暗い7時頃での携帯カメラなので許してください(2年前のエリクソン)
Raving
(今みたらほとんど全部ソールドアウトじゃん…汗 期間中の追加マチネでちゃってるよ…)
チラシスキャンしました…
UKTVコメディ界ではあちこちに顔を出しているSarah HadlandとPeep ShowのRobert Webbが出演、というのを発見し、おお?となったのがきっかけです。もともとMitchell and Webbって自分たちのネタで出世したのではなくて、ほぼまったく執筆に関わっていないシットコム(Peep Show)で出世した人たちなので、コメディの芝居に出る、となるとかなり期待値があがるわけです。
脚本は舞台俳優として活躍するSimon (Paisley) Day。演出家がクレジットをあげたらきりがないくらいのEdward Hall(→ということにパンフを見て知る)
おりしも(&複雑な気持ちを抱えながらも)コメディ部的にプチ祭り中になってしまったロバート・ウエッブなので、鑑賞時には、チケットを購入した際とはレベルの違うウキウキ感を抱いていたことは…否めません(汗)
【お話は…】
舞台はウエールズのド田舎、携帯電話の電波も届かないようなコテージのソリッドシチュエーションコメディです。
育児ストレスのたまったブライオニーとそんな彼女の精神不安定に振り回され気味のキースは、仲のよいロスとロージーの夫婦とともにウエールズのコテージで週末を過ごすことに。ロスとロージーは互いの信頼の厚いパーフェクト・カップルで、今回のプランも彼らがブライオニーを気遣いお膳立てしたものでした。一番ノリにコテージに到着したブライオニーたちですが、道中でキースが携帯を紛失したうえに、ブライオニーが精神安定剤を忘れてきており、何も始まる前から空気はコテージ外の激ワル天気とシンクロしております。ブライオニーはキースをダメ男扱いしさんざん罵ったかと思いきや、一番広い寝室をロスたちが来る前に占領しようとして、キースに「すべてを準備してくれたのは彼らだから彼らによい部屋を譲るのが礼儀だと思う」と止められたとたん、一転してキースを褒めたたえ自分の身勝手さを責めて号泣。完全にストレスでまいっちゃってる新米ママ状態です。
そこへ車の停車する音が。ロスとロージーが到着したのかと思いきや、やってきたのは セリーナとチャールズ。ロスとロージーはこのことをブライオニーたちに知らせていませんでした。ブライオニーの言動から、完全にこの夫婦が苦手なことが見て取れます。しかしセリーナたちはそれを気にするような夫婦ではありません。この2人はとても自由気ままで破天荒。さっさと、一番よい寝室も陣取ってしまいます。そしてそういうKYなところに、ブライオニーが苦手感を抱いているのです。
そんななかようやくロスとロージーが到着。とっても完璧でとっても仲の良い2人は互いにしっかり手をつなぎ肩を抱き合いながら、到着時間が大幅に遅れたことを陳謝。原因はベビーシッターにありました。次々に雇うベビーシッターがロスを誘惑してばかり……、の「ベビーシッター難」に苛まれるこの夫婦は、今回もギリギリになって「ベビーシッター難」に遭遇したのだとか。結果的にシッターを解雇し、ブリストルに住む両親(?親戚だったかも。忘れました 汗)に子どもを預けてからやってきたため時間がかかってしまっていたのです。ロージーの「確かにロスが魅力的なのはわかる!だけどワタシに向かって”母国に住む父親の治療費のための資金を支援してくれたら、ロスとの間で何があったか全部話す”といって、子ども部屋以外のすべての部屋でヤルことやったってホラを吹いてきたのよ!!許せないわ、あの女!」
「ロスがその誘惑に勝てないと困るという2人の判断から、2人できちんと防御して、わざわざブサイクなシッターにしているのよ!それにも関わらず…」
そしてロスは「僕が災難に遭っているところをローズが助けてくれたんだ。彼女の機転のきいた行動に大感謝だよ」
そして一同「すごいのねー」
