ここ数年、レギュラーご贔屓の芸人さんです。感想記事数は少ないけど、ここ数年生産物はだいたい網羅してます。
Jordan Brookes: This Is Just What Happens
https://tickets.edfringe.com/whats-on/jordan-brookes-this-is-just-what-happens
過去にショーの感想記事で、「シアターあがりの人としか思えない、ショーの作り方なのだが、その辺の情報が一切出てこない」とぼやいているのですが、パンデミック時に、結構オンラインでコメディーやったり、フリンジで賞をとったショーをYOUTUBE経由でWatch partyしたりとしてくれていて、その度に参加しては、作品づくりについてききたいことを質問する機会があったんですよ。 やっぱりジョーダンさんは、短期ですがドラマスクールに通ってました。名前忘れちゃったけど、うんちゃらさんっていう講師から、ストリートパフォーマンスのテクニックを教わったらしい。それがベースにはなっているそうです。
納得。
【今回のショーの内容は】
「今までのショーでは、お客さんにconfrontationalで居心地よくない空気を作っちゃってたけど、それは過去のはなしぃ。お互いナイスでいたいよねぇ。だからこのショーはナイスを保ちます!」という前フリ。なので、ナイスなわけがありません。いわゆるクラシックなジョーダン・ワールドの幕開けくらいな感じです。
「今回話したいのは、ひどいこと言われたときのこと。いやどんなに頑張ってもオレってハンサムではないじゃん。ジョーダンってハンサムじゃないよねって誰かが言ってるの聞いたら、「ええええ?!(あんた何言ってんの?!的に)」って激しく本気で否定する人はいないじゃん。「…えええええ…?(いやそんな身も蓋もなく言っちゃぁ)」って否定するくらいだよね? だから自他共にそーゆーレベルだってのは認識してるんだけど、あるパーティでさ、友達がさ「今友達がジョーダンのことネチネチした陰気なスライムだよね、って言ってた」ってオレにわざわざ伝えに来てさ。ええええええ?!そんなことわざわざいううううう?
っていうところから展開して行く、自意識、自己アイデンティー、メンタルヘルスについてダークに探訪して行く1時間です。
【感想】
ショーは、オーディエンスと交流するという演者vs客の2面と、ジョーダンさんの心の声と建前とのやりとりで展開される2面という、ダブル構成。
建前のジョーダンは、客席から私語が聞こえれば「そこで話してる人たち、ダイジョーブ、どーぞどーぞ喋ってて(にっこり)」会場(おトイレで)抜ける人がいれば「あ、いいよいいよー、でてっちゃうのね、行ってらっしゃあーいー」動きとかポーズが、稲中卓球部とかグリーン・ヒルとか、ああいう感じ。(そーいえば、ジョーダンさんの雰囲気って古谷実ワールドとかぶるかも・・・)そこに時々、心の闇の声による罵倒が聞こえてくる。
この建前&本音という2パターンのジョーダンさんが出たり入ったりしながら、後半のメインネタとなる真剣に付き合ってた彼女と別れてから、ちょっと色々冒険したほうがいいよね、と友人に勧められて、いろんな女性とデートをしたときのエピソードが語られていきます。人の目や言動に翻弄され、悩みを抱え問題だらけの自分。だけど自信を持って、世間なんて気にするもんじゃないよ・・・
ってまるでポジティブメッセージなナイスなショーのように見えて、とんでもない。ジョーダンさん、わかってるんですよ。ごっちゃごっちゃ問題あるとか嫌な目にあったとか、悩みがあるとか言ってるけど、それって結局イングランドの中流階級の白人男性が抱えるようなレベルでね、って。自意識過剰で自分で悪い方向に考えちゃってるのが原因でね、って。しかも最後のオチは、ダーク、皮肉、そして酷いな笑いが制覇する。本当にうまいなぁ、と思いました。この女性とのカジュアルデート部分は、素材としてWiPで聞いたことが2回くらいあったのですが、作り上げるとこうなるのか、と。やっぱりジョーダンさんはすげえ、と思います。
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