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2020年12月10日木曜日

いわゆるアンチ・フェミ陣は、これをどう消化するのだろうか…Netflix 配信開始したネイト・パラミーディス(Natalie Palamides のNate Palamides)、#MeToo を考える人たちにぜひ観て欲しいです。(予想以上にすごかったので、皆さんも心の準備を…)

 

(芸風から勝手にオーストラリア産だと思い込んじゃってたんですが、アメリカのフィラデルフィア産でした)


【ネイトのざっくりした概要】

ナタリー・パラミーディス(フリンジのせいで新鋭の芸人さんというイメージなのですが、役者キャリアが結構ある…?)が作り出したキャラクター、ネイトの1時間もののライブショーです。胸毛をボタンを全外ししたジャケットの下からチラ見せ(注:毛は接着糊で無造作につけてて乳まる見え)でっかいゴムチ●コをダボダボのパンツに忍ばせ、左目には喧嘩で殴られた大きなアザが。オレはα男だぜ、と男らしさを強調し、缶飲料の一気飲み競争を観客相手に挑み、独断と偏見で勝ちを宣言し、勝った奴は何やってもいいんだ!というルールのもと、女性客の胸を触りに行きます。でも触ろうとする前に「触ってもいい?」と尋ねる。「ダメ」って言われたら「はい、触らない!」「オッケーよ」と言われたら、触る。

「やる前にきいてオッケーもらってるからやっていい!」

「尋かなきゃダメ!きかなきゃダメ!」って今度は男性客に近寄り、片手でボールを持つ手をして合図する。男性は何ともいえない表情をしながらも(ここは乗らないとね)「オッケーよ」で、がっつりネイトはタマを触るわけですよ。

「やる前に聞いてオッケーもらってるからやっていい!」


わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい!(的な)


その後、カップルとのインタラクションから上手に女性が自分の元カノという設定に持っていき、マットレス引っ張り出してきての、男性とパンツ一丁のレスリング勝負。勝負に負けて元カノへの未練タラタラになる一方で、授業を受けているアートの先生(マネキン)との関係がもの見事に肉体的に急速に展開していくんですね・・・

【感想】

しつこいようですが、エディンバラ・フリンジで鬼のように話題になったんですよ、ナタリー・パラミーディスのネイト。コレこそフリンジで観れるコメディの真骨頂、的な。期間の真ん中頃には全日程完売になっちゃって。

しつこいようですが、オレの趣味な笑いなのかわからない映像クリップや画像を見かけていたので、頑張ってみようとしなかったんですね。ネットフリックスで配信してくれなかったら一生みることはなかったと思います。だから感謝です。

素晴らしいナンセンスと深さ。いかにセクシャルなコンテンツのコミュニケーションが複雑か。男らしさって何か、女らしさって何か。

ショーの最後にナタリーが「メッセージはわかりやすくはっきりしてる」って言って終わるのが最高のおちょくりというか。粋というか。この最高のオチのためにここまでやってのけるのか、と。

いや、ここまでやらなきゃ伝わらないのかな、Me Too、とは、ということなのかもしれません。

この作品が上演できたアート環境はすごいと思います。今のこのご時世でも、すごいかな、と。

リベラルアートシーンって偽善の塊かもしれませんが、偽善すらもなければ存在できないことや評価されないで終わってしまうこともあるかと。徒然草でいいことの真似はいいことだ、みたいな下りがあったかと。そんなところも注目したいと思います。

一方で、視聴した今、ナマで観たかった、と後悔している自分がいないことや、もし、ナマで観たら、どんな気分だったんだろうか、すごく考えさせられちゃいます。

映像クリップを見た時(→ゴムち●こぶらんぶらんさせてたりとか、ナマ乳丸出しだったりとか)のうーん、どうだろ、って感じたバイブは見事あてにならなかったんですが、その一方で、この「居心地の悪さ」や「(居心地の悪い)緊張感」の連続って、初めてじゃないんですよ。

この(居心地の悪い)緊張感ってパッと思いついただけで、ニック・ヘルムやジョーダン・ブルックスさんの得意技だったりするんです。なぜ、この2人のタイプはライブに積極的に行きたいと思い、ナタリーの場合は内容を賞賛しながらも、ライブに行かなかったことを悔やんだり、一度ナマで見たい!といつものような積極的な気持ちになっていないのか。

悲しいことに、ナタリーの居心地の悪さは「彼女が危ない目に遭ってしまったら」とか「彼女が嫌がらせをされたら」という不安がつきまとうことからくるんですよね。ネトフリの配信バージョンは、公開収録で、ショーの内容もパフォーミングアーツもわかっている人たちが行くから、安全は保証されているはずなのに、それでも不安からくる居心地の悪さが消えない。コレがあのフリンジだったら…と思うと、正直こわいのです(特に週末は酔っ払いが多いので、客の当たり外れはギャンブルだから)。

もちろん、アレをやると決めたプロの芸人さんなのだから、いかなることにも対応しジョークに変えてしまうのでしょうが。

バイオロジーの観点からでいうジェンダーの違いで、こうも女性の体を持っている芸人さんはハンディを背負ってしまうのかということも、改めて考えさせられてしまいますね。

今回のネットフリックス企画でのプロデューサーがエイミー・ポーラーで、彼女がこうやって紹介入れて、守っている理由もわかります。


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