イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2025年8月18日月曜日

Edinburgh Fringe 2025 エディンバラフリンジ2025:観て良いと思ったもの忘備録:Adam Riches & John Kearns, Huge Davies, What Men Want (Evaldas Karosas/Katie Greena double bill)

3本、忘備録を、上げます。


Adam Riches and John Kearns are Ball and Boe – For Three Nights Only

実力の才能ゴリゴリ芸人さん二人による企画もの。昨年のクリスマスにロンドンのSOHO THEATREでやったらしいですが、今回3日間だけフリンジに来てくれたので、こちらも発表あってすぐにチケット購入してました。芸人さんらが芸人さんらだけに、ハズレがあり得ない。

Ball and Boeって、コレですわ、コレ。


とかいって、オレあまりテレビを見ない人間だし、リビングにフェスティヴィティでみんな集まって、否応なしにITV観るってことって学生時代終わってから、まるでやらなくて良い人生を送ってきたせいもあって、Michael Bubleについて「知ってる」レベルでしか、この人たちのことも知らんです・・・

Michael BallはAdam Richesで、Alfie BoeがJohn Kearnsで、なんでふたりともそんなに、迫力の歌唱力あるんですかw、と謎すぎるパワフルな歌声で、Ball and Boeとしてステージに登場しちゃうんですよ。深夜のPleasance Grandに鳴り響く歌声と(本家のはしがなく観ている)観客たちの大盛り上がりな歓声。

パラレル・ワールドのBall & Boeでは、BallがMichael Bubleに理不尽なライバル意識を燃やしており、Boeは自作のオリジナルソングを発表したいのだが、その機会を(Ballから)与えてもらえず、不満を抱いている、という設定。ちゃんとストーリー展開もあって、単なるパロディではない卓越した一級品のクオリティがw どーでもいいんだけど、二人の歌声本格的すぎるのなんとかして、笑いが止まらんw

そもそも、Adam Riches とJohn Kearnsが、この2人になってみよう、って思ったのか、ものごっつ知りたい。そこを知らんと、どうやって、work-do用の余興を遥かに超えた、こんなに笑えるハイクオリティな出来になっているのか、核心の核心にはつけない気がします・・・



Huge Davies: Free Work in Progress




Huge Daviesといえば、比較的レギュラーでチェックさせていただいている芸人さんなんですが・・・ 過去作品感想→ http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Huge%20Davies

今回、フリーフリンジで、今まで入ったことない飲み屋で、WiPやってまして。お昼の時間帯だったし、PR的なフライヤー等まるで見かけなかったので(&Twitter界隈崩壊につき、まるでまともに情報が入ってこなくなったせいもある)高括って15分前にハコに到着したら、列がパブの外まではみ出てました。しかも入り口がSouth Bridge側とNiddry St側の2箇所にあって、無法地帯なので、両方の入り口に人溢れてる感じ。さすがFree Fringe。とはいえ、なんとか座れまして、見れました。
WiPなので、有料で変なプレッシャーを背負いたくなかったらしいです。いつもの通り、首からでっかいキーボードぶら下げて出てきては、リフだけでつなげて、クラウドワークをひたすら練習?するってことをやりたかったらしい。特に事前に書き起こしているネタもないので、「ショーのクオリティにはなんの保証もなく、いい日もあれば悪い日もある、それも全てはお前ら客次第なんで、よろぴく。何も払ってないので、文句言われる筋合いはねー」的スタンスで、なんか社会心理学かなんかの学者さんが発表した 
をやって、みんな僕を好きになりましょう。とマイクを順々に渡していき、いわゆる「あんたたち誰?名前は?」みたいなところから「もしもディナーに誰でも招待できるとしたら、誰を招待する?」「ディナーには何を準備する?」 と(多分)36の質問と関係する質問をしていき、さらに飛躍するため、クラウドワークのさながら、Chat GPTを利用。

