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2023年8月14日月曜日

Edinburgh Fringe 2023 エディンバラフリンジ2023こんな芝居は初体験。めちゃくちゃ楽しい、めっちゃ笑える、そしてガッツリKiston。First Thing (Work in Progress by Daniel Kitson)観ました

First Thing (Work in Progress by Daniel Kitson)

https://tickets.edfringe.com/whats-on/first-thing-work-in-progress-by-daniel-kitson

これはねwww

素晴らしかったです。ちょっとした言葉じりやタイポで、完璧主義のKitsonがWiPのまんまにしてるのでしょうが、まるでWiP感がありません。

一体なんなのかというと。

ネタバレになっちゃうので、知りたくない人は読まないのが一番楽しめると思います。これを観れるチャンスがあれば、ぜひ盲目的にチケットを買い、行ってください。個人的には今までなかった芝居体験&かつ超Kiston体験ができました。

以下からはネタバレです。





会場に座って始まるのを待っていると、Kistonが登場。「新しい芝居を書いてるんだけど、これから全員にその台本配るんで、みんなそれぞれ台本に書いてある番号の役をやって!役に与えられたセリフには付箋貼って、ハイライトしてる。じゃあみんなで本読みやりまーす!」と、客席168席みっちり座る観客全員に台本配り始めるんですよ。1人だけ、結構台詞が多い人がいて、その人は最初にKitsonが「名前もある役なんだけど、やってくれる人いる? あなたやってくれる?」と、交渉。

始める前に、アドミン注意事項。「やりたくないっていう人もいるとおもう。その人はセリフのない役があるから、安心して。その台本と交換するから」と。配られた台本に目を向けるなり、「まだ読まないーーーー!!!! 台本開けるなーーーーー!!!」と、始まるまで、開けられない。「みんな台本受け取った?オッケーじゃあ、みんな勝手によろしく」とハケるふりなんぞしての軽いオープニングジョークを飛ばした後に、本読み始まります。

芝居の内容というのが、まさに「この状態」についての寸劇なのです。Kitsonが最初に入ってきたことと台本での冒頭のKitsonの台詞がシームレスになんのバンプもなくブレンドする。我々が与えられた役というのは観客役。そして質問ともKitsonの過去作品(スタンダップも含む)を含めた批判やツッコミとも、やじ飛ばしとも区別のしづらい、客とKitsonとのやりとりが繰り広げられる傍ら、「芝居」が進行していくんです。

一部ではなく、文字通り観客全員が参加するマックスレベルのインタラクティヴ空間を作り出す一方、脚本を通してKitsonが完全にその空間を制しているという。客のツッコミ及び批判という形をとった制作者自身のクリティカル・アナリシスというダブルスタンダードが、Kitsonらしい笑いを次々と作り出していきます。開始前のアドミン事項の全ても後々の展開の仕込みになっているところも、素晴らしかったです。(決して贔屓ではない)

オレが観た日が、たまたま運良くて、John Kearns (多分この記事が一番わかりやすいかな?古いけど→ http://www.gojohnnygogogo2.com/2014/08/edinburgh-fringe-2014-foster-awards.html)が客としてスルッと来てた日だったんですよ。「役者みたいに頑張らなくていいから!そういうノリノリな頑張り、まるで要求してないから!むしろ、役者とかいてほしくないから!」とガッツリKitsonにいじられてて、顔真っ赤んなってて笑いました。彼はセリフ1つだけいただいていたんですが、彼自身の状況に偶然にもあった台詞で、放った後に大爆笑の拍手喝采。

ちなみに、オレがもらった台詞はたった一つだけだったです。どれも簡単なセリフばっかりなのですが、間とか細かく考えると怖くて、よかったーと思いました。ちなみに、クライマックス?あたりで「全員に行き渡るように1枚20pかけて168コピー作って、ドン引きレベルの心配症と臆病者と英語の話せない外国人も参加できるように努力してんだよオレは!!!」という台詞があるんですよ。この奇妙なリアルと作りがあってない芝居。ほんとに発売開始の朝も5時半に寝起きでトイレも行く前にチケット取ってよかったです。


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