イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2022年11月28日月曜日

祝! バスデンBasdenさんがアダプテーションした名作芝居Accidental Death of an Anarchistが来年3月にロンドンにトランスファーされちゃうよ!

いつもコメディのおしゃべりでお世話になっている、ブリティッシュ・シアターご専門のNaviさんから教えてもらいました。


ひゃっほい! 2022年10月にシェフィールドのシアターで上演されたお芝居Accidental Death of an Anarchistが2023年の3月にロンドンのLyric Hammersmithにトランスファーが決定しました!!!


【これまでのお話】

1)このブログは、イングランドのコメディ作家でたまに役者と芸人もやるトム・バスデンさんを応援し続けてきたブログです。バスデンさんは活動範囲が広いのですが、活動量にムラがあるのと、告知をしない、という難点があるクリエイティヴです。

このブログ内→ http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Tom%20Basden

その前→ http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-category-28.html

2)表題のAccidental Death of an Anarchistは、2022年8月だったかに、「バスデンさんがアダプテーション、ダニエル・リグビー主演でAccidental Death of Anarchistがシェフィールドで再演されるよ。10月に2週間上演。」と知りまして。


3)オリジナルの芝居も知らん、超有名な劇作家ダリオ・フォ/Dario Foもまるでよくわかってない、シェフィールドも行ったことない、知っているのは、バスデンさんとダニエル・リグビーは過去に何度かタッグを組んでいること!そしてなんといっても、バスデンの名のあるコメディにオレが行かないはありえない。

ありえないのです。


4)というわけで10月某日、4時間近くかけてシェフィールドに行ったんですよ。


5)予算がちゃんともらえなかった時代は、バスデンさん(Tim Keyと一緒に)演者もやってたのですが、もう10年前から芝居を書いても舞台に立つことはなくなりました。なので、バスデンさんを見るつもりはなかったのですが、インターバル中トイレに駆け込む時に、息子くんとバギーを押して劇場に入るご本人をスポッティングしてビビりました。第2子誕生してたのか! 

思わぬプラベートを見てしまって、申し訳ないと思いつつ、極めて需要の低い日本マーケットならレポートしてもいいかと、バスデンさんアップデート情報として

入れときます。

6)で、鑑賞後、絶賛しかない雑感を垂れ流してはいます。

7)信頼できる評はオレの絶賛だけじゃなくて

The Guardianとか (4星)

https://www.theguardian.com/stage/2022/oct/02/accidental-death-of-an-anarchist-review-sheffield-crucible-tom-basden-daniel-rigby

What's On Stageとか (5星)

https://www.whatsonstage.com/sheffield-theatre/reviews/accidental-death-of-an-anarchist-2022_57517.html

The Stageとか (4星)

https://www.thestage.co.uk/reviews/accidental-death-of-an-anarchist-review-at-tanya-moiseiwitsch-playhouse-crucible-theatre-sheffield

The Reviews Hub とか (5星)

https://www.thereviewshub.com/accidental-death-of-an-anarchist-tanya-moiseiwitsch-playhouse-sheffield/

(The Timesの意味がわからないレビューのリンクは割愛します)

ほら!!!オレだけじゃないんですよ!!!


8)バスデンさんのお芝居って評判悪いことはほとんどないのです(→悪い評価は見えない)。Holes(これは完全オリジナルだけど、元ネタはLord of the Flies)も、初演がエディンバラのフリンジで評判良くてロンドンに期間限定トランスファー、 The Crocodileも初演がマンチェスターのインターナショナル・フェスティバルで評判良くてロンドンに期間限定トランスファー。だから今回も良い期待してました…。


【Accidental Death of an AnarchistとDario Foについて】

1)こういう時に英語ではとても素晴らしい表現

I am not in the position to …

があります。何か要求されてる(→雰囲気)の時に、「すみません、ちょっとそういう立場の人間でないので・・・」とするっと逃げるときに使います。

献金とか募金とか断るとき、とても行きたくない行事等を欠席したい時、なんかの役割を推薦されそうになった時、オレは人生で何度この言い回しのお世話になったことか。

そんなわけで、演劇界もイタリアのエンタメも詳しくない自分が、ダリオ・フォ氏のことや70年代に上演されて以来、世界中であちこち再演されてる傑作について頑張ってまとめるのしんどい・・・。ので、 2017年に早稲田大学の古典戯曲を読む会で開催された、イタリア語翻訳・通訳者の石川若枝さんのガイドによる、Accidental Death of an Anarchist 「アナーキストの事故死」の朗読会のFacebook上の告知ページで、この通訳者の方による紹介文を発見、丸ごと引用させていただきます。

