりで、クラウニングの要素はないんですよね。悪い言い方をすると、そのスキルはないです。だからガチでキレることでクオリティコントロールしてきたんですよね。

*3オレたまたま(運よく?)一回、エイカスターくんが客のたった一言の絡みにブチ切れて、いい時間使ってボッコボコに叩きのめした(ナイフで例えるならもう死んでるあとも数十回刺してる狂気)のに、きちんともとに戻ってアートを完成させて終わらせる様を見てて、もうわかっていることだけど天才すぎるって思ったことがあります。

*4 その後、調子にのって世間と関わるのがダメだったんだ!と一切のSNSを辞めて、SNSなし生活のおススメ、という本を書き、宣伝のツールが一切なくなってしまったことに気づいてOff Menu相棒のギャンブル氏に泣きつく、という伝説もあります。この本自体はエイカスター・コメディ好きは絶対に期待を裏切られない内容ですね。(読んでるさぁもちろん)

*5 すいません、観たのが一カ月近く前で細かい野次の内容を失念してしまいました。

*6 前から5列目の真ん中ゲットするくらい意気込んで取ってるんで。(いや、今回もテンパってるオレをよそに同行者がとってたんで実質なにもしてないんですが)。


2023年10月7日土曜日

イギリス大人気バラエティ、Taskmaster S16登場だし、オーストラリアだけじゃなくてイギリスでも見事にハネちゃって、布教の必要もなくなってしまったSam Campbellくんこと最近のカンボー情報です。

 【ここ1年のお話】

毎年通常この時期は、最近見たおすすめのTVコメディ的なご紹介をポチポチしているのですが、推して推して推しまくっているサム・キャンベルくんの進撃っぷりがすごいので、エディンバラ・コメディアワードを受賞以降を、なんとなく、忘備録的にまとめようと思いました(注:ご本人のインスタとYOUTUBEのアカウント内容は除く)。

じつは、昨年フリンジでコメディ・アワードを受賞してから、コメディ・ドラマではなく、サム・キャンベルとして、いくつかイギリスではおおおおお!というような、超メジャーの目玉番組に出てくるようになっていたのですが、anxietyがゲロわかりで、メンタルの大変さばっかり気になっちゃって。お母さん、ハラハラしちゃってみてらんないよ(涙)ってものでして。

8月のフリンジでの10分ショーのちょっと前に放送された8 out of 10 Cats の初登場回は、自分見切れちゃってる時のゾーン・アウトっぷりと、台本通りにやっておりますvibeがビンビン!に伝わってきちゃってですね。UKのメジャー進出を喜びながらも、ライブでいつもみてたあのやりたいことを楽しそうにやってる姿がないもんで、複雑な思いで見守っていたんです。


【そんななかの、その1】

Taskmaster S16。

激アツです。

Taskmasterにはカンボー・ワールドをそのまま受け入れる許容力と活かす能力があり、本人も安心しているし、本当に楽しんでいるんで、ファンもめっちゃくちゃ!楽しんで見れてます。


これは、力強く、「ねえみんなちょっとこの天才を見て!!!」って言える・・・

日本でも全部YOUTUBEで見れます。貼り付けます。

Episode 1 超おすすめ。クラシック・カンボーが見れる。


Episode 2 これも良いですが、3話目の方が激アツです。まだリンクできてないんで貼れないけど。

明記しておきたいのは、ジュリアン・クレアリーとルーシー・ボーモントも無茶苦茶面白いです。ジュリアンはオレがティーンだった頃の憧れのウツクシ芸人さん。すごい好きでした・・・。

2話目の直後に、Taskmasterのpodcast(元出演者のエド・ギャンブル氏がやっている、半分以上オフィシャルみたいなポッドキャスト)に、サムくんゲスト回が配信されまして、当時の心境とか、状況を、比較的、事実に基づいて話してるんで、合わせてお聞きください。(Apple でもSpotifyでもあります。普通にTaskmaster Podcast, Ed Gamble, Sam Campbellってググるとすぐ出てきます)