そんなわけでようやくそろった3組の夫婦。チャールズから借りた携帯電話の電波が通じず、息子との連絡が一切とれないというブライオニーたちの不安はさておき、なにはともあれ”楽しい”週末を過ごす準備を始めますが…。
【3パターンの夫婦関係がソリッド・シチュエーションによってもみくちゃにされる】
ずばり、ここが醍醐味なんです。かなりありがちな設定なので、一歩間違えると「ありがち」で終ってしまうのですが、見事にこの「ありがち」な設定を客を引き込む導入口に利用し、意外性とドラスティックな要素をパンチを効かせた展開で盛り込んでいたと思います。クライマックスでのパンチの効かせ方が夫婦ものを取り扱うシットコムではあまりみないタイプの、非常にパワフルなものでした。
【実力派の役者陣が芝居を活かしている!】
芝居って脚本ありきですが、その脚本を活かすも殺すも役者次第なんだ、ということをかなりしみじみ味わえた芝居でした。色々なタイプのコメディがありますが、これは誰がやっても面白いコメディにはならないタイプだと思います。夫婦の微妙な関係や、夫婦の本音は言葉には現れないことが多いから、そう感じるのかもしれません。この6人の役者さんは、見事にセリフにならない部分でそれを表現してくれました。脚本だけ読んだら笑えないだろうところが爆笑できたのは、役者さんのおかげだと思います。キース役のバーナビィ・カイさんがすごいよかったなぁ。あとこの6人3組の夫婦をさらにひっかきまわすセリーナの姪っ子タビー役の子がめちゃくちゃ個性的で気に入ったんですが、この子やっぱり新人賞ノミネートとかしている強者だったんですね!Jumpyでタムシン・クレイグと共演しているんだ…(→今頃知る 汗)そりゃ、すごいわ。この女優さんは絶対に注目ですわ。コメディおたくとして。
【ロバート・ウエッブがロバート・ウエッブらしい~~役柄だった!】
コレはハマり役としかいいようがないです(笑)いわゆるみんなの大好きなロバート・ウエッブが観れます。これ以上いうとネタバレになっちゃうから黙りますが、コレはUKエンタメファンにはおいしいですね。 じつは前述リンクの例の件でエリート臭が強すぎちゃってるとやんわり懸念していたりもするのですが、彼こそが伝統的な戦後のエリートコメディをきちんと伝承していける人材の1人だという考え方に変わりました。その意味では、抜群の、最高の仕事をしてくれていると思います。
というわけで、キャッチできそうだったらぜひキャッチしてください!行ってよかった!って思いますから!!!
イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。
2013年11月8日金曜日
2013年11月2日土曜日
S.フリアーズ監督xJ.デンチxクーガンの超話題作「Philomena/あなたを抱きしめる日まで」は…最高に極上な感動作です。
こんにちは。クーガン・ギークのイナムラです。
クーガン主演ときくと、周り中にとっちらかっているやらなければいけないことがすべて見えなくなるのがクーガン・ギークです。11月1日から地元エディンバラにて「Philomena/フィロミーナ」が公開になりましたため、行きつけ(?汗)の映画館の初回上映時に行って来ました。
邦題は「あなたを抱きしめる日まで」 。(→なんとすでにウエブサイトまでできておる!)ファントム・フィルムさん配給で2014年3月公開予定。
(そ、そうだったのか… 。クーガンを取材できるというチャンスはどこかに転がっていたのか…。いや、しかし、前後1ヶ月は軽く眠れなくなるからな、コレでよかったに違いない…)
【お話は事実をもとにした物語…】
90年代にイギリスに長期滞在していた人にとっては、マーティン・シックススミス/Martin Sixsmithという非常に馴染みの深いBBCジャーナリスト/ブレア内閣時のスピン・ドクターがおりまして…。(→なもんで、「The Thick of It」のアドバイザーだったことでも有名です) 9.11の事件におけるメディアの政治に巻き込まれ、BBCもスピンドクターも辞める形に。お話は、その辞めさせられる形になったマーティンが、ひょんなきっかけで元看護師のおばあちゃんフィロミーナと出会い、彼女が生き別れになった息子の行方を追うという、「政治/political affairs」とは分野の異なる「3面記事/human interest」の取材をはじめることになります。お涙ちょうだい系の感動話とばかり思っていたのに、とんでもない方向へ話が展開していきます…