“【作家紹介】
昨年の10月、90歳でこの世を去ったダリオ・フォは、第二次大戦後のイタリアを代表する演劇人の一人であり、半世紀にわたって俳優・脚本家・演出家・舞台美術家として多彩な活動を展開しました。
1926年、ミラノの北西、マッジョーレ湖に近いサンジャーノで生まれ、1950年にミラノの美術学校を卒業したのち、ラジオの仕事を通じて演劇の世界に入ります。
1954年に伝統的な芝居一座の末裔で女優のフランカ・ラーメと結婚し、多くの作品で共同作業を行いました。
イタリアの大衆的な演劇やコンメディア・デッラルテの流れをくむ喜劇のスタイルに、政治や宗教的権威、あるいは社会への辛辣な風刺を組み合わせた作品を次々と生み出し、人気を博しました。
1997年には「中世の道化の伝統に範をとり、権力を嘲笑し、抑圧された人々に尊厳をとり戻した」として、ノーベル文学賞を受賞しています。【作品紹介】
『アナーキストの事故死』(原題:Morte accidentale di un anarchico)は1970年に初演され、世界各地で好評を博した作品で、フォがもっとも政治的に積極的だった時期の傑作と言われています。
初演の1年前、1969年12月にミラノの中心部で大規模な爆破事件(フォンターナ広場爆破事件)が起こります。その後イタリアでは、全国でテロ事件と政治闘争が続き、10年以上にわたる「鉛の時代」に突入します。
この作品は、ミラノの爆破事件の直後、容疑者とされたアナーキストがミラノ警察の建物の5階から落下して死亡した事件をとりあげ、爆破事件への国家的な関与を暗示する挑発的な内容です。しかし単なる政治批判の劇ではなく、全体に「演じる」という枠組みを与え、フォの得意とする笑いの手法が駆使された上質の喜劇になっています。
伝統的な演劇と現代をつなぐ回路、時事的な問題に演劇がもち得るインパクトや笑いの力を考える上でも示唆に富む作品といえるのではないでしょうか”

(↑もしも、削除しないといけないのであれば、削除しまーす!)

その他情報としては、

ノーベル賞を受賞した時に週刊新潮で3p記事になってたみたいです。これはすごい良い記事そう。→

https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I4326235-00

ユリイカで1998年にも記事になってる→

https://cir.nii.ac.jp/crid/1520573330605851776

2016年にお亡くなりになった時の追悼記事の一例 →

https://jp.reuters.com/article/fo-die-italy-idJPKCN12E042


【絶賛しかないオレの感想】

もう十分布教できてると思うので、わざわざ書く必要もないけど、ここはオレのブログなので!以下、箇条書きにします。

1)ダニエル・リグビー演じる主人公マニアックは詐欺ペテン師で、過去に数々の「別人」となり人様に迷惑をかけてきた人物なのですが、彼自身は様々な「役」を演じてきたパフォーマーで、常に(つまりこの芝居中も)観客を前に演じている、と、ガチに思い込んでいる。この設定のせいで、芝居の中で「客を認識していない世界」と「客を認識している世界」の2レイヤーが共存するんですよ。このレイヤーを巧みに利用する笑いの手法は、ダリオ・フォによる革新的な技ではないかと思うのですが、その手法をがっつりと活かしながら、バスデンさんの醍醐味といえばの(言葉の解釈のズレから繰り広げる笑い(&この笑いをベースにキャラ設定を客に浸透させていく)がてんこ盛りでした。

2)スタジオで、ステージの2面を客席が囲うレイアウトだったんですけど、

第四の壁がありつつも越えやすい親密さがあるという(注:超えてきます。マニアックが「最近流行りだから知ってるでしょ」って超えてくる)今回の芝居にベストのタイプを選んでたなぁと思いました。

