イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2017年12月31日日曜日

Ricky Gervaisの新企画Deadly Sirius について半分妄想しながら考える (2)

(1)の続きです。


一応ここにもダイレクトに聴けるリンクを。


そんなわけで、リッキーとエイカスター君の絡みが全く予想できなかったオレは期待に胸を膨らませ、ついに禁断の(?)ボイコット解禁をして聴いてしまひました、Deadly Sirius ジェームズ・エイカスター君回。以下、その感想です。

(注:エイカスター君回、と言いつつも…すいません。実はオレの頭ではそうなんですが、もう1人ゲストがおります。Alex Edelman君です。ないがしろにしてるわけじゃなくて、彼はアメリカ人でリッキーのツアーの前座をやった芸人さんなので、特記しなかっただけです。すみません。)

今回はスタンダップ・コメディアン同士がコメディについて語り合おう!といったふりがありスタート。しばらく聴いていたのですが…

悪口じゃないですからね。

超フレンドリーで至極丁寧なんです。フッツーのいい人なんです。
何のネガティヴ要素も期待しているわけではないですし、かつてのようないぢり芸はむしろやって欲しくないですし、社会人リッキー・ジャーヴェイスはフッツーのいい人なんだろうし、いいんです。なんですが、この企画シリーズならではな色のある面白さが…ない。

ご存知の通り、英国の芸人さんを招いてトークする、というタイプで人気を博すPodcastはすでに2本あります。Richard Herring のLeicester Sq. Theatre PodcastStuart GoldsmithのComedian's Comedian。前者はゲストのキャリアや最近の活動についてリチャードならではの観点と、リチャード・へ(ハ)ーリングのファン層であるコアなオルタナコメディを好む視聴者をターゲット層とした話の展開が特徴。後者はStuart Goldsmithが自身芸人であるからこその玄人な視点と知識と経験でもって、各ゲストがどのような影響を受け、どのような努力をし、どのように笑いを作っていくか、をインタビュー分析するというものになります。両方とも本当に面白いし聞き応えがあります。


そんな経緯から、至極フレンドリーでいい人なリッキー・ジャーヴェイスが今まで絡んだことのない芸人さんと和気藹々とした時間をすごすほっこり45分だけじゃない、例えば上記2つ以外の、別の、聞き応えのある”おお!”を期待するんです。なぜなら、やってる人がただの人じゃなくてリッキー・ジャーヴェイスだから。へぼい芸人さんではないから。
ご本人も「コメディ界の特権階級」と自覚しておるように、リチャードやスチュワートとは全く別の立ち位置にいるイングランド人芸人さんなのですから、別の魅力を持っていてもいいんじゃない?と。ところがリッキーのいい人っぷりがわかるわりに、笑い的に弾けた魅力がない…また、ゲストがエイカスター君(たち)なのに、気がつくとリッキーの話になりがちな傾向が見受けられるのが正直残念でした。

そこで、なぜそのような印象になってしまったのか、を考えてみました。

試しに、2017年8月エイカスター君ゲスト回のLeicester Sq. Theatre Podcastを聴き直しましたところ、エイカスター君が非常に重要な発言をしていたのです。米Conan Obrienのショーでスタンダップのスロットをもらった時の感想を、リチャードがもの「どうだった?」といたって平凡な質問を投げかけると、エイカスター君は「普通の答えももちろんできるけど、このポッドキャストのオーディエンスが聴きたいことを話してあげるよ」と言っていたんです。この後に展開する彼のエピソードはまさにエイカスター君の作り出しているパーソナの真骨頂とも言える抱腹絶倒のとっておき極上ネタでした。
これはエイカスター君が、リスナー層=誰を対象に喋るのかがはっきりわかっているから、喋りにブレやぼんやりがないせいじゃないかと思います。

一方Deadly Siriusの場合、フレンドリーで居心地の良い会話のやりとりで、あくまで普通にQ&Aが進行するせいか、リッキー・ジャーヴェイスという国際的メガ(?)コメディアンのターゲット層なのか、リッキーが今回選択しているゲストたちのファン層がターゲットなのか、ぼやけててわからないんです。前者の場合、エイカスター君のことを知っているリスナーは割合的に非常に少ないのではないかと思います。だからエイカスター君はどこでどうギアを入れたらいいか、もしくは入れちゃっていいのか自体がわからない。後者の場合は、リッキーの番組でありながらもファン層はリッキーのファン層とはかぶらないので、リッキー側でテーマや質問の切り口といった何かしらの作り込みが必要じゃないでしょうか。最悪は、ストレートに放送前にターゲット層の情報インプットでもいいです。それがないので、エイカスター君はぶっ飛べず、空気を読み続ける結果、リッキーは自分のことをたくさん喋ってしまうのではないでしょうか、と思いました。

備考として、エイカスター君がJoel Dommett の名前を出したとき、リッキー的に「誰?」になっちゃったのを見て、ありゃ、そうなんだーと思いました。英国ライブコメディはそこまで精通してない立ち位置になってしまった一方、前挙のポッドキャストのホストであるリチャードやスチュワートみたいにゲストの経歴やショー、作品などをしっかりリサーチして色々質問が飛んでこない。だからゲスト側に寄り添ったディープトークにならない。エイカスター君はエイカスター君でリスナーターゲットがわからないから、勝手に飛ばせない。。。のスパイラル。

何が言いたいかというと、エイカスターくんのConanの時のエピソードが死ぬほど笑えるのでRHLSTPを聞いてください、ということです。(違)

あー長かった!どうもすみません。。。











Ricky Gervaisの新企画Deadly Sirius について半分妄想しながら考える (1)