Taskmasterのおかげで、テレビ上でのカンボー・キャラがだんだん上手に作られ(認知を含む)てきていて、非常に嬉しいです。

木曜夜の9時になると、1人でボソボソ、エイカスターに恩恵もらいすぎて、そろそろ次の誰かが欲しいと思ってるテレビ業界に救世主降臨した、って言い続けてます。


【そんななかの、その2】

Taskmaster S16 放送開始のちょっと前に、Never Mind the BuzzcocksのS3が放送開始していて。

Never Mind the Buzzcocksってのは、昔BBCで放送していた音楽(ポップ・ロックカルチャーの方。クラシックではない)をテーマにしたバラエティ番組がありまして。1チーム3人構成、2チーム対抗、各チームのキャプテンとMCが基本的にレギュラーっていうやつで。そのリバイバル、ってことでMCが(Taskmasterの)グレッグ・デイヴィスで、キャプテンにデイジー・メイ・クーパーとノエル・フィールディングを迎えてやってるんですね。

そのS3で、カンボーがデビューしまして。ちょっとだけ、音楽ギークでもないし、音楽に興味の矛先はないはずなのに、なぜここに出た???という疑問があったのですが、その辺りも含めて上手にネタになっていて、

「あ、Taskmaster大丈夫だわ」って確信しました。

どっちかっていうと、グレッグ・デイヴィスのMCとしての敏腕っぷりなんだろーな、と。どんな球も拾い、面白いものをマックスに生かしてくれる。サムくんが、安心して、自分を出して、グレッグ・デイヴィスのいぢりを返すことができる。「これ言っちゃって、番組上大丈夫なんかな?」な不安がない環境を作っていたので、すごく楽しく見れたんですよ。

平場のトークが生きるのも、MC次第ですよね。マジでつくづく思います。上記はカンボーのよりぬきクリップだけど、全編見れたら見るのを一番お勧めします。


【そんななかの、その3】

なんと。奥さん。UKツアーです。

どの日程も1カ所1日なのに、エディンバラだけ5日やってくれるの。

ありがとうございます。マジでありがとうございます。

この喜びを噛み締めるために、2日分チケットはすでに取っているんだが、超平日の方に(静かな客層になりがちだから)いったほうがええのかな、とも、ちょっと悩んでいます。Monkey Barrelさんはとても日程変更は可能にしてくれることは多いのです。い、いや、3日通おうとは流石に思ってないよ…

平日の同行者、募集中!です! contactアットgeeksguidetoscotland.com にご連絡ください。

…グラスゴーの方がよければグラスゴーでもいいです。(→これはこれで気になっている)

ちなみにロンドンはHackney Empire でやります。昨年ComedyShow やった時に同じハコで全席すぐにパンパンにした実績あるから、これくらいすぐいけるだろう、って推測しやすくなってよかったよねぇ。でっかいハコです(1000近くあったと思う)


【そんななかの、その他いろいろ】

かなり真面目に、コメディキャリアについて語ってくれてる、ファンにとってはお宝インタビュー。

いくつか、へええ!と思うくだりがあって、その一つが、なんと、Daniel Simonsenのものすっごい!ファンらしい。オレも大好きだったけど(もうUKほとんどいなくなっちゃったから、全然見れない・・・最後にライブを見たのがなんと2018年だ。)、ものすごいニッシっていうか(汗)そこ??? そこなの???ってマジでいい意味での感動がありました。


あと、オーストラリアでのちょっとしたカメオ出演が拾えてきていて、レーダーにこんなのも引っ掛かってきたので、貼っときます。


こんな感じかなー? 忘備録でした。



2023年9月21日木曜日

英国TVバージョンのMe, tooムーブメントがきたかも? 芸人(?)、プレゼンター、俳優業→YOUTUBER、ライフスタイルGuru (?)Russell Brand/ラッセル・ブランド、性的暴行問題まとめ

https://www.thetimes.co.uk/article/russell-brand-full-statement-reply-allegations-6wm2bp8ph

【はじめに】

 基本的に布教したいアーツしか興味がないので、ラッセル・ブランドの「笑い」に関して何か話したことはないです。しいていえば、アメリカハリウッドに進出時に出た映画がFreaks and Geeks面々関連コメディ映画だったために、2本くらい紹介したのと(注1)、2013年にハードコアな英政治雑誌New Statesmanで1日編集長になったときに、「オレ人生で投票したことないし、投票って無駄。結局権力者による体制を変えられない」てきな発言を無責任にた件をまとめてから、何も触れたことがないと思います(注2)。