3)オリジナルのマニアックはこんなに喋るのでしょうか・・・というくらい、マニアックの喋る量がすごくてですね。風刺パンパンに詰め込まれててセリフ自体に無駄はないんです。息継ぎのこと考えてない気がしてならない超絶長いセリフばかりを、マニアックが喋りまくる芝居で、成功の重力がダニエル・リグビーにずっしり乗りかかってる印象が(笑。

80分くらいなのに芝居にインターバル入れてるの、めっちゃ理解できます。終わった後、客席総立ちでリグビーに大喝采。オレは、ガチでときめきましたね(注:10年以上前はかわいいことはかわいかったことだけは断っておきます。10年以上前の話ですよ…)。

4)そのパンパンに詰め込まれた風刺なのですが、バスデンさんにしては珍しく、イギリスの警察に対するかなり攻撃的なパンチが多く(注:Line of Dutyジョークもありましたけども。Love IslandもHollyoaksも出ましたけどもw)、ある意味新境地と言っていいかも…いや! オレがいうんだから、新境地(断言)だろ。最近のこともビビッドに反映させての警察内で起きている差別、悪事、またネグリジェンスから招いた事件や、都合の悪いことの隠蔽についてなどをガツガツ入れてました。

2019年終わり-2020年初めにやった(むちゃくちゃ久しぶりだった)スタンダップで話してたことが頭によぎり、この量の攻撃の嵐は、バスデンさん、お子さんも増えちゃって、世界への不満と鬱憤がさらに溜まってるのかな、と思わず思ってしまいました・・・(汗)

5)風刺といえば、もう一つはメディアですね。登場人物の一人が記者なので。ただフォーカスは警察なので、茶々入れ程度かな。

6)1970年以降、イングランドとウエールズでは、合わせて3000以上の人が警察の拘置中になくなってるんですってね。お芝居の終わった後に、警察の拘置中に死んでしまったケースをI I I I  で、リンクhttps://www.inquest.org.uk/ とQRコードを表示してました。写真撮ったけど、あげていいのかわからないから、オーディトリアム出たところで表示していたものをあげときます。

むちゃくちゃ笑うんだけど、最後はめっちゃ真剣。

というわけで、絶対見たほうがいいです。国際的な飛行機を飛ばすというのもいいのではないでしょうか。春休みです。行けると思います。



2022年11月19日土曜日

最近聴いてる(観てる?)ポッドキャストの感想です> This Is Important

 

秋も夜長すぎる昨今ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

みなさん、ポッドキャストってよく聴いてますか?

オレはあまりポッドキャストが得意な方ではなく、勝手に入ってくる告知的な情報を元にトライ。概ね自分の好きな芸人さんやコメディ関係の人のゲスト回、というものすごい偏った、必要最低限な聴き方しかできてなかったんですね。

そういう人間には、アルゴリズム的に情報が少ないので、「こんなんいかがですか?」があんまり上手に機能してない・・・

ということをですね、9月に知りまして。


アルゴリズムってすげえんだな、と思いました。なぜかというと、オレ、YOUTUBEも結構掘りまくってる人じゃないですか。Workaholicsの掘り方は人生稀に見る掘り方だった。それなのに、YOUTUBEでも一回も「こんなんいかがですか?」がなかったんですよ。信じられないんですけど。ポッドキャスト・カテゴリーだからですよね。オレ、YOUTUBEに映像あげてるポッドキャストもあんまりみないもん。よっぽどじゃないと、みないもん。

で、このThis Is Important。確かに、Workaholics全制覇のファンにとって爆笑しかない状態には作ってあるのですが、気がついたらアラフォー(てか、がっつり40代のお父さんたち!)の面々なのに、オヤジを感じさせない・・・アメリカ語ってなんてグルーヴィーでノリが良くてだらっと1時間長聞くのにパーフェクトなサウンドなんだろう、と。

