イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。
2020年1月20日月曜日
Netflix Sex Education/セックス・エデュケーション のシーズン2も素晴らしいところがいっぱい!だよ!のお話です
人生も半ばよりは終わりの方に近い年なので、1時間もののシリーズを全部いっぺんにbinge watchingするスタミナが全くないんです。にも関わらず! 8話全部一気に観ちゃったよ。そんなクオリティの高いシリーズがNetflix Sex Educationです。Mindhunterが打ち切りという話で持ちきりの中、静かに(多分)シーズン2が配信開始になってますがみなさん観ておりますでしょうか。観てください。シリーズ1でべた褒めしてる感想はこちら
シーズン2は、スパイディーの能力のないバージョンのピーター・パーカー度がさらに増したオーティス君を演じるエイサ・バタフィールド君がさらにうますぎて、今後の彼のキャリアとイメージが心配になるほどです。また、それぞれのキャラクターを通してのセクシャリティの探求とセリフ運びが飛び抜けてナチュラルかつ俊逸で、多少のベタなプロットなんて全く気にならないくらいです。むしろ、時としてハイスクールミュージカル並みにベタなプロットは、多くの視聴者がセクシャリティをありとあらゆる角度からものっすごく自然に受け入れるように作るための仕込み技術である、と考えたい。それによりジェンダーとセクシャリティのドリームランドのような世界がこのドラマの中で成立できるのだ、と言いたいです。
正直、現実、まだまだSex Educationのようなリベラル最先端な世界は当たり前ではないかと思います・・・。ロンドンとか都会はわからないけど、多くの学校ではまだまだ ゲイやバイであることをカミングアウトしづらい状況だったり、深く触れないようにする教育方針だったり (参考リンク:https://www.independent.co.uk/news/education/education-news/lgbt-lessons-school-parents-consultation-equality-human-rights-commission-a9181326.html。)*。このドラマでは親御さんも概ね好意的だし、子供達も誰がどんな相手と何してても全然オッケー。特にS2では、個人のレベルで、対コミュニティー社会色は少ない。
シーズン1にお友達と話していたのですが、イギリスのティーンエイジ(コメディ)ドラマのカテゴリーだけど、イギリスの学校っぽくないの。(とはいえBBC3もこーゆー感じの色出してるのあったけどおおその名もBad Education)地域特定できない。でも地域特定できないからこそ、理想郷を成立させ、こうあるべき、こうでいいのだよ、というメッセージを無理なく自然にストレートに打ち出すことができるんじゃないでしょうかねー。ジェンダーとセクシャリティ問題で悩む子達にポジティブ・メッセージが送れていて素晴らしいと思います。
シーズン2の制作サイドもさらに強化。さ元(?)YOU TUBERのMawaan Rizwan、このブログではおなじみのRichard Gaddさん!そして近年注目度がどんどん高くなっているRosie Jonesと助っ人が入ったからこそ、本当に取り扱いの難しいセクシャリティとダイバーシティが超メインのシリーズにおいてキャラクターの心理描写や言動展開など、痒いところに手が行き届き、輝いた仕上がりになっているのではないでしょうか。個人的にはS2の新キャラ、イサックくんがエピソードを重ねるごとにここまでピカってきてしまったのは、彼らのインプットのおかげに決まっている・・・!
というわけでぜひみてください。
ガッドさん回は第5話ですよ!
*ちなみに、うちの地域もかなりリベラルな方です。でもここまでじゃない。
2020年1月17日金曜日
Work in Progress から1年。タイトルもついたよBasdenさんの10年ぶりの1h 新作 Sorry Thank You Please観ました
https://sohotheatre.com/shows/tom-basden/
追加席とかガツガツ入れてるんで、明日(1月17日)までSOHO THEATREで捕まえられると思います。
【はじめに】
とにかくStand-up/Story Tellingカテゴリーとしては、10年ぶりの新作なんですよ。(WIPのまま流れるかと思ってたんですよ、マジで!)世界が誇るバスデンファンのオレ様が行かないわけには行かないんです。根回しだって昨年WIPファイナルのPR時くらいからプロモーターさんに「お願い、バスデンさんのショー、プロパーやるなら11月か1月にして」って懇願してたんですから!(「・・・え、ええぇ・・・11月か1月ねえ・・・(渋り顔絵文字)」されましたけど!) 本当にきき入れてもらったとはとても思っていませんが、結果的に1月ですよ! アー写とりおろしも10年ぶり*。プロモーターさんもこの先10年分のアー写のstockpileのつもりでとりましたと認めずにはいられない量のアー写がフィーバー大流出です**。祝!写真がついに年相応に!!