そう、利用しているんですが、わざわざ、ちょっと調べてみるから、とかちょっと使ってみるから、と客に断りを入れずに、キーボードの上にスマホかけて、スマホをたんたか打ちながら、喋ってやりとりして、歌なり、質問の答えにつながることなどを、当たり前の自然の行為的な感じで、調べていくんですよね。それで、歌の歌詞に繋げってったりとかする。これも一つのAIの使い方、と考えると興味深かったです。
WiPなので、今の段階だと、確かに、まだ初期すぎて、このChat GPTの使い方って、どこで線を引くことで、AIがクリエイティヴの道具の一つの範疇であるか、それとも、AIによって作られたショーなのか?という疑問が湧きましたね。でもHuge Daviesは才能ある若きアジアン芸人さんなので、この辺をクリアにしたくて、の、クラウドワークのWiPだったのではないか?と思ってます。
あ、めちゃくちゃ笑いましたよ。


What Men Want 





今後適度に注目、という観点からのみ、書いときます。
今年3月ロンドンで3日間遊びに行った時(注:年に1−2回友人同士で、見たいものを見まくるを目的にロンドン遠征に行ってます)行ったことのないコメディ・クラブで、ヘッドライナーだったリトアニア出身のEvaldas Karosas(いまだにはっきりどう名前を読むのかわかっていない)さんの15−20分セットをみて、お!これは。と思ったんですね。
で、あれ?、この子は、2年くらい前にフリンジにて初心者芸人が1ヶ月やることのドキュメンタリーをYOUTUBEでアップしてた子だって、思い出して、さらに注目度が上がったんですよ


今回は、https://www.instagram.com/p/DMahsC4sSmY/ ←このフライヤーを見たときに、「共同執筆でお芝居をやるのかな?」という期待を持っていってしまったのですが、単純に1時間を2人の芸人さんがスプリットするっていうただのダブル・ビルでした。また、What Men Wantとタイトル付けてるし、各20−25分ずつ尺なのに、What Men Wantからブレてるネタが多くて、それもうーん、気になりました。でも、Evaldasくんは、ネタ自体は面白いもの提供するんですよ。Free Fringeだし、ふたりでやってるので、10ポンドバケツに入れましたが、来年以降、もうちょっと次のレベルに行ってると嬉しいですね。





2025年8月14日木曜日

Edinburgh Fringe 2025エディンバラフリンジ2025:観て良いと思ったもの忘備録、Joz Norris, Rhys Darby, Rob Kemp, Simple Town 他

今週は出てきてる評判をちらちら見ながら様子見にしようと思ってるので、このまにコツコツ生産したいと思います。

Joz Norris: You Wait. Time Passes.

去年WiP見て、えらい気に入って、最終形態を見たくて見にいきました。

WiPの感想:http://www.gojohnnygogogo2.com/2024/08/edinburgh-fringe-2024-2024joz-norris.html

「一世一代のライフワークがついに完成したんで、みんなの前で発表するよ!」っていう前振り。WiPでは、いつまで経っても完成作品の発表に至らず、いろんな形で引っ張り続けてたんで、ベケット色が強かったんだけど、完成品は、発表したらどうなるのか、をきちんと描くことで、アーティストの欲望ってなんなのか、そしてアートってなんなのか、というピンポイントなテーマに落とし込んでました。芸のためならー女房も泣かすー(古)ってやつですね。(女房泣いてないけど。泣いてるの自分だけど)一世一代のライフワークが彼が出身(?というのか?)のWeirdos Comedyの極みで、あまりにも強烈で途方も無いバカバカしいものなんですが、それを超キープしながら、「アート」とそれに翻弄されてしまうアーティストのお話を作り出せていたのは、大変良かったと思うんです。

評判が大変良くて、ベネットさんが5つ星出してるんですよ。https://www.chortle.co.uk/review/2025/08/08/58710/joz_norris%3A_you_wait._time_passes.




Rhys Darby: The Legend Returns

そーです。レジェンドの(エディンバラフリンジ)復活です。が、Returnsといってツアーをやっているので、スタンダップ自体が久しぶりという理解でいいのかもしれません。
















https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/rhys-darby-the-legend-returns

(大丈夫よね?説明とかいらないよね? 大物だもん大丈夫よね)

Pleasanceの750席箱の、Pleasance Grandで10日間限定。いまだFlight of the Conchords好きとしては、ココちょっと外せないので、発表になった時に速攻で買っちゃってました。同行者らとは、「そうそう簡単には売り切れんだろー」と言ってたのですが、10日限定なので、日程近くなっちゃったらそりゃ売り切れちゃってますよね。