アメリカ文化を知る勉強になるし、アメリカの言葉を知る勉強にもなるし、州によって異なる生活習慣とか価値観とか、自然体でわかる。Blake とKyleは西海岸、Dersはウィスコンティン、Adamはネブラスカなんだけど、アメリカ人同士でも生活習慣や流行ったものの違いがあって驚いたりするのね・・・って、本当に新鮮で面白いのですよ。例えばオンタリオではPurple Dress Dayがあるとか、 90年代で西海岸で当たり前のようにあった洋服のお店がDersの地域では全然なかった、とか、2000年代初めのTweenie世代がどこでどんなことして遊んでたか、って全然違う!やっぱり内陸部ではショッピングモールがティーンのソーシャルには欠かせない(というかそれしかない)とか。

Dersはみんなと2−3歳年が上になるんだけど、そのたったの2−3歳の違いでポップカルチャーの違いがあるのと、Dersはぼっちゃんな生い立ちをしてるせいでも、西海岸な (dopyというか laid backというか)Blake とKyleとギャップがある。

スコットランドと南イングランドくらいの違いがある気がする・・・

あと、こんなにあけっぴろげにドラッグの話しちゃって大丈夫なんですか、みたいな話がボロボロボロボロボロボロボロボロ。出てきて。あんまり何も気にしないでざっくばらんに喋りまくってるのが彼ららしくて、面白いです・・・

気がついた時にはすでに100話あってですね(汗)新エピソード更新に食らいつきながら、過去エピソードも暇さえあれば遡って聴いてて(→最近ちょっと落ち着いたけど)大体8週間経過したいま、60話ー110話まで視聴してて、個人的には記録的スピードで消費してます。というくらい面白いので、ぜひ試してください。

Spotify


YOUTUBEはポッドキャストよりアップが遅いんだけど、映像ついてると面白いことも多いので、こっちもあげときます。以下は100回記念のエピソードで、Workaholics時代にあったハリウッドのショービジネスの毒なところベラベラ喋ってたやつだったと思う。

2022年10月11日火曜日

エディンバラフリンジで見逃し案件② コメディ・アワードノミネート作&:Colin Hoult: The Death of Anna Mann 観ました。今回のは特にシアター・クラスタの方に観ていただきたいです

 フリンジで時間とプライオリティのバランスが取れず、後で観れるものは後で観るカテゴリーに入っちゃったやつです。

来週からロンドンでやるので、ぜひ、特にシアタークラスタの人に観てもらいたいですね。

https://sohotheatre.com/shows/colin-hoult-the-death-of-anna-mann/

ロンドン以外は、以下で、ぜひ。

https://iamcolinhoult.com/


そもそも、Anna Mann/ アナ・マンとは。

ポジション的にはアラン・パートリッジとか、マルセル・ルコントです。

コメディよりの役者さん&作家さん、コリン・ホルトの作り上げたキャラクターです。コリン・ホルトがネトフリのリッキー・ジャーヴェイスのアフター・ライフのS2かS3で投入されてて、大変喜んだ記憶が。ガッツ演劇畑の人という印象。コメディドラマでちょこちょこ出てきてることが多いと思います。ファーガス・クレイグと組んでフリンジでやっていたショー(スケッチコメディとかキャラクター・コメディとか)でそこそこ知られてましたが、ガツンと当たるほどではなく。Anna Mannがコメディ的には彼の出世作&キャラクターです。アナは女優なんですよ。テレビや舞台で活躍してきた女優。

今データ確認のためググったのですが、今回コメディ・アワードでノミネートされちゃったせいで、100%今年の情報しか出てこない・・・。あくまで未承認ですが、自分の記憶が確かなら、Anna Mannって2000年代終わり頃からフリンジではデビューしたはずです。その後は、毎年来てない&ColinHoultとして来ることもあったけど、最低数回はAnna Mannでショーをやってました。イギリスのライブコメディシーンでは、ガッツリ知られている、定評のあるキャラクターです。Anna Mannは、オレは結構前に1回Anna Mannが演技のワークショップやる、っていう手合いのショーを観に行き、パンデミック中のひたすらダベるオンラインショーを観たりしてました。

非常に申し訳ないのですが、成功したキャラクターコメディって、笑いの保証がある一方この保証が仇となり(ある程度どんなもんかわかるので)、いつも一番プライオリティを高くして追いかけなくなっちゃうんですよね。なので、今回は、友人の感想をきいてなければ、どうしても行かなきゃリストに入らなかったんじゃないかと思ってます。口コミ&レビューって大事!