カテゴリーも作ってないし、内容的にはロバート・ウエブ賛辞ですかね・・・

 http://www.gojohnnygogogo2.com/2013/10/russell-brand-vs-robert-webb.html


【今回の件について】

世間が最初にどよめいたのは、Channel 4の追跡系ドキュメンタリーDispatchesで、オンエア前日くらいまで通常あるような「次回のDispatchesは…」的な告知がなかったどころか、「誰について」調査したものなのか固有名詞が隠されていたことだと思います。の

当日にこの90分特番は、The Times, The Sunday Times, Channel 4 のDispatchesチームによる共同調査であることが明らかになり、そして勇気をもって取材に協力してくれた女性たちの話をレポートしたThe Times の記事が出ました。

https://archive.ph/NwmVQ

レポートは2006年から2013年の期間、ラッセル・ブランドがBBC Radio 2とChannel 4でレギュラーを持ちMC等を務めていた時期の彼のパワハラと性的暴行について女性たち(匿名)の証言をもとに報じられています。

すさまじいです。

  • ブランドのLAの自宅でレイプされた女性。同日にレイプ・クライシス・センターにて手当を受けた。
  • 16歳のときに(まだスクールに通っていた)被害を受けた女性。年齢が当時のブランドよりも半分にも満たないため、「子供扱い」(そのくせ性的暴行)し精神的パワハラ。16歳の未成年に、無理やりペ〇スを彼女の喉の奥までつっこみ、マスカラが流れ落ち、オエッてむせり息もできないのにやめなかった。胃袋を思いっきりパンチするまで終わらなかった
  • LAで彼の仕事まわりで働いていた女性。性的暴行を受けたことを誰かに話したら法的措置をとるといわれ、黙るしかなかった。
  • 精神的および肉体的暴行を受けた女性。
  • 調査チームはこれらの証言をもとに、個人メールやテキストなどのやりとり、情報収集のためのさまざまな許可申請、被害後の女性たちのメディカルノートやセラピーレポートのチェック、およびブランドの当時のインタビュー、TV露出、YOUTUBEコンテンツ等をすべて分析調査(注3)。
  • ブランドの芸風とコンテンツのおさらい
  • ブランドの性的暴行やパワハラ言動は、業界内ではオープンシークレットだった。女性芸人たちの間では、とくに、警戒モードはマックスだった。しかし、たとえ立ち向かおうとしても、彼の地位と権力そしてTV局側の対応は、とても、勇気ある彼女たちに正義をもたらせてくれそうもない、むしろ、不利な立場へ置かれるか、キャリアをつぶされる可能性があり、声をあげることができずにいた。
  • ブランド側には、放送の8日前に報道について通達しており、当初の弁護士の対応はwe are not in the position of...その後、被害者の女性が全員匿名を希望していることから、信憑性を疑い、ブランドのような影響力のあるオルタナティヴ・メディアの存在をメインストリーム・メディアがつぶしにかかる陰謀と反論。

一方ブランドは、彼のYOUTUBEチャンネルで激しく性的暴行行為を否定。

https://www.youtube.com/watch?v=ZGr_PVUHn2I

https://archive.ph/KZmRl  


【ドキュメンタリー Dispatchesについて】

The Timesの報道と内容的には一緒です。1時間半におよぶ映像での調査レポートは本当にエグかったです。冒頭にブランドのスタンダップショーでのクリップが出てくるのですが、そこで話しているネタが、女性に無理やりフェラさせたときの、マスカラが流れ落ちる話なんですよ。ガチの実話どころか相手が未成年(16歳)だったのかよ。身の毛もよだちました。

スタンダップの芸人さんは「本人」としてであれ、「パーソナ」というものを作って、素とパーソナのラインを行き来しながらパフォーマンスを繰り広げる。こうした理由から、ブランドのパーソナをもとにしたえぐい話や女性をネタにした話は(面白いと思うかどうかは別にして)、ガチのガチだと受け取られていない傾向にあった。そして深刻さはことごとく軽視されていた。

その一方で、ブランドの女性に対する性的、肉体的、精神的暴行を見て見ぬふりしていたのは、黙認していた者は誰なのか。どうしてどのように黙認されてここまできたのか。これからこのエンタテイメント業界が向き合わなければいけない課題だ、といった方向で締めていました。