リターン以前のRhys Darbyを見てるものとしては、結構ビートボックスの効果音とフィジカルコメディってイメージがあり、(その意味で)高いスキルの笑いを楽しめる、って認識はあったんですが、今回感動レベルで素晴らしいと思ったのは、この特技が全面に活かされての、ストーリーテリングで、その表現力の高さがエグすぎて、一本のハリウッド映画かなんか見てる気分になる程だったからなんです。50過ぎて日々衰えと老いを感じながら(→伏線)進化し続ける世界に生きるSimple Dadが、3大AI巨頭(Open AIのSam Altman, Elon Musk, Mark Zuckerberg)の送り込むロボットとAIの侵略戦争に勝てるのか。ロボットサイドのドラマも描きながらw、壮大なエンタテイメントを展開するんですよ。1時間の。何一つ無駄のない。
13年ぶりとは到底思えない、腕は全く錆びついているどころか、ものすごい研ぎ澄まされた一流シェフの包丁でした。「大物」なネトフリ配信の大御所の、role modelになってほしい。


Rob Kemp: Beatlesjuice – WIP

















Rob Kempって2017年だったかで、The Elvis Dead で盛り上がった芸人さんなんですが、オレはエルヴィスもホラーも専門ではないので、未見なんですね。今回ホラーも専門とする友人に、みにこうぜこれ、って言われて、ついていった次第です。
結果、あまりないタイプのものが見れて、良い経験になりました。
映画ビートルジュースをストーリーをビートルズの調べに乗せて歌って歌う60分w でもWiPの最初なので(WiPのプレビューって本人言ってたw)お客さんに「これどう思う?こうしたほうがいいと思う?」とか相談しながら進行してて、和気藹々でした。

The Elvis Deadが大好きな友人らが一番前に座っちゃったので、(どういう芸人さんなのかもよく分からんかったので)激しく不安を抱いていたら、その不安エネルギーがステージ側に届いたようで、始まる前に「明らかに不安そうなんだけど大丈夫?」と聞かれ「いえ、ただひたすらこのステージとの距離感が・・・」と正直に不安を説明したら、「大丈夫そういうやつ(クラウドワーク)じゃないから大丈夫」ってノー・クラウドワークゾーンを作ってもらえたんで、良かったです。
いや、クラブコミックじゃなくて、こうした60分のショータイプだとね、どんな笑いかある程度知識があれば、いいんですが、まるでわからないとね、やっぱりねぇ
来年、最終形態になってる時に、また誘われると思うので見にいってると思います。多分。



Simple Town

















元々のオレ的今年の注目トップに入るアメリカからのスケッチ・コメディ・グループで、ついにナマが見れたことで、嬉しかったです。ネタ構成が、各ネタ上に出てきたセリフを繋げて一本のショーに仕立て上がってて、モンティパイソンを思い出しちゃった(注:アメリカのスケッチコメディグループです)多分5ー6本くらいしかやってないんで、1本のスケッチが結構長めのはずなんだけど、まるでタルみや無駄がなくて、あっという間の1時間でした。
実は昨年の3月にロンドンまで弾丸でPlease Don't Destoryを見にいったりしてるんですが(→普通にコロナ禍にハマった)最近のアメリカのこういったグループは、いわゆるバイオロジカルによるジェンダーが、自然体で一切影響しないネタづくりなのが、気に入ってます。(→女子だとか男子だとか、っていう分け方をしない)イギリスもなのかな? 
最近イギリスで3人以上でスケッチやり始めた若手って、そういえば知らないなぁ・・・ロンドンに行ったらいっぱいいるのかもだけど。

他、と言ってるわりには、書くほどではないかな、という気分になってしまったので、以上にしようと思います(てか、疲れた)


2025年8月13日水曜日

Edinburgh Fringe 2025 エディンバラフリンジ2025:【ネタバレ注意】Luke McQueen: Comedian's Comedian観たんですが、いろんな意味で今年はコレでいいんじゃないでしょうかの決定打かと思います