というわけで、感想。

タイトルが、今回で封印しちゃうのかな?と思わせるような「アナ・マンの死」。

「お医者さんに “もうあと4ヶ月しか命がない” って診断されちゃった・・・」と、オートバイオグラフィー的な展開で進行します。良い両親に恵まれず、理解ある姉を心の支えに成長、とあるきっかけで女優業に目覚め(劇場バイトで上演中のステージに紛れ込んでしまった)、キャリアをスタートさせます。一方、男性との色恋沙汰もそこそこ派手で、結婚相手も何回も変わるというプライベートなお話も混ぜつつの、あのTVドラマ、この舞台、あの映画での出演エピソードを過去の栄光的に語って行くんですね。そして今の状況、今の自分にあるもの、そして今自分ができること、先に見えるもの、を模索していく。

実は、

「今回のアナ・マンは、アナ・マンを通してコリンホルト自身のADHDとメンタルヘルスについて物語っていく仕組みにもなってて、めちゃくちゃ深い(→だからオマエも観に行け)」という友人の感想でみたいと思ったので、ついそういう観点からみてしまったのですが、本当にその意味で、素晴らしかったです。

というのも、① アナ・マン

② アナ・マンが回想するときの過去のアナ・マン

③ アナマンが過去に演じて来た役 (つまりアナ・マンが殻をかぶる)

④ コリン・ホルト(アナ・マンの殻を被っている)

という通常よりもレイヤーが多い中をアナ・マンがスルスルとシームレスに移動するんですよ。①ー③に関しては、Colin Houltの卓越した演者としてのスキル、特に(ジョーダン・ブルックスさんにも共通するけど)日本のギャグ漫画にも通じる笑いのインパクトをステージ上で表現できちゃうにあるのですが、すごいのは③と④の移動です。本来④は出ちゃうとアウトじゃないかと思うんです。が、1)アナ・マンもコリン・ホルトも「パフォーマー」であること、そして、2)コリン・ホルトがアナ・マンをやっていることは暗黙の了解であること、この2点のせいだと思うんですけど、見事にスルーっと出たり入ったりするんですよ。

アナ・マンというキャラが世に誕生したときよりも、ジェンダー問題はよりセンシティヴになり、ウォーク世代が激増し、重箱の隅だけフォーカスして突きまくる。「女性」「女優」というキャラをHe/Himの白人の男性がやることへのプレッシャー(注:Colin Hoult がゲイなのかどうかはよくわからないけど彼自身はHe/Him。なぜならショー中に確定する下りがあるから。あと未承認だけど多分お子さんいる)と葛藤や悩みというのが、アナ・マンの創始者とアナ・マン自身とオーバーラップするんですね。今までのあれやこれやの問題は、自分(コリン・ホルト&アナ・マン)が「できなくて当たり前」「問題があるのは自分」からくるものだ思っていたことが、実は ADHDという「病気」のせいだとわかる。しかも業界では乗り遅れ気味の(&コメディ界あるあるな)「病気」で、わかったところで、(ここまで来ちゃってて)どうしろっていうのよ、的な。最後の締め方が感動的で、泣いちゃいましたね。(一番前でw)

ここで、再びのFourth Wall /第四の壁の話ですけどw、アナ・マンもガッツリとステージと観客の一線を超えて来ます。ショーはいつでも客とのインタラクションが重要なポジションをとっている。そもそもあるのかどうかも本当にわからなくなる、シアターとライブコメディの違いとは何か、を改めて考えたくなる作品だと思いました。ぜひより多くの方に見ていただきたいです。


2022年10月3日月曜日

2022年9月にメディアで観たり聴いたりしたコメディ的情報と感想です。Am I Being Unreasonable? See How They Run, Ladhood S3, Code 404 S3, Bloods S2とか。

8月が思いのほかライブコメディのお祭り1ヶ月になってしまったので、9月はおとなしくしていようといろんなコンテンツのキャッチアップしてました。

というわけで、以下は観たものの忘備録と基本的には布教です。


Am I being Unreasonable?(BBC)

このクリップだと誰でも観れるのかな?

