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2022年10月2日日曜日

エディンバラフリンジで見逃し案件キャッチアップ① Sean McLoughlin ”So Be It" 観ました。

 現在UKツアー中。ご本人の地元?(→未確認)ブライトンは10月初旬、ロンドンは10月下旬です。

http://seanmcloughlincomedy.com/tour/

マイク一本で勝負する、ミニマリズムなパフォーミングアート、フォーマットとしては超どストレートのスタンダップを展開する芸人さんです。

キャリア15年で現在32歳(→33だったかも。ショー中に話していて知った。どちらにしても若い)。ここ7−8年では、トップ中のトップ技術とカリスマ的な個性を持ち、かつネットワーク運に恵まれないとチャンスをもらえづらい「白人」「イングランド人」「ストレート男性」「(比較的)若い」の4重苦をもつカテゴリーにいます。

この4重苦を持つ芸人さんは業界の習慣と特色上、ネットワーク運が圧倒的に良いというのも否めないのですが、トップ中のトップ技術が備わっておらずとも毛色が変わっていることでチャンスがめぐりやすい芸人さんがある程度いるなか、結構厳しい戦場で頑張っている芸人さんです。

それがわかっているのに、こんなこと言うのもなんですが、結構あちこちからいい評判ばかりを聞いているにもかかわらず、こちらの腰が重くなっちゃってですね(滝汗)。フリンジも推しと推しら辺一帯と天秤にかけた場合、優先順位のなかなか上に喰いこめず(滝汗)、「イングランドの人だからツアーで回ってきたときにキャッチしよう」と後回し。で実際回ってきたときに別の用事で行かれないとか、パンデミックで何も回ってこない状態とかになるわけですね。

そんなこんなで、今回ついに。初めて拝見させていただきました・・・

【感想】

場所がThe Stand Comedyだったんですけど、フリンジ以外の時期で平日夜8時枠の場合、サポート的なアクトを含めて90分ー2時間枠で行うことが多いんですね。たまに経済的事情でそれをやらない芸人さんがいて(→サポートをいれるとその分収入が減る)今回も約45分ずつの2部構成で、なんの問題もなさげに全90分コンプリートしてました。

カナダから(→奥さんカナダ人。これもショー中に知った)戻ってきたばっかりで、時差ボケがっつりで、その前もヨーロッパで営業してたので、「ここ1ヶ月くらいのイギリスのことがまるでわかってない*」w っていうのが、ナイスに今回のショーの軸となる「(社会)システムについてのあれこれ」の上手な導入口に。

グーグルに支配されないため何をやってるか、奥さんのビザ取得の話、カナビス購入とか違法だけど馬を無条件で買えるってどーなのよ…とか、オーディエンスの話も巻き込んで(それで時間を90分に引き伸ばしてるんだろうけど)突散らかさず、本線からずれずにまとめてて、ハイクオリティな芸を見せてもらいました。特に、最後の締めがホントに粋でした。ちょっとしたノベラを読んだ時のような文学的情緒をもたらしてくれた。それは途中であったThe Grapes of Wrathのリファランスが潜在的に効いてるからなのかもしれない。マイク一本で90分という長時間で客を惹きつけこの世界観を作り上げて終わらせる芸人さんは、本当に少ないと思います。

一つ大変興味深かったのが、ジョークの落とし方。落とす前に、客とインタラクションしてクッション入れるんですよ。で、そこで生まれるフリからの落としがはいる。でオチ。その時もオチって感じな喋りのトーンじゃないことがあって、すごく新鮮なスタイルでした。これってやっぱりStewart Leeの影響入ってんのかなぁ? 真似でもなんでもなく、完全に別物になってます。(褒めてますよ!)

もっと注目されてもいいと思うんだけどなぁ。

ただ、この芸人さんも(?)注目されてメジャーになると一工夫入れてかないと次へ進めない「ルーザー芸」が基軸にあるので、注目されすぎるのもアレなのかもしれないw 15年のキャリアのうちソールドアウトになったことねーとかw

というわけで、皆様のお近くにやってきたら、ぜひお試しください。ソールドアウトになったことないというのがホントなら、当日にあなたの街に来ていても、絶対にチケット買えると思います。


*未来にこの記事を読む人がいらっしゃったら、この2022年9月は鉄道はじめあらゆる労働組合のストライキが起こるなかエリザベス女王陛下が崩御して英国中が2週間くらい毎日クリスマスみたいに休業しちゃうっていうとんでもない月だったですよ。

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