 いやいやいやいやいや… 

これね、多分今年のブラックホース。失礼なんですが、こんな期待はまるでしてなくてですね。

失礼すぎて、申し訳ないです。でも、大穴。

まだフリンジ始まって前半ですけど、オレの笑いの好みも含めて、全ての意味で今年のエディンバラの賞を取るなら、このショーが一番今年ふさわしいんじゃないかと思うんですよ。Comedians' Comedianのポッドキャストって、一体どこまでUKコメディの世界線を超えて知られてるんだろうか、という疑問は拭えないんだけど、それでもMalcolm Hardee賞では、マイナーすぎる気が。

その理由が上手にここで書けたらいいな、と願いつつ、以下です。










https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/luke-mcqueen-comedian-s-comedian


[バックグラウンド]

ごめんなさい。本当に失礼なんですが、それが基盤となって展開するので、しょうがない。

Luke McQueenさんって、UKコメディ付きの間では知られてはいるんですが、結構長いことですね、鳴かず飛ばずな芸歴送ってきてる芸人さんなんですよね。オレはTurtle Canyon Comedyで10年くらい前に配信してたショートがきっかけかな? 元祖(ハネる前の)エイカスターと(現在までの)Stuart Lawsクラスタって言って安全だと思う。

Channel 4がこれからハネるんじゃないか?的な芸人さんたちに10分くらいのショートをコミッションする企画で何回か選ばれてたりとか、BBC3がこれからハネるんじゃないか?的な芸人さんたちに10分くらいのショートをコミッションする企画でも選ばれたことが過去にありました。

たまにComedy Centralの番組に出たりしてた。けど、レギュラーではない。パネラーの一人、みたいなやつ。

というわけで、かなり芸歴長いわりに、(あの芸人さんもこの芸人さんも、ハネちゃってる一方)現在も同じようなポジションで相変わらずの鳴かず飛ばず。ヒットがない。

フリンジにも結構毎年きて何かやってたんじゃないのかな。記憶にあるのは、かなり前(もしかして10年くらい前かも)のショーを(Chortleの)ベネットさんによりにもよって2.5星をつけられた時のことです。「完全なる営業妨害! まだ1つ星の方が良かった。どんだけ酷いショーなんだろうって、興味が湧いて見にくる客がいるから。こんなミッドすぎる星の数では、誰も興味がわかないじゃねーか!」って激オコってた時の件です(→非道い)確か両者示談で納得したんじゃなかったっけか?

それだから、というわけではないのですが、Luke McQueenの60分のソロ・ショーって見たことがなくてですね。今年プチッと見てみようかな、と思ったのは、2年前に見たSongs with Father という深夜に2日間だけ、Mark Silcoxおじさんとやった完全企画もののショーが、内蔵が口から出てくるほど面白かったからなんですよね。同行者らが、その経験をベースにして、今回見にいくというので、じゃあ、行こう、と。だから、本当に申し訳ないんですけど、どんなもんなのかなー?程度の、気の軽さだったんです。


【お話のさわり】

っていう、キャリアのせいでですね。

英国の芸人さんインタビューポッドキャストの2大巨塔の一つであるThe Comedians’ Comedian Podcast に一回もゲストで呼ばれたことがないんですよ。

エピソード回数は531もあり、中には何度もリピート登場している芸人さんもいるのに。

一回も、お呼びにかかったことがない。

一回も。

というわけで、この有名ポッドキャストのクリエイター・芸人さんでありインタビュワーのStuart Goldsmith(SG)に直接電話して聞いて見ましたー

プー。プー。ぷ、ガチャ。(以下、うる覚えだけどこんな感じ)

S G: あーもしもしー。

L:あーどうもどうもLukeですー

S G:おーげんきどうした?

L:いや、どうしてオレってComedians Comedianに呼ばれたことないのかな?って思って

S G:・・・は(ぁ)?!

L:なんで?なんで?なんでなの?

S:えっ、いや、えっ、えっ?! えっ?!

L:ゲストに出して

S G:・・・この方向で会話進むのコレ、マジで?

L:ゲストに出して

S G:け、結論から言うと、できない

L: なんで?

S G: あのポッドキャストって、いろんな(成功ストーリー的なものがあった上で)掘り下げをしたくて、オレ側からオファーしてるのよ。

L:・・・

S G:おまえ、ないじゃん。

L: ・・・・・










ここで、Comedians’ Comedianやってやる!! スチュー、めちゃくちゃにボロクソにめった切りにしてやる、チクショー!!