This CountryやTaskmasterシリーズ参加者などでもおなじみのDaisy May Cooper が役者さんおSeline Hizliと共同執筆&出演しているダークコメディドラマ。

お話は、結構いいくらいしをしている奥さんニック(Daisy May Cooper)は、旦那さんダン(Cardinal BurnsのDastin Demni Burns)との仲もなんだかなーで、人生落とし穴にハマっちゃった気分でいます。唯一の心の支えは息子くんのオリー。また、人には絶対に言えないダークな秘密を抱え、その秘密のせいでちょっとしたトラウマになっています。そんなある日、息子くんの学校に転校して来た子のお母さんジェンと、運命のような意気投合をするんですね。ある夜二人で泥酔し、心を許しすぎて、思わずポロリとそのダークな秘密の断片をこぼしてしまいそうになるのですが、その話になりそうな時にジェンが携帯の録音ボタンを押すのです。どうもジェンとの出会いはまるっきりの偶然ではない感じで・・・。

先週から放送開始になったのですが、BBCiplayerで全話上がっていて、二転三転するやめられない止まらないプロット展開にのめり込んじゃって、珍しく全話を一気見してしまいました。というくらい面白かった! またこれは共同執筆とは言えDaisy May Cooperの手腕というか専売特許じゃないかと思うんだけど、This Countryの時と共通して、セリフのナチュラルさ、そのナチュラルなセリフにふんだんに盛り込まれた自然体のユーモアの数々が素晴らしすぎです。とってつけたような「作りました!」ではない笑い、ホントにリアルな会話を切り取ったかのような中で展開される笑いを作り出している。その才能がかっこよすぎて、プルプル震えます。

もう一点はオリー役の子がめちゃくちゃ上手なんですよ!!! 何歳なのかわからないけど(ドラマ上は9歳だけどもっと上のはず)喜劇と悲劇と無垢なホラーをいっぺんに表現するのがうますぎて、おそらくこのシリーズのスターは彼だと思います。

制作陣含め、才能ある女性タレントを多く起用しているのも大変ポイントが高いです。ぜひ観て欲しいです。


See How They Run  

こちら、映画です。久しぶりに出たイギリスならではのコメディ映画、じゃないでしょうか?( サム・ロックウェルがメイン・キャラですけどw)

舞台は1950年代のロンドン・ウエストエンド。アガサクリスティ作の大ヒット殺人ミステリー「マウストラップ」が大成功となり、映画化しようとアメリカから映画監督がやってくるんですね。で、芝居のプロデューサーとの説得交渉がなかなかうまくいかなかったり、出演者を交えてのパーティーでも完全に酔っ払って出演者とちょっとした喧嘩になったりというくだりがあってのち、この監督が劇場内で殺害されて発見。この殺人事件を巡って巻き起こるミステリーコメディです。

キャストがすごいんですよ。サーシャ・ローナン、サム・ロックウェル、エイドリアン・ブロディのハリウッドAリストのビッグネームが並ぶほか、ティム・キーとリース・シアスミスがいい役でガッツリ登場。This Countryのカーテンことチャーリー・クーパーと牧師だったポール・チャヒディが美味しい役で登場してるほか、カメオもボロボロ。芸達者な人たちがそれぞれ魅力全開で登場してるので、ものすごい面白いです。

しいて言うと、このキャストの才能が集結してるからこそ、この作品光ってるかな、と。脚本が悪い言い方をすると超優等生なエリート・オックスブリッジ・コメディなんですよ。ネタバレになっちゃうかもだけど、芝居マウストラップのストーリー展開とそれを映画化するなら、と企画される映画化バージョンのストーリー展開と、(映画の中で)実際に起こる殺人事件を綴るストーリー展開が上手にオーバーラップするんです。まるで教科書みたいで、自体に遊んだり崩したり想定外を模索する隙がない。そこをものすごい才能のあるキャストたちが自分たちの魅力を持ってして遊んだり崩したりしてくれた感じです。


Bloods S2 (SKY TV)