【個人的に15年ぶりのSOHO THEATRE体験】
オレさま、SOHO THEATREを散々紹介しているわりに実はほとんど行く機会がないんですよ。SOHO THEATREってエディンバラフリンジの話題作をキャッチアップするのにベストなところ。なので、2002年に娘ちゃんが生まれたために流石に翌年から2年くらいエディンバラフリンジに行くことができなかった時だけしか行ってないんです。最後のSOHO THEATRE訪問が確かフリンジ大賞受賞時のDemitri Martinだもん・・・(→同行者はドン引き)
そんなわけで今回、3つもハコがあるコンプレックスになっているSOHO THEATRE初体験。
この1階のガラス張りのバーエリアが、Gilded Balloon とかPleasanceのwaiting bar的なエリアで待っとると「〇〇時の〇〇のショーを待ってる人ー!今から入場できますよー」とお声がかかる。同行者によると1日にいくつものショーをこの3つの会場で回しているとのことで、なるほどー、そういうことか、と。
バスデンさんは地下のハコで、入ったら本当に昔のPleasance Cabaret Bar、またはhipster版The Stand 1みたいな感じ(笑
やっぱりスタンダップなのに席を予約、全員座れるっていうのが、civilised してる、と(笑 The Standなんてチケットあったって椅子を保障してくれないですから、ソールドアウトの演目はドアオープンより前に並ばないといけないもん。
【(極めて客観的に考え抜いた)感想】
Sorry Thank you Pleaseって、イングランド人なら口癖だったでしょ? なんかあったらSorry、自分悪くなくても挨拶がわりにSorry口にしてたでしょ? バスデンさんはそういうイングランドに生まれそんな時代を生きてきた。でも結婚して子供生まれて39歳。ふと気が付いたら、誰もその3つ言わないし思わない世の中になっちゃってる!
道でちょっとぶつかりそうになったら、両手をデニーロにして「お前謝れよ」、何かしてもらっても「当たり前だろ」何かしてもらいたくても「オレ様には当然の権利」・・・どんな世の中になっちゃったの。そんな世の中に息子生まれちゃったよ。白人のイングランドの男の子だよ(そして2歳半の息子はふぁっきん傲慢 w)。白人イングランド人、バスデンさんが迷走する様を描く1時間でした。
まず、想像以上に昨年のWIPで聞いたストーリー、そしてネタがしっかり残っていて正直めっちゃ驚きました***。本当にあの最初見たのが骨組みのドラフトで、その後、構成を入れ替えたり、推敲を重たり、そしていらない言葉を全て削ぎ落とし、1時間内に収める…ストレートなスタンダップ芸人さんの作り方と違いますね。まさに物書きならではのプロセスが仕上がりから透けて見えたのが面白かったです。例えば、息子くんと動物園に行った時のネタ(オチは言わないよ!)。オレの見たWIPでは最後に持ってきてたしネタ自体のクオリティとしてもクライマックスにふさわしいくらいなのですが、プロパーのフルセットではなんと前半に持ってきちゃってて、トーンとオチの表現もすっかり変えてた。代わりに中盤くらいでさらっとやってた「ホームレスの人に何か買ってあげようと思って…」ネタがこのショーの肝ネタの一つとしてブラッシュアップされていた。
また、オレのようなバスデンオタクと、普通のliberal arty系コメディ好きの人たち、両方の層をターゲットに同じものでちゃんと響くように非常に考え抜かれて構築された作品だったと思います。 バスデンさんのスタンダップのスタイルって軽いテイストなんですよね。日常の体験やobservationのトホホを語るだけでそこまでがっつり社会派コンテンツへ繋げていかない。表現も結構ユルくてsubtleです。ただ明らかにそのリンクは見えていて、客がそこを読み取るようになっている。で、上記2グループはその微妙なラインを見事なライティングでexecute しているのを素晴らしいと賞賛するタイプ。一方これを物足りない、パンチが効いてないって思ちゃう超ガチガチ社会派コメディ好きはいるかもしれないな、と思います。ここは好みの問題です。
バスデンオタクとしては、学生時代にどんなヤツらがいたというネタ(だって当時のFootlightsのメンツ)と、ベン・バーンズをライバル意識したというもはや1 liner に近いネタで大爆笑しちゃいました。でも、その日客席にいた一部の人たち用だったはず****で、正直ここで笑っちゃった自分ってゲロキモイって自分で思ってます(滝汗)・・・
この新作は多分1週間だけで終わることなく、バスデンさんに時間ができたら断続的に上演されるんじゃないかと思うし、機会があればあちこちで見れるんじゃないかと思ってます。上演情報はこの記事のトップで常にアップデートをして行きます。エディンバラフリンジに数日でもいいからきてくんないかなーというのが希望(去年からの!)です。数日だったら家族できやすいですしねー。
*どこにでも撒けるアーティスト写真のことです。媒体インタビュー用のとりおろしとかはポロポロあるんです。でもそれは媒体とカメラマンさんに著作権があるからそれ以外で使えないので・・・。
**現実的には5−6まいです。アー写のとりおろしを26−8歳ごろの使ってるのに慣れちゃって、こんな量でも大量に感じるんですよ(震)
***とは言いつつ、当時よりは「生」「死」のテーマ色はなかったので絞ったんだと思います。
**** オレがいうのもどうかと思うのですが、オレが見た日は、ステージより客席の方が華やかだったんです。同行者の左テーブルにTim Key, Simon Bird, Jonny Sweet君が座ってて、オレから一つテーブル飛んで右にJoe Thomas君がいて、しかも後ろの方には昔からの友人(多分業界関係者)もいたの・・・。きっと後方にも、うじゃうじゃいる気がする。Mark Watsonとか! そんな意味でもこの夜はエディンバラ・フリンジっぽかったです。
このメンツが客席で去年のWIPの時のようなゆるさは無理180%、よしんば出入りでハローできるかも?という甘い希望も崩れますた・・・去年ハローとお写真撮れといて本当によかったです。
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