ってやつなんです・・・

ものすごいチープな手作り人形がスチュワート・ゴールドスミスとなって、猛毒インタビューが展開していきます。


***ここから、ネタバレるので、今後見る予定の人は、踏まないでください (ロンドンでもSOHO THEATREとかで見れるようになると思うので)***







このショー、心の闇を巧みに利用した、(本人曰くの)アヴァンギャルド・プランク(→あまりに気に入ったので、そのまま用語を使用)なんですよ。

プランク(おちょくり)の相手は誰かといえば、もちろんComedians’ Comedian PodcastシリーズのSGでも、SGはこのショーの仕込みで冒頭は芝居だったということでもない、つまり、お客さんでもないんです。

じゃあ、誰か。

AIなんですよ。

AIが人間のクリエイティビティすらもとってかわろうと恐れられるくらいの威力となっている昨今、生身の人間の生き様の尊さ、感情や創造性が勝てるんだ、って挑戦状を叩きつけてるショーなんです。AIにフィクションをリアルとして教え込ませ、訓練する。そしてショーがリアルに見えるように利用する。つまりAIにプランクをかけてできたショーなんです。

途中からSGが悪魔の申し子みたいな変化を遂げて、元々のポッドキャストにある彼の生い立ちやキャリア活動を取り上げながら「芸人本来の自分」を見せていく、の究極をいき、自分が認めたくない、自分が見つめたくない事実と無理やり向き合わせようとする展開をとっていきます。何度やり取りやっても、本当の自分を見せることができず、違うだろ、そうじゃないだろ、って、SGにダメ出しされる。本当の自分を出さないと、お前が誰にも見せたくない、ひっそりとPCに隠してるこの極秘ファイルを公開するぞ、って脅される。

それだけは、そのファイルこそが真実なので、それだけは公開しないで、と、マスク(ジムキャリーの)になって(注:マスク至るまでのフリはあります)ついに暴露するんです。それは、芸人としてかなり長い間頑張ってきて、まだこの業界で頑張りたいと、コメディをアートと信じ、自分はアーティストとしての誇りを持って頑張ってきた自分が絶対に認めたくない、紛れもない真実なんですよね。

でも、本当の本当の真実は、そこでもなく、その「極秘ファイル」にあるわけなんです。

で、まあ、ここに至るまでの間で、「SG(の声)ってどういう立ち位置なんだろう。ガチ(=仕込み)?AIなの?」って後頭部あたりでショーの方向性を考えながら見ていくんですけど、この極秘ファイルの手前のレイヤー「真実の自分」の公開までで、すでに内容濃くて深いので、極秘ファイルがなんなのか想像する余裕もなかったです。この芸人さんが色んな意味で業界の伸び悩み時期が長いんで、リアルに染みるんですよ。

素晴らしかったのが、最後の最後のオチ。一番人間らしくて、一番シンプルで、一番心を打たれるものだったことです(*1 注釈)

「Chat GPTに⚪︎⚪︎してもらいました!」「AIに聞いて見ました!」って類を超えた、シアトリカルな意味でAIを盛り込んだコメディってここ1年ちょっとで結構見てるので、確実に増えてきていると思います。やっぱりアメリカが早いかな。Connor O'Malley とか(参考:https://www.youtube.com/watch?v=Svual-PcOxE&t=6s でもオレが本当にこの人はコメディの神だと思ったのは、この配信直前に1時間生配信でやってたコレ https://www.youtube.com/watch?v=5cpU9ud1AtE&t=775s)Alan Resnick とか https://www.youtube.com/@AlanResnicks

で、このショーは、今アートシーンで一番シリアスな問題になっているAIを利用する、を一歩超えてることを見せてると思うんです。

テーマがまさに旬だし、演者も(こういうキャリア経歴なので)賞を取るには一番ふさわしい気がする。

今年のフリンジでも、Rhys Darbyが一本のドラマとして作れちゃうよね、っていうような素晴らしさで、「AI vs 人間」で50で衰いのハンディも潜り抜け、AIに打ち勝つっていうナレティヴの1本作ってます(→あまりに素晴らしかったので、別記事立てる予定)これはAI自体は作品中に利用してない、まさに体一つなんだけど、エンドポイントとしてはこのL.McQueenのComedians Comedian一緒じゃないだろうかと思います。