 イングランドの救急隊チームの群像劇コメディ、でいいですかね?(汗)シーズン1のレポートはこちらです。

で、シーズン1でもお恥ずかしながらもクソもなく明記してますが、オレのフォーカスはSam Campbellくん一点絞りで、サムくんの演じるダレルくんと彼がチームを組むダリルくんの2人組しか追っかけてないです。って言うか、SKYがダレルくんがどうなってるかをまとめてYOUTUBEに上げてくれるのを知ってからは、それ観てるだけです。S2ではダレルくんがオーストラリア人なのでビザ延長問題で困っちゃってて、誰かと結婚しなきゃ、となる展開。手当たり次第にプロポーズするんだけど全滅で、途方にくれちゃうんだけど、よく考えたらダリルくんと結婚すればいいじゃん?!となります。7分強なので、これを機会に何をやってもブレない天才の天才さ加減をご覧ください↓(クリップで)

どーでもいいんですけど、役柄の名前も記憶にないレベルなので、IMDBで調べたら、サムくんのIMDBの写真コレでしたよw。ブレなすぎて震える。

自分でテコ入れたりしてんですかねw


CODE 404S3 (SKYTV)

こちらもS1、S2は紹介済み。

ガッドさんの演じる役がどんどんコメディ要素多くなってる気がします。


Ladhood S3 (BBC)


うわ、BBCずさんだなぁ(涙)シリーズ3のトレイラーないんだけど・・・ これだけ見つかりました。世界的に観れるのかな?


今回が最終シリーズとなります。個人的にどんなに素晴らしい作品でも(コメディに関しては)3シリーズで終わるのが一番ベストと思いがちなので、これはありがたいです。

基本的にリアム・ウィリアムズくんの中高生時代を題材にした私小説です。

で、TVシリーズになる前のラジオシリーズの感想はこちら。(→この頃はリアムくんがライブコメディの未来の希望となるようなスタンダップをやっててマジでドンハマりしてたときです。しつこいようですが惜しくもスタンダップ引退しました)

シリーズ3はA Levelでいい成績だったせいで親と学校の強制的な?斡旋のもと、オックスブリッジを目指すことになります。つるみ仲間のほとんどは卒業後は社会人になるというのに。他のみんなが自分で稼いだお金でビール飲んだりテイクアウト食って楽しんだりしてるのが羨ましくてしょうがない。「学業以外の活動をすることはオックスブリッジに入るのにポイント高い(→ホント)」と眉毛がコイル巻きの母親を説得し、ピザ屋で働き始めるのですが・・・という話で開幕。
S3も大人になった自分の状況シーンとオーバーラップさせて学生時代のエピソードを展開しており、秀逸さをキープ。特にエピソード5と6は素晴らしかったです。(カメオゲストの使い方がその人が作ってる別のカルト人気作品とバイブがオーバーラップする、というのもポイント高い)
その一方、大人になったリアムくんが広告代理店で働いていて、困惑する人いないのかな?とちょっとだけ心配になりました。オレは、たまたまリアムくんに過去にハマっててインタビューとか聞いたりしてたから、フルタイムで芸人に振り切る前に短期間サラリーマンやってたの認知してるんで、納得できたけど。と思う一方、この作品がリアムくんのティーン時代をもとにした話だってところを認知してる視聴者がどれだけいるんだろうとも考えると(汗)そっちが少数なのかもしれず、そーなると、オレが気になったことはどーでもいいことかも、と激しく思いました・・・(汗)

備考ですが、リアム役の子よりつるみ仲間のラルフ役の子の方がものすごいあちこちで活躍してる印象w。あ、でもなんかでっかいティーンドラマのメインをリアム役の子がやるってニュースは見たな・・・