個人的に特記したいことは

  • Dispatches はChannel 4が放送していているのに、Channel 4の倫理委員会や編成部等、みな第三者的な立ち位置で、他人事のようにこの件についてのDispatchesの問い合わせに対し「いやー知らなかった」以上のことをしない。っていうことにこの業界のインフラ構造的な闇をあらためて思い知らされましたね。番組は局制だったとしても制作会社がたくさん絡んでいるし、Dispatchesに関しては大手制作会社が4社でそのうち一つはITVです。 日本でも某リアリティTVショーで参加してた方が誹謗中傷で自殺されちゃったときに局に矢面が立つ一方、局側的には、局が番組を放送しているけど、制作しているのは下請けの制作会社だから、実際の制作時の状況とか、そういうことに関しては責任は・・・みたいな対応で、ヴァイラルになってたかと思いますけど、それと同じだと思います。とはいえ、この放送後、BBCとChannel4は過去にブランドに対して訴えやレポートがあったかを調べるとしています。
  • (当時)16歳の女の子が被害にあった日、ブランドはBBCの車で下校中の彼女を迎えに来た、そのときの運転手さんが「車に乗るな」と彼女に懇願した、というくだりが話題になっています。ブランド自体には「車に乗って、Be my little girl」と懇願され、結果的に乗り込んでしまった。運転手さんは、もしかしたら、同じ年ごろの娘さんがいたのかもしれない。車に乗り込み、車中でメイクアップをするさまを、ただ何もすることができずに見てるしかなかった運転手さんを思うと、一層重く心が痛みます。
  • これまでブランドの件だけでなく、職権を乱用できる立場にある芸人、プロモーター、ブッキングマネジャー等が、女性芸人さんたちに性的暴行を繰り広げている話は、多くきいていて、そのたびに、声をあげて、女性芸人さんたちをサポートする男性芸人さんたちの数が圧倒的に少ない傾向にあるんですよね。自分たちも声をあげたら、キャリアに影響あるかも、という不安からです。そんななかで、邁進しているのが、ダニエル・スロスDaniel Slossです。彼は自身のスタンダップショー「X」で、勇気をもってサポートしなかったことを一生後悔している話をしているのですが、今回のドキュメンタリーで唯一、顔出しで証言しています。

【放送終了後のメモ(2023年9月20日現時点)

  • 女性芸人たちの間ではオープンシークレットだったという件を受けて、キャサリン・ライアンが以前、ルイ・セソーのインタビューで「名指しできないけれど、プレデターがいる」と答えていた、アレは、ブランドだったのか、と。なるほど、と大きな話題となりました。キャサリン・ライアンは2018年からジミー・カー、ブランドとともに共同でRoast BattleUKのジャッジをやっていたのだけど、何度も何度もブランドの不適切な言動についてレポートしていたようです。(ブランドは1シーズンで降板。噂によるとライアンの一言に激怒したとか? あくまで噂です。)
  • Channel4、TheTimes、BBCと本格調査を開始しており、多くの女性が名乗りをあげているそうです。
  • 現在YOUTUBEはブランドのチャンネルの広告収入をさし止め(登録者数600万人位)
  • ブランドのツアーもキャンセル(か延期)
  • ブランドを擁護している人たちの声は、オレのエコチャンバーには直接聞こえてこないのですが、弁護士側と同じ角度で、勇気をもって立ち上がっている女性たちを「なぜそのとき警察に訴えなかった?今頃になって話し出すなんて別の目的があるにきまってる。大手メディアから多額のお金をもらって真実を語るオルタナティヴ・メディアをつぶそうとしているな」というスタンスでの攻撃が多いようです。

最後に、下記リンクをはりつけて今回は一回締めたいと思います。



注1:オレは当時のジェイソン・シーゲルやセス・ローゲンはむちゃくちゃ面白いと思っていたし、ジョナヒルも当時は出るもの全部良くしてくれると思っていた。人は変わるし新しい事実も出てくるし、オレも考え方変わるしで、このあたりの作品を再訪してないけど、たぶん今もまあまあ面白いんじゃないかな(弱気)ちなみにこれは現在のブログのpercursor 的な同タイトルのブログでアップしました。

