12月のコメディ、おいしいのは、British Comedy Awards 2014ではありません。
コレです。
http://laughoutlondoncomedyclub.co.uk/2014/11/03/charity-comedy-night-15-december/
ビジュアル的写真がさきほどアップされてました。
ラインアップは以下のとおり、
Daniel Simonsen 君
Pappy's
Sarah Pascoe
The League Against Tedium
Stewart Lee
メンツがすごすぎて、ゲロ吐きそうなコメディ・イベントです。普通ならゲロはいて終わりなんですが、
「The League Against Tedium」の復活があると知り、
コレに私がいかなくて、誰が行く権利を持てるのだ? というところまで考えが到達してしまい、10分で売り切れるというチケット戦争に打ち勝ち、行って参りました。
【The League Against Tedium とは!】
コメディ部では、もはや枕詞がいらなくなった(はずの)Simon Munneryが作り出した恐るべしカルトコメディキャラです。これは英語圏のコメディ史において重要な位置を占める創造物です。詳しくは、
http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-entry-397.html
http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-entry-414.html
で、空気を察していただければと思います。
というわけで、以下はイベントの様子&感想です。
【イベントが行われた場所は…】
上記のテイストとは真逆の、金融界のハブとして歴史の長い Bank/Liverpool Street Stationエリア。ゴージャスとお金持ちと厳格が合体したトランスフォーマーみたいな場所です。
駅おりるとホレ、Bank Of Englandがばばーーーーーーーん! です。
もちろん、こんな金融界に縁もゆかりもない小市民ははじめてこのエリアにおりたったわけですが、こうした建物に囲まれて思わず、
な、なぜ、こんな似つかわしくない場所で行うの…?(汗)
と、たじろぎました。
が、ですね。
じつはここには、時代の波に乗り遅れた結果、すっかりさびれてこの地に似つかわしくない有様になりもはや、「ここで飲んでいては危なすぎる!」くらいオンボロになってしまったパブがありまして。(パブの衰退という壮大なトピックは、ここでは脱線する一方なので割愛します)そんななか、芸人さんがこのパブを救おうと頑張っていたのですね。この瀕死のパブ(建物)を生き返らせるぞ!と記者会見(→コメディ関係者の間で)行われたのが、2014年11月だったので、ホントについ最近の話です。
【とにかく、前代未聞のオンボロぶり。】
コレ、誰かがチクったら、営業停止よ、っていうくらいオンボロで、コレだけでいいネタです。
MCのニーシュ・クマーNish Kumarさんが、「実は今日、ドタキャンになるかもしれなかったんだ。朝から洪水レベルの水漏れが発生して。。。もう無理かと思っていたんだけど、なんとか間に合った!」「天井が落ちて、全員下敷きで死んでもおかしくない状況だけど、まあ、みんな笑って死ねるからいいんじゃない?」... 笑ってる場合じゃないんですよ。マジでそういう危険なレベルなんですけど、危機感がわかないどころか、むしろワクワク/ソワソワです。多分外のみんなも同じだと思います。
手作り感半パなかったです。準備しているのは、現在フルタイムで芸人をやっていけている、TVとかにもひょこひょこ顔を出すレベルにまで到達している芸人さんたち。せっせと準備、舞台の飾り付け、客の移動、エントリー確認等など、みんなやってらっしゃるんですよ。初心を忘れない、手作り感を愛するクリエイターさんたちの暖かさを感じました。
そんなわけで、以下、各アクトの感想です。
【Daniel Simonsen 君】
当初のラインアップだったJosie Long/ジョシー・ロングが都合により前日にキャンセルになり、代わりに加わったのですが、オレ様的には、ラッキーどころの騒ぎじゃありませんでした。(Josie Long, ごめんなさい!汗 ) なぜかといえば、12月に入ってからダニエル君祭りだったからでございます…(汗)
そもそもなぜ祭りになったかといえば、つい先日何かの芋づる式で(→憶えてない 汗)ダニエル君を、「あ、この男の子、Vic and BobのHouse of Fools に出ている、あの面子を前にして負けずとも劣らず個性を発揮していた男の子じゃないか!」 と認識したんです。んで、ネタクリップを覗いてみたら、めちゃくちゃ、イケメンなんですよ。
ホレ。(コレはサイモンアムステルのサポートをしていたときに作られたもの)
House of FoolsではDumb and Dumberのジム・キャリーみたいなヘアスタイルみたいなもんだから、あんまりそういう観点で観てなかったんですけど。↓
あと、Blapsとか、Russell Howard 君のGood Newsとかも、かっこいい、というイメージとは、ほどとおい系…。
でもフタ開けたら、奥さん。このかっこよさはちょっとした爆弾ですわ。
(やっぱり北欧の男の子って標準がハイクオリティだわ…)
ノルウェー出身でロンドンにやってきた芸人さん、ってキャラなのかと思ったらリアルだった(汗)。でもですね、それを基盤にしたパーソナ(→ある程度作っている)ってのが、あまりにも独特すぎて、みるみるハマってしまい、転がっていたクリップを(結構あった)一気見してしまった上に、何を言っているのかまったくわからないノルウエー語のクリップまで、みてしまいました。
イケメンだとなかなか思うキャリアへ進めないという若手芸人さんたちの厳しい現実があらためてしみじみ胸にしみ入ります。シャレこいたりとか、できないの。もとがかっこいいんだから、Tシャツとジーンズとか普通のカジュアルな男の子服を着たら、イヤでもかっこよくなっちゃうんだから、しょうがないのに、色眼鏡で見られる傾向にある。 (→そろそろ、このトレンドも終わりにしないといけない気がするなぁ)