以上です。本当は、最近ドンハマりしてるポッドキャストの話をしようと思ったけど、すでに長すぎるので、別立てしてエントリーします。


2022年10月2日日曜日

エディンバラフリンジで見逃し案件キャッチアップ① Sean McLoughlin ”So Be It" 観ました。

 現在UKツアー中。ご本人の地元?(→未確認)ブライトンは10月初旬、ロンドンは10月下旬です。

http://seanmcloughlincomedy.com/tour/

マイク一本で勝負する、ミニマリズムなパフォーミングアート、フォーマットとしては超どストレートのスタンダップを展開する芸人さんです。

キャリア15年で現在32歳(→33だったかも。ショー中に話していて知った。どちらにしても若い)。ここ7−8年では、トップ中のトップ技術とカリスマ的な個性を持ち、かつネットワーク運に恵まれないとチャンスをもらえづらい「白人」「イングランド人」「ストレート男性」「(比較的)若い」の4重苦をもつカテゴリーにいます。

この4重苦を持つ芸人さんは業界の習慣と特色上、ネットワーク運が圧倒的に良いというのも否めないのですが、トップ中のトップ技術が備わっておらずとも毛色が変わっていることでチャンスがめぐりやすい芸人さんがある程度いるなか、結構厳しい戦場で頑張っている芸人さんです。

それがわかっているのに、こんなこと言うのもなんですが、結構あちこちからいい評判ばかりを聞いているにもかかわらず、こちらの腰が重くなっちゃってですね(滝汗)。フリンジも推しと推しら辺一帯と天秤にかけた場合、優先順位のなかなか上に喰いこめず(滝汗)、「イングランドの人だからツアーで回ってきたときにキャッチしよう」と後回し。で実際回ってきたときに別の用事で行かれないとか、パンデミックで何も回ってこない状態とかになるわけですね。

そんなこんなで、今回ついに。初めて拝見させていただきました・・・

【感想】

場所がThe Stand Comedyだったんですけど、フリンジ以外の時期で平日夜8時枠の場合、サポート的なアクトを含めて90分ー2時間枠で行うことが多いんですね。たまに経済的事情でそれをやらない芸人さんがいて(→サポートをいれるとその分収入が減る)今回も約45分ずつの2部構成で、なんの問題もなさげに全90分コンプリートしてました。

カナダから(→奥さんカナダ人。これもショー中に知った)戻ってきたばっかりで、時差ボケがっつりで、その前もヨーロッパで営業してたので、「ここ1ヶ月くらいのイギリスのことがまるでわかってない*」w っていうのが、ナイスに今回のショーの軸となる「(社会)システムについてのあれこれ」の上手な導入口に。

グーグルに支配されないため何をやってるか、奥さんのビザ取得の話、カナビス購入とか違法だけど馬を無条件で買えるってどーなのよ…とか、オーディエンスの話も巻き込んで(それで時間を90分に引き伸ばしてるんだろうけど)突散らかさず、本線からずれずにまとめてて、ハイクオリティな芸を見せてもらいました。特に、最後の締めがホントに粋でした。ちょっとしたノベラを読んだ時のような文学的情緒をもたらしてくれた。それは途中であったThe Grapes of Wrathのリファランスが潜在的に効いてるからなのかもしれない。マイク一本で90分という長時間で客を惹きつけこの世界観を作り上げて終わらせる芸人さんは、本当に少ないと思います。

一つ大変興味深かったのが、ジョークの落とし方。落とす前に、客とインタラクションしてクッション入れるんですよ。で、そこで生まれるフリからの落としがはいる。でオチ。その時もオチって感じな喋りのトーンじゃないことがあって、すごく新鮮なスタイルでした。これってやっぱりStewart Leeの影響入ってんのかなぁ? 真似でもなんでもなく、完全に別物になってます。(褒めてますよ!)

もっと注目されてもいいと思うんだけどなぁ。

ただ、この芸人さんも(?)注目されてメジャーになると一工夫入れてかないと次へ進めない「ルーザー芸」が基軸にあるので、注目されすぎるのもアレなのかもしれないw 15年のキャリアのうちソールドアウトになったことねーとかw

というわけで、皆様のお近くにやってきたら、ぜひお試しください。ソールドアウトになったことないというのがホントなら、当日にあなたの街に来ていても、絶対にチケット買えると思います。


*未来にこの記事を読む人がいらっしゃったら、この2022年9月は鉄道はじめあらゆる労働組合のストライキが起こるなかエリザベス女王陛下が崩御して英国中が2週間くらい毎日クリスマスみたいに休業しちゃうっていうとんでもない月だったですよ。