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2013年8月9日金曜日

Edinburgh Fringe 2013:究極のヤケクソ芸が勝利へと導くのか?!虐げられて15年のNick Helm観ました☆Nick Helm: One Man Mega Myth

オレの勘が正しければ、今年のエディンバラ・コメディ・アワードを受賞するのは彼だと思います。


笑いの道を歩み続けて15年。そうそうたる新人系コメディアワードに落選し続け、すでに新人なんてよべもしないほどすっかり年季の入った売れない芸人さん…

だったらしいです。しかし、あまりにも認知度が低くて、「注目株の新人でてきたじゃ〜ん」みたいなことを言われ始めたのが2年前です。どこだったかで2011年に「新人」賞をもらってます。当時笑いはじめて13年。どこが新人だよ(汗)

 ワテクシも、ショーを観るまで、近年の新人だと思ってました(滝汗)ほぼ毎年ここに通ってて、そんなにキャリア長くて、そこそこ話題になれば、いやでもどっかに目に入ってくるんですが…。おそらく活動の拠点が、ものすごく僻地だったんだと思います。予算がなくて中心地でやれなかったんでしょうか。。。

そんなわけでホントに最近、Nick Helm, Nick Helmって名前を聴く頻度が増え、またBBC3で新鋭芸人にパイロット番組作らせるFeed My Funny!にも出てたりしたもんですから、「そろそろチェックしておこうか。。。」と思って行って来ました。

まず、場内に入ったとたん「ええ?汗」っていうくらい派手でして

 なにこれ、マイク一本でもちゃっちいセットでもない。。。新鋭のくせにお金かかってる!この人でっかい事務所ついてんだ? と不思議になったわけです。んで客層が一種独特で、ゴッツくで髪の毛がMulletHair 系とか、(髪の毛後ろだけ長い人? プロレスラーさんみたいな人)ヘビメタTシャツ着てる人とかめっちゃくちゃいるんです!! いつも眼鏡かけてショーがはじまるまでスマホかちゃかちゃやるとか、本読んでるとかいう一匹狼のアート系なオタクと真逆。ホントにすいません、マジで 「ナニコレ、ヘン 汗」って思いました。
 なんつって思ってるうちに場内暗転。このステージ中央にある燃えたぎる炎みたいなものが、スクリーンになっていて(汗)強烈な80sヘビメタサウンドとともに、イントロが! そこで
「この道、じつは15年! どの新人賞もはじき飛ばされた! 
キャリア歴13年で(よくわからないところ主催の)新人賞受賞! 
新人じゃねえ!
蓄積された屈辱と貧乏と虐げられてきた鬱憤!
今こそ勝負に出て、はらします!!」
的なキャプションはいって。。。。
ばあああああん!! 
(BGMはモトリー・クルー)

本人、80年代のエルビスみたいな格好して登場(上写真をご参考にしてください…)
自身作詞作曲の歌で、ダミ声/がなり声(→聴いていて疲れます)で絶叫します熱唱します。客の顔に向かってツバはきとばしてどなりちらします熱唱します。


ええっと(汗) 

すごかったです。
ホントに
「おまえらふざけんな! 今さらすぎだ! だがついにキテる気がする!他の若手芸人なんか知るかアホ!オレの苦労に比べたらクソだクソ!もう、失うものなんて何ひとつない!全財産かけて今年勝負に出てやる!」という内容の1時間なんです。
例えばですね…
①自分はスタジアムを埋め尽くすくらいのスターという”妄想”設定。
②Nick Helmと一緒に対等してきた3人組みのコントチームWitTank(→地理の先生とかしっかりした本業もちつつコントやってたんだけど、ちゃんと後押しされて順調に知名度をあげている)を目の敵にし、彼らの顔写真をバケツにはっつけて、客にかぶせて、エアギターさせて、怒鳴り散らす熱唱する。
③ そのときに「私をピックアップしないでください」「私はいじられるのがイヤです」と座っている確率の高い後方席の客のところに飛び込んでいって「オマエかぶれ!」と無理矢理ひっぱってステージに連れて行く
④誰がどの役割をするかわからないので、ドラム叩いてる人とギター弾いてる人のバランスが悪いのを発見し、どつく。
⑤スタントするっていって、ミニチュアのロンドンバスを13大並べて飛ぶ……

このひがみ妄想、徹底的に歪んだ野望、爆裂したパワー、やけくそ感がお客様からゲッソリするほどエネルギーを吸い取りつつも、ものすごい笑いを生み出していくんですね。
この徹底的に歪んだ思考回路、人間の欲をきちんと見せるところなどが、ヘビメタバージョンに昇華されたStewart Leeチルドレンと感じていたのですが、もっとピンと来る者がありました。
これはまさに Johnny Vegasが1998年にフリンジに嵐を呼んだときの芸風です。Johnny Vegasといえば、もう今や本当に偉い偉い芸人さん/コメディ俳優になってしまい、スタンダップもしなくなって随分久しいのですが、まさに、このヤケクソコメディだったんです。ジョニーの場合は、ろくろ回してねんどでツボ作りながら、ネンドめっちゃくちゃにして、「ふざけんなー人生のバカヤローーーー!!!」っていう。絶望で真っ暗なんですけど、バカウケっていう、チェーホフみたいな(違)そういう感じだったんですよね。人生トホホをゆうに通り越した、やりたいことに人生食い尽くされた正真正銘のボロクソっていう内容を笑いに変えるって結構大変だと思います。それができる人が非常に少ないと思います。今とっさに思いつくだけで、Johnny Vegas とAndrew LawrenceとこのNick Helmくらいです。

パワフルすぎ、最近とトレンドとは真逆のテイストに弾かれました。こんだけ勝負に出てるので、Fringe Awardとってもらいたいです。
マジで(真顔)。





2 件のコメント:

  1. すげー見たいわ、これw

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  2. whiteanklesocks2013年8月17日 4:30

    終わったあと、サイン会やってたんですが、めんどくさくて並びませんでした。。。後悔するかなと思ったけど、してないので、正解の行動でした。。。それくらい、ビジュアル的に近距離に圧迫感というか、プレッシャーというか。。。褒めてるつもりです。。。

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