そんなわけで「ナマでみたい生でみたいナマでみたい生でみたい」って10日間くらいずっと思ってたんですよ!今回まさかのナマを見れちゃって、きゃあああああ、だったと、こういうわけです。(12分だけど)
前置きが長くなりましたが、肝心のダニエル君のセット12分、素晴らしかったです。「芸人ってさー、 いつも不満を抱えていて…、ルーザーで…、じゃないと、笑いがとれないし、人気になれないんだよね…」って、芸人の究極のジレンマネタだったんですが、先述のとおり、ノルウェーのアクセントで、独特の間を持って話すので、大きくうなづきながらも爆弾級に面白かった。レコーダーもっていて、「このレコーダーで録音している理由は… 家に帰って…自分で聞いて…… …笑うため」 …なんだそうです。
絶対お金出して観に行きたいです。コレはもう長期ファンになること決定ですわ。
あ、そうだ。まったく憶えてないのですが、フリンジで2012年に新人賞を獲得しているらしいです(汗)。2012年は…あ、そうか、マルセル・ルコントとか見つけて喜んでたんだったなぁ(汗)
【Pappy’s】
3人組みのGoodiesを彷彿とさせるBBC3シットコム
「Badults」で認知度はそこそこあるのではないでしょうか。エディンバラ・フリンジで3−4年ほど前ホットチケットだった3人組みです。耳経由の笑いではなく視覚経由の笑いだと聞いていたので、今イチ率先して観に行くところまではいたりませんで。一方メンバーの1人、
Matthew Crosby/マシュー・クロスビーさんのピン芸は気になり観に行ったりしたので、Go Johnny では過去なんどかご紹介しています。
15−20分程度のセットでしたが、フリンジのショーがなぜ大絶賛、大人気だったのか、わかるハイクオリティなスケッチでした。とくに手袋のスケッチとか、ダンスのスケッチとか。でもどっちかっていうとレベルの高い日本のコントみたいだったかな。アンジャッシュとか、5人でコントしてた人たちとか、(すみません、最近何がいいのか、よくわかってなくて、事例が古かったすみません)あのあたりの知的ナンセンスです。この点から言えることは
1 日本の笑いもアンジャッシュとかうんちゃらさんとかレベルと種類のコントだったら、海を超えても問題なく笑いは通じ合いますよ。(しっかり練ったスクリプト通りのコントでね。即興はスクリプトに沿った範囲での即興のみにしてね。)
2 この手のタイプはUKではあまり見られないです。だから希少価値が高く、評価が高いです。
【Sarah Pascoe】
前からずっと観てみたかった芸人さん、その2! Sarah Pascoeのステージ・パーソナ(ちょっとビョーキっぽい変人女性)とオフ・ステージ(フレンドリーで笑顔が超美人な芸人さん。だってステージ上ではまずかわいく笑うことはないから!)の差に、ときめきました。ショーが終ったあとに、出口に向かおうとするものの、ドアがいっぱいありすぎてどこが出口かわからなくて、キョドっていたら「出口?こっちのほうのドアよ、いらっしゃい」って開けてくれて。思わず「あの、今日のライブすごくよかったです!」みたいに声をかけてしまったら「わあほんと、ありがとう!」ってニッコリ。その笑顔が超美人で…。超美人で…。ときめきました…。
【The League Against Tedium】
TVシリーズはまだしも、ライブに関しては、本当に知る人ぞ、知るという超水面下で行われていた実験的プロジェクトだったので(だから面子が異常に豪華だった)The Leagueが目当のオタクばかりに違いない、というオレ様の読みは大きく外れていたようです。もりあがりが一部で正直客層的にがっかりしました。
Attention Scum! You are nothing. Absolutely Nothing. This is my ambition. This is yours…の冒頭のクダリ、きいただけでうおおおおおお!って大興奮なんです。大爆笑の冒頭です。しかし、残念ながら、笑い声のするエリアとそうでないエリアにばっくり分かれてました。
95−7年に観ていたライブでのCluub ZarathustraもThe League Against Tediumでは、もっと鋭利でシャープな緊迫感に包まれていたのですが、 時が経ち、客の質や、客のグローバル化、サイモンがすでにレジェンド芸人と化してしまっているという事実などが、The League Against Tediumから新しい魅力を引き出していました。サイモンが年をとって丸くなったせいもあるかな?(笑 うむ。サイモンが丸くなったんだと思います。とにかく、ホントにみたいものが見れた。もう一度ナマでみたいと思っていたあの芸術がもう一度拝めた。行けてよかったです。
【Stewart Lee】
おそらくAlternative Comedy を愛する方々による企画なので、Stewは一番相応しいネタを選んだのではないでしょうか。かつて英語圏の若手芸人さんたちを根こそぎ影響をあたえた、Stewart Leeスタイルとは何か、がぎゅっとすべて凝縮されている伝説の「オシッコ」Routineでした。これはStewart Leeを勉強したい芸人さんにとってはバイブルです。 あわせて 自伝本も読むと、メイキング的な部分もわかるので、ぜひ読んでください。 このトップクオリティを超える職人芸、前代未聞のオリジナリティ、天才としかいいようのない構成、フリがあってオチがあるばかりがジョークではない、Catherine Wheelなジョークもあるのだ、と。なんでしょう、すべてにおいて革命的なルーティンです。それが、この世で一番笑えるかどうかはもはや別問題。衝撃的かつ次世代に影響を与えたセットとしてぜひ、一度ナマで見れる機会をキャッチしてください。
以上、長くなりましたが、感想でございますた…