それは、今からつい3日前の金曜日のお昼頃のことでした。ウイスキーアンバサダーになるため15分で4種類呑見分けるという厳しい修行に専念しているとピロロロンと友人から携帯にお知らせが。
EXTRA @timkeyperson SHOW:
— Monkey Barrel Comedy (@BarrelComedy) January 28, 2022
💥TOMORROW 💥
It was nice to hear #MonkeyBarrel get a shout out in Tim’s (frankly chaotic) episode of @OffMenuOfficial this week - and now he’s back with us!
🎟 https://t.co/DoUP35YJaA pic.twitter.com/5Rq8Dl0po3
それは、行きたくて行きたくてしょうがないのにチケットが即完売で、うっかり後で気付いた時にはまるで取れなかったMonkey Barrel ComedyのTim Keyのショーに追加公演が出たとのお知らせ。酒を注ぐ手は、速攻でリンクをクリックしクレカを財布から引き出す手となり、無事購入です! やったよやった!!
エンジンがかかってしまい、その後さらに出た追加公演も速攻で購入。週末に同じ演目2回観るとか、フリンジみたいなことをしてしまいました。かなりアドレナリンが出ちゃった…汗。
実は、過去に恐ろしい数のTimKey体験をしているのに、空気的に客とステージにクリアな一線が敷かれてるハコで、シアトリカルな傾向にあるものしか観たことがなくて。最近のショーを観てる人たちによると、かなり客としゃべくり倒すが、だいたい男子しかピックアップしない(ので前に座っても大丈夫)とのことだそうです。
今回、こーゆー感じの客との一体感が構築されやすい空間で、Tim Key体験っておぼえてる限りで初めてなんですよ。
1回目 Monkey Barrel 1
Mulberryは、パンデミック中の徒然草で、He Used Thought as Wifeに続く新作 Here We Go Round the Mulberry Bushからのポエムを中心に展開する70分です。お馴染みのジャージ姿で、スーパーの袋ぶら下げて登場。袋から缶ビール取り出して飲み、まるでパブかなんかでその場に居合わせた人たちと駄弁ってるかのような「会話から生まれる笑い」を見事なまでに演出しながら、ポケットからツイッターやインスタでもお馴染みの、ポエムが書いてあるトランプカードを取り出し、それを読みあげていく。
2回観たからこそ理解したことなのですが、
「ロックダウン参加した? 何回目のロックダウンが一番好き?」
「ロックダウンどこでやってた?」
「アマゾンった? 何買った?」
「誰とロックダウンやってた?… オレ?オレはクマ(等身大に近いぬいぐるみ)と」
といった質問は構成台本のふしめトピックになっていて、いかにもその場のた話が展開されるように見せながら、じつはTim Keyの描くスクリプト内起こっていることなんだろうな、と。このショーのプレビューおよびWiPの回数が、今スケジュールされてるSOHOTheatreでのオフィシャルの日程なみに多い。(昨年からこまごまこまごまやってるので)おまけにSOHO Theatreの公演中に一回WiPをBill Murrayで挟んでますからね。驚愕のデータ収集をしてこのショーを作り上げているようです*…。
客層も緻密に選んでいますよね。コメディファンでも確実にSOHO Theatre層(→もともとフリンジの人気演目がロンドンで秋に見れるという流れを作ったハコ)に限定してデータ収集。WiPやってるところがBillMurrayとここ!エディンバラのMonkey Barrelとレスターだけ。あ、オンラインでは芸人さん数人と会話形式で(Isy Suttieとか)。plusミックスビルでMoth Club。ピンポイントだからこそ、この神レベルの深さとクオリティに仕上げた、じつはむちゃくちゃ作りこまれているショーを、まるで徒然なるままにの一期一会に演出することができるのかもしれないです…。
パンデミックって、一番やりづらいけど誰もが通らずにいられないネタだと思うんですよ。だってみな同じ生活を強制させられたんですもの。誰もが四方八方、毎日毎日この話以外聞くことができなかったんですもの。飽き飽きしてるし山のようにネタも放出されてしまっているけど、他に選択肢がない。選ぶ自由がない。昨年秋くらいから素晴らしく感動したショーはいくつかありますが**、それらは「パンデミック」をニューノーマルとして(=当たり前として)展開していくものでしたね。パンデミックにわざわざ触れないの。
Tim Keyがそれらと一線画して(別の類で?)すごいところは、誰もが避けられなかったロックダウンを逆利用して、今回のようなフォーマットで緻密に作り上げたショーを展開しているところだと思います。ロックダウン中は誰もが同じ(自由のない限られた)生活を強いられていたので、話しかけても返答の幅が圧倒的に限られている。広がりに限界がある。だからもともとの構成内に軌道修正がめちゃめちゃしやすい。たまになら圏外でちゃっても、ちゃっと切り落とせるし(→実際2回目ではそれが起きた)
結果的に今回3日間エディンバラでやってくれたうちの初回と最後を観たせいか、2回目で、ああこれは、living with bleakness (虚無感と共存する、みたいな?)への哀歌なのだな、と皮下組織に染み渡って、どーしようもない究極のエモ状態に。もともとそういう系ではあるんだけど、なんか今回濃度が濃かったと思う。うまい掛詞でキーワードが2-3あって、2回目でその辺もああそうか、と皮下脂肪に響きました。1回目はTim Key観れる!ってので超ウキウキしちゃったから皮膚に笑いのシャワー浴びていっぱいいっぱいだった気もするし、ご本人も台風(→風速60マイルのやつがきてました)で電車がニューキャッスルで止まっちゃって、他の乗客とっつかまえてタクシー相乗りでなんとかエディンバラたどり着いた(もしかしてバタバタでハコに入ってきたのかも!)なんてハプニングのなかの1本目だったので、様子がちょっと違ったのかもしれないです***。
このどうしようもないエモ状態から抜け出せなくて、発売当時は「うわーめっちゃ可愛いけどお値段的にちょっと考えよう…」と保留にしてすっかり忘れていた、ポエム書いてあるトランプカード(ものすごいかわいいの!!)をポチってしまいました…。
というわけで、この手法とフォーマット、感動の作り方すべてにおいて、演劇ファンの人にもぜひみてもらいたいし、ぜひどんな感想をもたれたか、聞きたいです! WiPはすべて完売だけど、ロンドンのSOHO THEATRE公演のチケットはまだ残っているそうです。急げ!急いでください!!!オレどこかでプレビューとかWiPじゃないやつ、みたいです。おそらく何回みてもちょこちょこ違うのだろうけど、プロパーと本人が定義したものってWiPじゃないやつとどう違うのか、みたいです。フリンジに数日でもいいんで来てくれたらほんとにうれしいです。今度こそ絶対速攻でとれると思う!なんとなく。
*ただですね、いまこれ書いててはっ!!と気づいたのですが、ここんところ10年くらいのStewart Leeってまるまる1カ月エディンバラのフリンジでWork in Progressでものすごいデータ収集して、ツアーの大冒険に出ているんだった…。そうか、そういうことだったのか…
**Fin Talorさんとかね。あと1月オンラインで見たNick HelmがAlways Be Comedyでやったセットはさすがだった!ちょっと長すぎたのを除いて傑作だった!
***この話ツイートもしちゃったけど、ほんとに、偶然同じ列車にTim Keyと同席したうえに!その電車が止まってタクシー乗り合いで3時間一緒って、そんな運のよすぎる人たちが羨ましすぎて死にそうですよ! その同乗者3人のうちの1人はポーランドの子で全く興味がなかったそうです。そーなんだよね、そーゆーもんなんだよねぇ…
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