稲村がアメリカのライブコメディシーンに疎いことを知る友人(ロンドン在住)から布教され、行ってきました。この2本をお勧めしてくる友人の精神状態を心配すると同時に、2本とも、いくつかの理由で感想を書くと面白いな、と思ったので、アップしたいと思います。
(はじめは2本いっぺんにと思ったけど、長くなっちゃったので1本1記事にします)
Nick Pupo:Addicted
https://tickets.edfringe.com/whats-on/nick-pupo-addicted
こちらもストーリーテリング・コメディ枠と認識し、タイトルを見ればある程度 予測はつくとは思いますが、彼自身のドラッグ中毒の実体験のお話です。
とはいいつつも、テーマの軸は「真実を語ること」。包み隠さず、嘘をつかず、正直になること、です。
フロリダの郊外での生い立ち、おさなじみとの出会いと、そのおさななじみが大切にしていたハムスターをあやまって殺しちゃうこと。真実を隠して過ごしてしまうこと。
フロリダって子供たちにDEAのドラッグ、ダメ、絶対!的なビデオを見せるんですってね(学校で行うのかな?)それをみて、ドラッグ超こわい!って思う一方、演者さんはかなり早い段階からドラッグを体験する状況に遭うんですね。で、14歳だったかな?から色々はじめてっちゃう。一方、幼なじみは、清く正しく美しい人生を歩んでいくので、ドラッグをやっていることを隠して過ごしていく。ショーは、好奇心と誘惑、最高の(希望のない現実からの)逃避になってしまった経緯、一方で、常に後ろめたい感情と罪悪感に苛まれ、勇気を振り絞って話してみれば、実は状況は改善することもあるのに、上手にできずに翻弄され続けている姿を正直に語っていくものです。
こちらはAvital Ashに比べ、客に語りかけるタイプのプロパーな一人芝居になってました。彼のキャリアのバックグラウンドを知らないけど、スタンダップ芸人と言ってるわりに、ドラマスクール上がりという印象を受けました。
ただですね。パーソナル・レベルでのみストーリーが展開されていくせいで、ドラッグと遭遇したベース環境が、ミドルスクールでの比較的よくあってもおかしくない手合いのものなのか、それとも彼の置かれている生活環境を反映しているものなのか、わからないんですよ。フロリダの社会環境の知識なんて、フロリダ・プロジェクト(映画)とか?ブレイキング・バッドってフロリダ関係あったっけ? っていうレベルだし。こちらも苦しんでいる状況にあり、この作品がtherapy sessionの役割にもなっている演者に対して悪魔みたいな感想を持って、酷すぎるのですが、個人レベルを通して社会観光レベルを見れるよう奥行きを作って欲しかったです。
さらに、こちらも最大の問題点は、コメディの要素が薄すぎる、ということ。本当に申し訳ないのですが、ここ(エディンバラとかグラスゴーとか)に住んでると、中毒で苛まれている方々ってそこそこ身近な話なんですよね。ドライに、ダークに皮肉いっぱいに表現する文化習慣があるし(伝統?)、そこら中にこれをダークユーモアに仕立て上げてる名作もゴロゴロ転がっている。あの例の名作の名をを挙げる必要もないと思います。ドラッグにしろ何にしろドラッグとかアルコールをネタにした作品の水準と笑いの盛り込み方が、他のエリアより異常に高い。深刻な問題である一方、笑えないよね、じゃないんですよね。
印象としては、彼がコメディクラブなどで20分くらい話す中毒ネタの方が面白いんじゃないかなーと思いました。そしてオレの友人もそういうミックス・ビルで彼のネタを見たのかもしれない・・・です。
で、とりあえず、この2本をリストに入れてきた友人のメンタルを気遣いたいと思います。
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