【涙と感動のヒューマンドラマなのに、しっかり社会派な色も出すスティーヴン・フリアーズ節を堪能できる傑作!】
スティーヴン・フリアーズ監督といえば「My Beautiful Laundrette」「Prick Up Your Ears」「Queen」などなどの名匠。涙を誘うヒューマンドラマとマクロ的にみた社会派な視点を融合するという、一貫したテイストがありますですね。本作も、まさに!それでした。展開にギクシャク感がまるでなく、すべすべで滑らかで洗練された絵作りが充分に楽しめました。素敵!としかいいようがありません。
【世界中のクーガン・ギークにとっては確実にお気に入りの1本となる作品】
この作品、クーガンがデンチおばさまと華麗なる競演を繰り広げているだけではなく、共同執筆しているというところが、クーガン・ギークにとっての最大のポイントであります。(イアヌーチせんせいがたとの共同執筆によりますが)クーガンの何がすごいって、political correctnessが主流になっていた90年代のUKコメディシーンで、今までの階級や人種、ゲイなどある特定のグループをターゲットにするlaugh atな笑いではなく、おじいちゃん/おばあちゃん/子どもなど、ターゲットとして導入したり、観客が自分自身または身近な人物を思い起こさせるlaugh with な共感の笑いを全国的な主流にしたことにあります。たとえばですね…(おばあさんとのやりとりをご覧ください)
こういう醍醐味がしっかり味わえる脚本でした。なんてごちそうなんでしょうか。
セリフだけじゃないんです。分析に分析を重ねて構築したcharacter breakdownはクーガンの専売特許ですから、今さら絶賛する必要もないのかもしれないですが、爪のアカの種類まで決め込んでます、といわんばかりのキャラクターがあるからこそ、眉毛一本のピクリ方、クビのかしげ方、目の泳ぎ方なんて超マイナーなアクションがほほ笑ましい笑い、クスクス笑いに繋がって行くのです。そしてめっちゃかっこよい。このクーガンがお気に入りになるのは、クーガンがそもそものかっこよいまんまで、(&中身的にヤバい人ではなくて)映画に出演しているという点でもあります。(キッパリ)これは、The Tripくらいかっこいいです。マジです。
【デンチおばさまはアッパレすぎます】そして緻密に計算されたキャラクター、一挙一動がすべて笑いそして涙に繋がってしまうキャラクターをいともあっさり、自然に、自分のものにしてしまっているのが大女優ジュディ・デンチおばさまではないでしょうか。英国民のどんな層を代表しているのか、一発でわかってしまう。空港でフィロミーナがマーティンに延々と読んでいた時代ロマンスのプロットを語り出すシーンがあるのですが、あそこで、こういった系統の本たちが頭に思い浮かんでしまいました。自然とほわんと頭に浮かぶということがすごい…です。
最後はやっぱり泣いちゃいます。
日本公開の際はぜひ劇場へ足をお運びください。
クーガン主演ときくと、周り中にとっちらかっているやらなければいけないことがすべて見えなくなるのがクーガン・ギークです。11月1日から地元エディンバラにて「Philomena/フィロミーナ」が公開になりましたため、行きつけ(?汗)の映画館の初回上映時に行って来ました。
邦題は「あなたを抱きしめる日まで」 。(→なんとすでにウエブサイトまでできておる!)ファントム・フィルムさん配給で2014年3月公開予定。
(そ、そうだったのか… 。クーガンを取材できるというチャンスはどこかに転がっていたのか…。いや、しかし、前後1ヶ月は軽く眠れなくなるからな、コレでよかったに違いない…)
