イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2013年8月3日土曜日

Edinburgh Fringe 2013: 金輪際アイドル芸人扱い禁止!見事な実力派に成長してオカーさん感動だよ、のIain Stirling / At Home


もとCBBCのかわいこちゃんプレゼンター。昨年夏に引退し、CBBCなんて観るもなくなったお母さんが続出したあのイアン・スターリング君です。

Iain Stirling At Home

去年のエディンバラフリンジでのソロショーデビュー時の感想は、こちら。
http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-entry-408.html

デビュー戦でも安定したライブを見せてくれていたのと、かわいいので、モトはとれるだろうと、安心枠にいれ、プレビューで観て来ました。
【内容】タイトルどおり、At Home。ご存知イアン君はエディンバラ出身なのですが、今はロンドンを拠点にして絶賛芸人活動中です。 そんな彼がロンドンで感じる”違和感”、エディンバラで感じる”アット・ホーム感”、さらには交際をはじめて4年のガールフレンドとの関係を通して、”At Home”ってどういうときに感じるだろうかということを探求する60分。

まず、60分かつプレビューという段階で、紙切れメモどころか手の平/手の甲にすらネタ書きしてないその姿にびっくりしました。高揚感をみじんたりとも見せず、非常に落ち着いた彼のテンポで、観客をしっかり手中に収め、場の空気をしっかりコントロール。昨年も安心のコントロールっぷりだったのですが、どちらかというとエディンバラという街が暖かく彼を包んでくれていて、そのなかだからこそ安心していられる、というものでした。(お母さんがいるのがわかっているから自由にのびのび遊んでいられる子ども、ですね。)今年はそれとはまったく別者。それが端緒に現れたのが、途中でネタを忘れちゃったというくだりのときです。前述のとおり彼手元にメモも何もないんですよ。「忘れた」というのがまるでネタの一つであるかのようにどうどうと「忘れた!」そして前方の客に話しかけ「こうやってあんたらとしゃべってるうちに思い出してるんだよ」と。それでも、でてこなくて「今日プレビュー?そうかプレビューだったらいいか!ちょっとノートとってくる!」って舞台裏に入り、出て来たと思ったらそのノートがキティちゃんなんですよ。アクシデントから、見事なオチへと昇華させ、かつこれがアクシデントなのかネタなのか、不透明にさせる。この冒頭だけで、たった1年でいったいどれだけこの子は頑張って来たんだ! と感動せずにはいられませんでした。
 
 自分がアイドル芸人のイメージを持っていること、事務所に温存されていること、甘やかされているってイメージがついていること、確実にオルタナではなくメジャーだろうと斜め目線で観られていること、それらをディフォルト設定にして、逐一シニカルな自虐を忘れない。地元ネタをやるのは、事務所に地元ネタを入れるとチケット売れるからと言われたから、とか、サッチャーさんを褒めるというエッジなことをやり(いや本当にお父さんが自称サッチャーさんのファンらしいんです)、今右寄り(つまり保守党)の視点を持った若手の芸人がいないから、この路線を狙ってみる、と付け加えたり。さらにはイメージチェンジもしてメガネをかけはじめたんですが、それもGeek Sheepをネタにして自虐ジョークに見事に変えていました。

 すみませんでした。もうどんなにかわいくても、かわいい、かわいい、連呼しません。もう、英国版吉本興業ことAVALONの秘蔵ッ子とか、レールの上に乗った「続けラッセル・ハワード君」組とかいいません。なぜなら、事務所は彼を立派な実力派になるよう育てている。その恵まれた環境に甘えることなく、彼は毎日毎日ものすごい努力をしている。さらには、ラッセル・ハワード君はそうそう簡単には作れない実力者だからです(汗)

毎日毎日ライブをこなし、ものすごくものすごく腕を磨いた。もうそんじょそこらの(アイドル扱いされてない)芸人なんてけちらせるほどの実力をつけています。これはもうイアン君の悪口は禁止です。君が2年後クリス・ラムジー君3年後ラッセル・ハワード君へと成長するのを、オカーさんは確信したよ。あの規模のあの手の笑いは必要であり、それができる才能のある芸人は本当にひとにぎりしかいない。イアン君は確実にそれができる!いやあ、本当に嬉しい鑑賞となりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