今年最後の記事になるかと思います。半分妄想なので全部真に受けないでください。

以下の感想を書くにあたっての経緯を記録している参考記事 はこのブログの前身だったブログからどうぞ(マッケンジー君の記事は除く)。http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-category-18.html

このブログになってからは、
http://www.gojohnnygogogo2.com/2016/09/the-officedavid-brent.html
をご参考にしてください。


https://www.youtube.com/watch?v=iGd5qgHhT7U&feature=youtu.be

米国サテライトラジオ曲Sirius XM Radioより今年の秋も深まる秋(→正確な日を憶えてない)から放送が開始になりました、リッキー・ジャーヴェイスの新企画です。ポッドキャストのようなローファイなメディアで、ゲストとともにワイワイ喋ってます。企画だけきいていると、今まで十分すぎるくらい知られているポッドキャスト他ローファイなメディアにおけるよくある企画シリーズ、何の変哲もなさそうなのですが、実際リチャード・ドーキンスとかノエル・ギャラガーとかの豪華ゲストが控えているそうなのですが、かなりの人数を、英国スタンダップ界の芸人さんを投入しておりまして。
いや、確かに、例1:tongue in cheekにRed Noseから始まったような気がしないでもないThe OfficeのDavid Brentのその後企画でDoc Brown とバスデンさん。例2:Derekで起用したブライアン・ギテンズ。でもDoc Brown って本業ラッパーだし、ブライアンはリッキーがスティーヴン・マーチャントとポッドキャストをやっていた時に売り込みしてきた芸人さんだし。英国ライブ・コメディ&スタンダップ界にダイレクトに交流を求めているものではなかった。です。(注:バスデンさんの経緯はバスデンのプロなのによくわからない)
というわけで、このDeadly Siriusシリーズは今までではありえないターニングポイントを期待させるものだったんです。The Office前のライブ会場のブッキングマネジャーだった時には当たり前のようにやっていたであろう、イギリスのライブコメディ業界全体を見渡して「これ面白い」と思った人と交流する、ということと基本線一緒ですから。

実例としては、ロビン・インス氏。ここ10年くらい科学エンタテイメントで多くしてブライアン・コックスさんと一緒に活動を続けているので知名度範囲が広がったのではないでしょうか。彼はその昔リッキーとスティーヴン(マーチャント)とともにポッドキャストに出ており、嫌々ながらカール(ピルキントン)の立ち位置に立たされ(いじめ抜かれ)た結果、仲違いした経緯があったのですが、このシリーズのゲストに。企画の段階からリッキー側から歩み寄りがあったようで、このシリーズの発表になる随分以前から、また交流するようになったとロビン・インスは話をしており(注:ツイッターで)「もう随分時も経ったしね」みたいなコメント発したり、実際会った時の思いなどをポツポツ呟いたりと、ほのぼの気分にさせられたオタクは多かったのではないかと思います。他にもデヴィッド・バデール、エド・バーン。おそらくThe Office前に交流はあったものの音信不通になりこの機会に、と招いたんじゃないかしらと勝手に妄想できやすい芸人さんx2。あ、今見たらSimon Amstellもいる。彼らがにっこり笑っている画像で、へええ、と再びほっこりしておりまして。

 ところがですね、その後程なく全く絡みの予想がしづらい芸人さんがゲストで登場したんです。それが、天才青年、の時期はゆうに越した33歳ジェームズ・エイカスター君でして。はい、実は業界歴短いのに(8年?)天才すぎる芸人さん。典型的イングランド人を絵に描いたような、というかこれ以上典型はいないだろうくらいの容姿をもつエイカスター君ですわ。テレビでみることはMock of the week系パネルショー?を除いてはほとんどないエイカスター君です。ついにSirius XMボイコットを解禁してしまひました(注:折しもリッキーの新企画スタート直後にスティーヴ・バノンがSirius XMで枠を持つことになり、その結果セス・ローゲンをはじめ多くの人がボイコットをしているのです)

げ、まだ本題に全く入っていないのに、すでに文章が異常に長い。一回切ります。
エイカスター君回の感想はこちらになります。

2017年12月14日木曜日

マッケンジー・クルック君(?)脚本監督出演DetectoristsS3感想です



オンラインこちら。多分ネットフリックスでS1−2を日本でも見れると思います。

マッケンジー・クルック君脚本監督出演のDetectorists シリーズは歴史に残る傑作シリーズとして地球の滅亡が過ぎても多くの人々に愛されることと思います。

プロット的にはS2以上続かなければいけない確固たる要素がなかったにも関わらず、無理くり感ゼロで、それまでのハイクオリティーと醍醐味をキープして完成させたことに感動です。以前彼の執筆していた童話の出版記念Q&A イベントへ行った時、続編についてはやりたいからとか、要望が多いからと行った理由で続きを書くことができない、何か別の要素がないと作る意味がないから、といった話をしていたので、きっとマッケンジー君の中でDetectoristsのS3を作る確固たる何かが見えていたんだろうと思います。

今回のシリーズでは、いわゆる普通のカメラワークになっていたのが、一番驚きでした。(カメラの台数が増えたとかカット割りが増やせるようになったとかあるのかな、とか)もともとマッケンジー君は、今回のシリーズのように撮りたかったのだけど、予算がない中で作った偶然の産物美だったのかもしれません。だとしたら、S3を今回のカメラワークで撮ること自体が価値があり実験でもあったのかも、と思ったり。

シリーズを通して、この作品は、あなたのその何の変哲も無いと思い込んでいる日常自体が実はキラキラした宝石なのだよ、ということを1フレ1フレで悟らせてくれる。自分の毎日繰り返しで淡々とした生活ってつまらないんじゃないんだと、気づかせてくれる。ラストも含め、ブラボーすぎて号泣必至ですのでぜひ観てください。