【お話は事実をもとにした物語…】
90年代にイギリスに長期滞在していた人にとっては、マーティン・シックススミス/Martin Sixsmithという非常に馴染みの深いBBCジャーナリスト/ブレア内閣時のスピン・ドクターがおりまして…。(→なもんで、「The Thick of It」のアドバイザーだったことでも有名です) 9.11の事件におけるメディアの政治に巻き込まれ、BBCもスピンドクターも辞める形に。お話は、その辞めさせられる形になったマーティンが、ひょんなきっかけで元看護師のおばあちゃんフィロミーナと出会い、彼女が生き別れになった息子の行方を追うという、「政治/political affairs」とは分野の異なる「3面記事/human interest」の取材をはじめることになります。お涙ちょうだい系の感動話とばかり思っていたのに、とんでもない方向へ話が展開していきます…
【涙と感動のヒューマンドラマなのに、しっかり社会派な色も出すスティーヴン・フリアーズ節を堪能できる傑作!】
スティーヴン・フリアーズ監督といえば「My Beautiful Laundrette」「Prick Up Your Ears」「Queen」などなどの名匠。涙を誘うヒューマンドラマとマクロ的にみた社会派な視点を融合するという、一貫したテイストがありますですね。本作も、まさに!それでした。展開にギクシャク感がまるでなく、すべすべで滑らかで洗練された絵作りが充分に楽しめました。素敵!としかいいようがありません。
【世界中のクーガン・ギークにとっては確実にお気に入りの1本となる作品】
この作品、クーガンがデンチおばさまと華麗なる競演を繰り広げているだけではなく、共同執筆しているというところが、クーガン・ギークにとっての最大のポイントであります。(イアヌーチせんせいがたとの共同執筆によりますが)クーガンの何がすごいって、political correctnessが主流になっていた90年代のUKコメディシーンで、今までの階級や人種、ゲイなどある特定のグループをターゲットにするlaugh atな笑いではなく、おじいちゃん/おばあちゃん/子どもなど、ターゲットとして導入したり、観客が自分自身または身近な人物を思い起こさせるlaugh with な共感の笑いを全国的な主流にしたことにあります。たとえばですね…(おばあさんとのやりとりをご覧ください)
こういう醍醐味がしっかり味わえる脚本でした。なんてごちそうなんでしょうか。
セリフだけじゃないんです。分析に分析を重ねて構築したcharacter breakdownはクーガンの専売特許ですから、今さら絶賛する必要もないのかもしれないですが、爪のアカの種類まで決め込んでます、といわんばかりのキャラクターがあるからこそ、眉毛一本のピクリ方、クビのかしげ方、目の泳ぎ方なんて超マイナーなアクションがほほ笑ましい笑い、クスクス笑いに繋がって行くのです。そしてめっちゃかっこよい。このクーガンがお気に入りになるのは、クーガンがそもそものかっこよいまんまで、(&中身的にヤバい人ではなくて)映画に出演しているという点でもあります。(キッパリ)これは、The Tripくらいかっこいいです。マジです。
【デンチおばさまはアッパレすぎます】そして緻密に計算されたキャラクター、一挙一動がすべて笑いそして涙に繋がってしまうキャラクターをいともあっさり、自然に、自分のものにしてしまっているのが大女優ジュディ・デンチおばさまではないでしょうか。英国民のどんな層を代表しているのか、一発でわかってしまう。空港でフィロミーナがマーティンに延々と読んでいた時代ロマンスのプロットを語り出すシーンがあるのですが、あそこで、こういった系統の本たちが頭に思い浮かんでしまいました。自然とほわんと頭に浮かぶということがすごい…です。
最後はやっぱり泣いちゃいます。
日本公開の際はぜひ劇場へ足をお運びください。
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