Zoe Coombes Marr: The Opener
https://tickets.edfringe.com/whats-on/zoe-coombs-marr-the-opener
ゾーイさんは、2016年にエディンバラフリンジでノミネートされてまして、当時のオレは、超珍しくこき下ろしてます(滝汗。超珍しいので、目立つんだよな…)
ちょっとだけ弁解すると、ショーについてこき下ろしてるというよりは、ダイバーシティを意識しまくりすぎてるアワード審査員たちへ怒ってたんですけど。
http://www.gojohnnygogogo2.com/2016/08/edinburgh-festival-fringe-2016-zoe.html
しっくりしない部分があったけれどテーマとかやってること自体はオレの趣味だったので、これ以降もゾーイさんのショーは注目を欠かさないようにしてました。
一方、2019年に観たBossy Bottomは高評価です。
http://www.gojohnnygogogo2.com/2019/08/edinburgh-fringe-2019-zoe-coomb.html
ただこれは2016年に観た時の、彼女の看板キャラである(白人男性至上主義をDNAに仕込ませてる白人男性たちをおちょくろうとおもって始めた白人芸人)デイヴは出ないよー、というプレミスのショーだったので、2016年の作品に対するシコリは残っていたんですよ。そんな中で公演されたのが、今回のThe Opener.
前回オレが一番しっくりいかなかったことが解消されていて、最初にゾーイさんがゾーイさんとして登場。今回Daveを復活させる経緯と「Dave出てくるけど、自分はいつも客と同じ立場にいるから、彼の言動は彼(キャラ)のものであって、私ゾーイではない」と明確に説明してくれます。クリアに面白味を説明しちゃう笑いが好きかどうかは別にして、ゾーイさんがゾーイさんとしてデイヴについて語っているので、納得がいくんですね。しかも、後々、なぜわざわざ、このようにゾーイさんが明確に説明を入れているかが、効いてくる展開になっていくんです。
ディヴの登場からの内容は、2016年から冬眠していたけど、最近世の中が再びオレを求めているのがわかったから、覚めてやったぜ、的なフリで、キャンセルカルチャー問題になったリッキー・ジャーヴェイスやデイヴ・シャペルのネトフリスペシャルのスタンダップを引用したりしながら、ベタベタのダメんずネタを披露、「オレってホント面白いだろ」ってドヤる。
そうこうするうち、「ダチ」から携帯に電話かかってきて、薬を飲む時間のお知らせ。ずっと昏睡状態にあったので、「薬」を服用しないといけない。でも飲み過ぎはダメだよ、スルッと時間がループしちゃうから・・・
と飲むと、デイヴの中で記憶がすっ飛んで、リセット。登場から始まります。何ついて話してたんだっけ? キャンセル・カルチャーだ、ってなる。
で、しゃべってくることがちょっとずつずれたり、客の反応がちょっと違ったりで、まるで同じなリピートにはならない。けれど、このループがだんだん短いスパンで繰り返されていくんですね。その合間合間に、困惑してくるデイヴが同じ体を共有するゾーイさんに結局キャンセルカルチャーの要点ってなんだったんだっけ?って相談し始めるんですよ。一方、この一連のルーティンはぐるぐるとどんどん短いスパンでループする。
後半およびクライマックスでデイヴがメルトダウンするところとゾーイさんと表裏一体になるくだりが、冒頭のゾーイさんのクリアな説明と相反するため、最初のクリアな説明が上手に活きたな、と。ループも薬の服用も、みなリンクする。ジェンダー問題そしてダイバーシティ問題が混沌としていて全然前へと抜け出せてなくて、ぐるぐる回っている状況を見事に表現してたと思います。最後ダンスポールでデイヴがぐるぐる回るんですよ。
過激さと好みだとナタリー・パラミディスのネイトに勝てるものがないのですが、同じテーマのものを別の形で探求した傑作となってたかと思います。
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