Bill O'Neill: The Amazing Banana Brothers
https://tickets.edfringe.com/whats-on#q=%22Bill%20O'Neill%3A%20The%20Amazing%20Banana%20Brothers%22
このショーはまるでレーダー圏外だったのですが、Navi さんから教えてもらいました。Natalie Palamidesの演出とあっては、行ける時間帯が異常に限られた状況であっても優先順位がトップになってしまい、速攻でチケットを購入。(レビューも5つ星が出まくっているとのことで、早くしないとすぐに売り切れる焦りもありました)
いやもう、あっぱれとしか言いようがなかったです。全方位で5つ星。
入場すると、すでにステージにはThe Banana Brothersの兄ケヴィンが大暴れしています。樽にはバナナの皮とまだ剥いてないバナナが山積みに入っている。
1時間でバナナの皮で滑るネタ1000本の挑戦をする。できなければチケット代は払い戻す!と豪語。彼のアシスタントで弟ジョーイと一緒にこれから始めるよー、とジョーイを呼びにオフ・ステージへ。ジョーイが出てきて、オレの兄ちゃんすげえんだ、これからオレたち世紀のバナナの皮で滑っちゃうネタ1000本!やっちゃうぜ! じゃあ、兄ちゃん呼んでくるから、って舞台裏へ。でも兄ちゃんがいない。ちょっと探しては舞台に戻ってきて「ちょっと待ってて(いつものことなんだけど)ファンの女の子とやっちゃってるみたい!すぐ終わるはずだから!」でもケヴィンは来ず。客を沸かせ続けるのも間が持たず、ちょっとするとはジョーイは舞台袖にケヴィンを探しに行っては「ごめん、どうもにいちゃんは親友のリッキー・ジャーヴェイスと一緒にいるみたいで・・・」「ごめん、どうも今兄ちゃんは親友のデイヴ・シャペルとだべってて・・・」(*1) と弁解。いい加減ネタも尽き果て再度ケヴィンを探しに行ったジョーイが舞台裏で目の当たりにしたのは、ケヴィンが頭を鉄砲でぶち抜くシーンでした(注:観客にとっては音のみ。ね、念のため、ビル・オニールが両方演じてます)
ケヴィンがいつもスポットライトを浴びる中、常に兄を頼って生きてきたジョーイ。観客がこれだけ集まってしまっている中で、ケヴィンなしで一体どうやって、バナナの皮で滑るネタ1000本やりきるんだ? 自分が考えたネタは、女々しいと兄にボツにされたものばっかりだし・・・その一方で、心の根底で形を潜めていた意識がジョーイの中でじわりじわりと覗き出してくるんですよ。それはホモフォビックで、泥酔そしてセクハラが当たり前で、弱いものが不快なる反応を面白がる兄のToxic masculinityに虐げらていた自分。兄との関係を振り返りながら、やがてジョーイが行きつく先までが描かれていきます。
バナナの皮で滑る、というのは、いわゆるバナナを別の何かに見立てたボケの笑いなんですね。日本の笑いでもお馴染みかと思います。序盤から通して、本格的なクラウンのキャリアを持つBill O’Neillのフィジカル・コメディが、圧巻のクオリティです。背中にパットを入れてい流ので、バックがふくらがっていたのですが、それを脱いでもすごいところに筋肉がついてるんですよ。モンキーショルダーぽくなってた。小柄だし、最初ダミ声を出してる女の子なのかと思っちゃうほどかわいいんですよ。だからこそ、このストーリーがさらに活きてくることは否めないですね。
オーディエンスとの絡みからのオーディエンスをケヴィンと見立てた回想シーンへの移行も素晴らしい持っていき方でしたね。これも演者のクラウンとしてのキャリアがあってこそなのではないかと。オーディエンス参加型にすることで、(リスクを重々承知で)オーディエンスへの啓蒙を行っていく。過去作で見たナタリー・パラミディスの醍醐味がここでもマックスで出ていました。女性を連れた男性客ばかりをピックアップし、ロマンティックなダンスを踊ったり、バナナ1本を両端からそれぞれ食べていったり(結果、どうにもキスすることに)。
この作品はおそらくバイオロジカル的に女性だと限界が見えたパラミディスが、Bill O’Neillとタッグを組んだのかな、と。この作品のアイディアは元々Bill O'Neillのものなのか、それともパラミディスの作ったものを、見事Bill O'Neillが具現化したものなのかが気になっています。Bill O'Neillはパラミディスのこと、マミーと呼んでいるのをインスタで見ました。
しつこいですが、本当に本当に、Bill O'Neill、ゲロかわいいです。本当にめちゃくちゃ、かわいいです。インスタのフォローをお勧めします。
あと、これSOHO THEATRE プレゼンツの一環なので、そのうちSOHO THEATREシリーズで登場するんじゃないかと思います。でアマプラで視聴可能になるんじゃないかな、と。
(*1) 名声のある大物有名男性コメディアンが、「昨今言いづらいことを言うエッジなコメディアン」というスタンスで、ネトフリのコメディ・スペシャルというグローバルなプラットフォームで昨今のダイバーシティやジェンダー問題を差別し嘲笑するネタを繰り広げている、と言う経緯があります。
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