というわけでですね。いいものみましたし、もう一回みたいくらいなので、オレの中では5つ星です。

(*注1)Naviさんからこのショーの演出、Jordan Brookesだと教えてもらって、ものすごい納得でした。このレイヤーと深みは、彼のテコ入れがあってこそ、だったのかもしれないです。Jordan Brookes本当に素晴らしいです(二言目には素晴らしいしか言えてないのはボキャブラリーがないからです申し訳ないです)多分彼はどちらかというと、いかにしてショーを軽くするかで模索している感じだけどw 昨年のタイタニックミュージカルは、序盤のWiPに比べたらえらい軽いトーンになってましたしね。

2025年8月10日日曜日

Edinburgh Fringe エディンバラフリンジ2025 先週から見たもののいくつか忘備録 Christopher Macarthur-Boyd, Luke Wright、Rohan Sharma他

もー大変なので、 今年から、ものごっつおすすめだけ、1投稿でしっかり書くことにして、

あとは良かったものや特記したい点があるショーについてだけをメモ書き程度にしようと思います。なぜなら、まだ始まったばかりの今の段階で購入しているチケットが20本以上あり、少しずつこなす中、次々に追加購入をしているからです。今年も、まあいいですけど、とか、どーでしょう、みたいに思ったやつに関しては、触れません。


Rohan Sharma: Mad Dog

レスターコメディフェスティバルで新人賞を取ったらしく、今年がフリンジのデビューとのことで、お試し。


17年位は前の話かと思うんですが、新進・新鋭のスタンダップの芸人さんたちがこぞって、Stewart Leeに感化されちゃった芸風でやり出した結果、煮え切らないショーが爆増したことがありましたね。(→あったんです)しかし全体的にはそれもあってコメディは形を変えて前に進んでいくのであり、良いことなんです。良いこと。
このショーを見て、久しぶりに、そういうムーブメントが起きている感を得ました。エスニック・カードをきちんと使っての、社会風刺系ではりましたけれども、どー考えても、カンボー に感化されちゃってる。そう思った理由がスライドの画風(?というのか?)なんだけど(→まさか作ってあげてますか?)、プロップや、音効さん他のスタッフ(役)の仕込みがモリモリ。よく頑張って作ってたし、よくできてたけど、余裕のなさが(笑 まだデビューで、いっぱいいっぱいに頑張りすぎると、ライブでは意外とよくある予期せぬ出来事があったとき、それをヒットに変える余裕まではまだまだ難しいのではないのか、と。(注:初日に行っちゃったので、多分ガチのテクニカルエラーが発生し、ウニャウニャしちゃったのね)来週見に行ったら、ずいぶん慣れてきてるかもです。しつこいようですが、頑張って作ってましたので、こなれれば、もっと良くなると思いました。


Luke Wright: Pub Grub

イングランドの友人が訪問し、詩人なんだけど、これに行きたいと言われ、ポエトリーって敷居高くて、どーだろーわかるだろうかとイマイチ不安になりつつもついていきました。
そーなんです。オレ、ポエトリーが結構鬼門なんですよ。ラテン語とか全然わかんないし。口数の多いSpoken Wordsくらいまで行ってくれると、楽しめるんだけど。
あと、エセックス出身なので、アクセントが(汗)苦手なタイプの人種をイメージしちゃって。申し訳ないんですけど。




というハンディをいくつか背負って見たのですが、すごく、良かったです。
母音をAだけ使ったポエムとか、Oだけ使ったポエムとかで日常生活での徒然やパブカルチャーとかで作っているんですね。リズム感、ノリの良さ、そしてワードチョイスと、母音限定というハンディを作ることで、ポエトリーのいろんなルールとか制限とかそこを踏まえた高尚さとか、全然分からなくても、この芸人さんがすごいスキル高いことをやってることが伝わるし、かつ楽しめました。全く別の友人が2人行ってて、二人とも絶賛してます。若そうだったけど、おともだちが言うには40くらいって言ってた・・・まあ、オレが年取りすぎちゃってるから40も若そうにみえるのかもだけど。