注2:じつはMy Booky Wook出版当時に読んでいて、感想を書いていた気がしたんだけど、うーん。ない。よくチェックしたら2008年出版で、ブログ書き始めたのが2009年だか2010年からだから、そりゃー・・・ないですね。この本の(当時の)オレの視点と感想は、Marina Hyde さんのこの記事よんで、こういうことだな、と思っています。

注3:セックスとドラッグ中毒でリハビリとか通った過去が芸能人としてハネてからもコンスタントにあります。「パーソナ」がセックス中毒のwomaniser で、ネタもセックスとか自分に魅了される、自分とセックスする女性っていうスタイルです。

一点特記したいのが、めちゃくちゃ饒舌なんですよ。イングリッシュ・ポッシュ用語(それ表現するのにこの言葉・フレーズ使うんかい、っていう小難しいターム)を人がついていける頻度でぶち込みまき散らす。

ちなみに、まともにライブも見てないし、テレビ出演も見てないし、たまにゲストで話題(いいか悪いかは?)になった番組回をみたことがあったかも?という程度ですが、最初の自伝は読んでます。



2023年9月11日月曜日

(Sort of) Summary of Q & A with Richard Gadd on 07 September 2023. (English only/日本語ないです)

Although I'm just a fan 😅, the event organizer let me join the ZOOM Q&A session with Richard Gadd (RGA). I thought it would be good to share the minutes of this session since it wasn't recorded. Yet, it must be very useful for those trying to break into the showbiz industry. 

Not much in detail, but still better than nothing! 
  • The session started with RGA's career pathway. He explained that he started as a stand-up, exploring his ideas and trying them out at the Edinburgh Festival Fringe. He admitted that there was a period of what he called 'artistic prostitution' or 'workaholic tendencies,' when he grabbed every available opportunity to meet and talk to people in the industry. 
  • The Edinburgh Fringe is a great place to develop and find your 'voice' and gain exposure. RGA won the Edinburgh Comedy Award in 2016 with "Monkey See, Monkey Do." 
  • "Baby Reindeer" was initially a one-hour play performed at the Edinburgh Fringe Festival. His agent invited stakeholders since RGA was already with the agency (Casarotto Ramsay & Associates).
  • Regarding how to transform a one-hour stage show into a seven-part Netflix series, RGA commented that it is necessary to allow your work to "mutate" while staying true to the heart of the show. When it comes to attracting the TV and media industry, RGA advised finding a different tone, style, era, and characters that haven't been explored in TV before. 
  • The topic of the session shifted to focus on the production process, particularly the transition from the monologue-based one-hour play to seven episodes. Building on his previous comments, RGA emphasised the importance of the creatives who worked with him. Sometimes, it's good to play dumb, asking potential collaborators how they would handle your work (live show in this case) to understand their imagination and creative process. 
  • RGA found that his editing process was as if he were rewriting the show twice. 
  • Regarding the writing process, RGA said, "Writing is rewriting." He needs to get everything out first, then rewrites it again (and again). By doing so, the initially hazy idea becomes clear. 
  • The Q&A moved on to the topic of how to get an agent. RGA answered that he chose his current agent because they gave him honest feedback on the work he submitted. The agent added that they are currently managing approx. 40 clients, which is the right size to be able to provide each client with the attention and support they need. 
  • As a tip for approaching and inviting stakeholders, RGA stressed the importance of the Edinburgh Festival Fringe, particularly the Free Fringe, based on his own experience. Admitting he has been a big of a control freak and a perfectionist, RGA advised attendees to focus on their show itself, trying to make it as good as possible. If the show is good, it will naturally attract the people you want to see it. He mentioned "Ha Ha Ha Ha Ha Ha Ha" by Julia Masli as an example, saying that her show, starting at 01:30 AM, was hardly known at the beginning, yet everyone was talking about it toward the end of the fringe run. (The show was nominated for this year's Edinburgh Comedy Award.) 
*His previous shows, such as "Breaking Gadd" and "Waiting for Gaddot," were some of the hottest midnight shows at the time. Everyone was desperately trying to find a way to see them. (They were Free Fringe shows, so we couldn't buy tickets to secure a place to see them!) I found it to be one of the best Fringe experiences, as we had to discreetly grab raffle tickets secretly handed out by a man hanging around in the bar area at a certain time of the day to see the show!