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2013年8月8日木曜日

Edinburgh Fringe 2013 噂の(→自分の世界で汗)の黒帯スタンダップ芸人さん(&某有名俳優さんのいとこさん)観に行きました☆Ben Norris Mr. Ambiguousness


2−3年前のフリンジレポートでも、お伝えした記憶があるのですが。
最近のフリンジは、事務所同士の芸人売り出し競争、お金の匂いがぷんぷんする商業ビジネスっぽい傾向にあり、昔ながらの、芸人みずからチラシを配り、口コミで評判が広まり、レビューが重要な役割を占め、TV局ラジオ局の目にとまり、番組が作れるようになる…というルートが完全破壊されて久しいわけです。その意味で4大ハコ、Pleasance, Assembly, Underbelly, Guilded Balloonは、完全にお笑い商業ビジネスに食い尽くされています。
そんななか、近年”これって古き良き時代のフリンジじゃない?!”という現象がおきています。それがThe Free Edinburgh Fringeです。
全国にコメディクラブをいくつか抱えるThe Laughing Horse Comedyがバックについております。ルールは、観るのはただ。ただし、面白かったら、気持ち見せてね、というもの。かれこれ始まって10年だそうです。ロビン・インスRobin Inceというインテリ・コメディアン(かつてリッキー・ジャーヴェイスのていの良いいじられ/いじめられキャラだった芸人さんです。あまりに酷いイジメで彼らとの関係を断絶したという過去を持ちます。)が立ち上げから数年先導をきっていくうちに、知名度をどんどん上げて行きました。
彼がフル参加しないなーと思っていた昨今ですが、ふと気がつくと参加芸人のクオリティがググっと上がっています。きいたことない芸人ばっかりではなく、フリンジを敬遠する実力派組や、力試しする必要性を感じない組、ホントの無名だけど才能ある組などなど。(無名芸人は、ネット社会のおかげでナマではないにしろ、芸の勉強&発表の場が沢山できたので、一昔前では比べ物にならないくらいレベルが上がっているとよく言われています)
そしてそんななか、今年、初!参戦してくださったのが、この方Ben Norrisです。
Ben Norris Mr.Ambiguousness

ホントはこういう言い方したくないんですが、マーティン・フリーマンのいとこです。というのも本国ではそういう事実はかなりどーでもよくて、芸の道は実力があってこその世界であります。そして、いうまでもなく彼は実力派として人気を確立しているロンドンベースの芸人さんでございます。
じつは彼のコメディのキャリアスタートについてはマーティン・フリーマンの特集本にて紹介しています。ご興味のある方は、そちらをペラっとご覧いただければ幸いです。
彼のおかげで、Free Fringeが地下でヒソヒソ行われているという時代が完全に幕を下ろしそうないきおい。あの!ベン・ノリスがフリンジ初参戦?!ということで、マスコミが注目し、GQ.(UK版)のウエブサイトにてフィーチャーされちゃってます。Free Fringeってそもそも事務所から宣伝費のお金なんて出ない芸人が、自分でフライヤーとか配って人集めて、もらえるだけもらう、みたいな感じなんです(→ゆえに昔ながら、ということで!)商業ビジネス事務所に比べると非常に宣伝力がないんですね。しかしながら、開始時間の19時15分より30分くらい前についたのに、長蛇の列ができておりました。もちろん場内満員。(200くらい入りますね。ちっちゃくないです。これ3週間ぶっつづけでやるんです。すごい大変なんです!)

【60分の内容は?】ワテクシも、60分もの長い尺でベン・ノリスを見た事がなかったので、いったいどんな内容なのかとわくわくしていたところ、非常に手堅い構成になっておりました。下ネタもありつつも、子どもの話、奥さんの話、加齢の話、客とのコミュニケーションにより作り上げる即興ともいえるネタなど、日常生活で感じたことのアレコレなんで、いわゆる(一頃さんざん叩かれた)Observational Comedyでしょうか。ですが、オチや方向性が極悪なんです。非常にダークで、後ろからあまりよく切れない包丁でドズっとさされうみたいなオチを作るスタイル。これを不快感と呼ぶか快感と呼ぶかは、奥さん次第です。個人的にはめちゃくちゃ笑いました。
 最後のクライマックスネタが郵便局で、イギリス特有の機能性のなさがよくわかる、共感の笑いでした。郵便局の配達の人、荷物ちゃんと運んでくれないんです。家にいるのに、不在届け置いていったりとか。不在届けは家の中に直接入ってくる郵便物届け口へ入れるので、他の人が絶対に盗めるわけがないのに、郵便局(大抵荷物再配達の保管場所はめちゃくちゃ街のはずれにある!)へ行くとID見せろって言われる、とか。

ずーーーーっと悪態ばっかりついて下ネタとかもガンガンとばすんですけど、ステージ下りるとめちゃくちゃ丁寧な紳士で(芸人さんってみんな大抵そうなんですが 汗)帰り際1人1人にありがとうありがとう、と挨拶してくれてました。ワテクシは、数年前にベン・ノリス氏がゲストだったコメディアンが聴くとお勉強になるトークショーをポッドキャストで聴いて以来、ネタを観たい!とずっと思っていたので、その旨を話したら、喜んでもらえました。。。

というわけでBen Norris氏は普段はロンドンがベースなので、8月が終ればロンドンで20分くらいのセットを比較的簡単に観ることができるかと思います。ぜひお試しになってください!お試し用に、結構前のものですがネタクリップをembedしておきます。

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