Christopher Macarthur-Boyd: Howling at the Moon

若手のスコティッシュ芸人さんの中で、この芸人さんが一番お気に入りだと思う。多分。なぜなら、結構毎年見にっちゃってるから。3年前に一回なんでお気に入りか書いてる

今年も、喋るネタは全く違うけど、スタイルは同じです。ただ今年本当に心を打たれたのが、おじいちゃんとかお父さんとかおばあちゃんとかの話をしていて、特におばあちゃんに可愛がられた時のエピソードを話すんですけど、本当にたまたま見に行った日の朝に、おばあちゃんお亡くなりになったそうで。それを、ものすごいパワフルに、ドッカンドッカン笑かしたあとの締めの最後の最後で今朝実は・・・って一言だけ言って、みんなきてくれてありがとう!で終わっちゃうあまりの崇高なプロフェッショナリズムに涙出そうになりました。素晴らしい、素晴らしい芸人さんです。



Tom Cashman: 2 Truths, 1 Lie and 17 Slight Exaggerations

地元カンボー・アプリシエーション・クラブの友人がすごい、好きなんですよ。フリンジ始まる前からチケット買ってたのは、そのせいです。あとこのオンライン公開されてたフルセット見て、見てみよう、と自主的に思ったせいでもあります。

















ご存知の通り、オーストラリアではTaskmasterのAlex Horneポジションなので、地域限定で非常に有名人であります。でもこっちでは、Monkey Barrel1の下にある2だったので、謙遜してるのかしら(ハコ的にPaul Williamsのショーの方がでかいし、パンパンに埋めてるのなんでなんだろう)

パワポベースの、スタティスティクス・ベースで展開する笑いを見に行ったのって、オレ的にはDave Gorman以来かも(テレビではFriday Night Armsticeとかもありましたけど、どのみち確実に20年は前の話)。既視感というよりは、久しぶり感です。そして、そういうことも感味した上で、すごく良かったです。今回は、どうやってメンタルでハッピーになっていくか (ガールフレンドと別れて、幸せになるためのリハビリ中)を、いろんな点から、考察し、グラフとか数字で発表するんです。見て絶対損はない。
あと本当に、(オーストラリアでは)新聞やニュースになっちゃうくらい、有名なので、ちっちゃいハコでナマで見れるのっていいのではないでしょうか。

とりあえず、以上です。

(Tim Keyは昨年のWiPの感想を見てくれれば・・・と思ったら、げえ、全然感想書いてない・・・けど、いつも通りひたすら素晴らしいので、わかってください。あと映画見て)

2025年8月7日木曜日

Edinburgh Fringe 2025 エディンバラ・フリンジ2025:あらためて、この果てしない素晴らしさについて考えてみたい Alasdair Beckett-King: King of Crumbs 観ました

 ABK! ABK!ABK !

https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/alasdair-beckett-king-king-of-crumbs

もはやフリンジ中に観た上に通常ツアーで地元に来た時にも観に行っちゃうくらいにはお気に入りになってしまっているんですが。

ABKについては、過去に何度か絶賛してまして、ご興味あれば下記どうぞ。

http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Alasdair%20Becket-King

今回も、期待を裏切らぬ、期待以上のクオリティ。
あらためて、なんでこんなに素晴らしいのかをメモ書きしたいと思います。

前回から共通してこABKの作るショーが好きなのは、ファンタジーと現実の境界線があまりなくて、気がついたらABKのフィクション・ジェットコースターにジョイライド、しているところです。
今回もそのスタイルはまるで崩さず、なのですが、社会色強かったな、と思います。
ABKが育ってきた90年代で、気づいちゃったことをノスタルジックに徒然するのですが、ものごっつナンセンスなジョークをいくつも展開しつつ、実はトキシック・マスキュリニティについて話しているよね、って思いました。まるでそう見えないけど、実はおじいちゃんやお父さんが軸にあるよね、って。

これって、Samaritansですよね、って。うっかり口づさみました。


(週末ブリストルまで参拝に行き、冷静になれないまま現在に至っており、うっかり気がつくと全てIDLESにつなげてしまいがちです)

ダイレクトに揶揄するのではなく、(ABKはSad Jokeと言っていたのですが)しんみりさせながらも、笑っちゃう、っていう哀愁ジョークの数々が、素晴らしかったですね。

もう一つメモ書きしたいのは、音を巧みに利用した空間(というかSphere)の使い方です。
スタンダップなので、ABKは壁を超えてくるわけですが、(=客席とステージは繋がっているけどもかくかく個々として存在している)ステージ上に電話があり、この電話が、会場の上の階に住んでいる老人夫婦と繋がっているという設定。上の人たちの生活音が聞こえてくると、ショーの邪魔にならないようにお願いすると言って、電話をかけるんですね。
つまり、3つ世界があって、ABKを通してこの3つの世界が同じライン上に存在し、アクセスし合えるんですよね。フィクションなのに同じ立ち位置なのが、素晴らしいです。

もちろんスクリーンに映し出されるアニメ(おじいちゃんの絵が特に素晴らしい)のかわいさと、まとめ力の高さも大変大きく注目したいです。というわけで、まだチケット余ってる日もあるみたいなので、ぜひ、ぜひ、ぜひ、観てください。

2025年8月5日火曜日

Edinburgh Fringe 2025 エディンバラ・フリンジ2025: ほぼ売り切れなのに恐縮ですが、今年のイチオシ確定です>Vittorio Angelone: You Can't Say Nothing Any More

 Vittorio Angelone: You Can't Say Nothing Any More 

https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/vittorio-angelone-you-can-t-say-nothing-any-more

ものすごく良く当たるオレの目利きでは、今年のアワードの本命、出たかな。最低でも、今年のアワードでノミネートまではいくと思います。

エディンバラ・フリンジがまだフリンジ根性を持っていれば、の話ですけど。


【お話のさわり】

 ありがたいことに、フリンジのチケットは発売すればとくにお金かけてPRしなくても完全ソールドアウトという位置にいて、

(そこそこ) ソーシャルメデイアでも存在確立してて、

まあテレビなんて出なくてもいいんですけど。 

てかあんまりテレビ出る機会がないんですけど。 

てか全然テレビ出る機会もらえないんですけど。 

てか、てかですね。

テレビ出たことないんですけど。 

なんですけどね。 

なんですけど、ものごっつ 出たいんで出れるように頑張ってるんですよ。 

昨今の状況的に、白人独身男性が、テレビ出演にオファーをもらうチャンスを上げるにはね、テレビウケしそうな、リプリーに登場しちゃいそうな夏のスーツをみにまとってね、ピアスとかしてね、リアクションを“らしく”作って、匂わしたりとかね、努力してんですよ。 

なんだけど。

たった一つきたテレビのオファーはRichard OsmanのHouse of Gamesだけ。 

そんな状況である一方、半年に一回必ず!テレビ局、制作会社、エージェンシーどこかしらか、必ず! 来る依頼があるんですよ。

それが! 

Troubles 関連のドキュメンタリー。 

半年に1回。かっならず。

オレ、絶対出ねえからな!!! 


【感想】(そんなにネタバレはしてない、と思う)

っていう、フリから、始まるヴィットリオ個人そして彼の世代からみる「北アイルランド」の歴史と、それがもとで否応なしに翻弄される様を語る1時間です。

家族が昔はアイスクリーム屋を営んでいたとか、あとになって(troublesによって)受けた被害の内容を某メジャー新聞を通して知った、とか、さらにはあるポスティングを文字通り受け取られたことがきっかけで、大変になったとか。(ネタバレになるから言いませんけども) 

その一方で、politicalに頑張ったところで、実質的に役に立ってるのかと思うと? わざわざことを荒げるだけに、パレスタインのバッジつけてリチャード・オズマンのパネルショーに出る気にはなれないよね。

というような、彼の元々の「北アイルランドの苦労にかすらなくてもいいように守られて育ってきたから、ネタにして笑いにしたくねえ」っていうスタンスをしっかりと展開していく。これらが完璧に、なんの違和感もなく両方活かされた上で、彼と彼の世代のアイデンティティにつながるway of thinkingが展開、探求されるのが本当に素晴らしかったです。

 元(?今もか?)ガーディアンのコメディ評論家ブライアン・ローガンにデビュー・ショー内でのネタをいいように切り抜きされ、それを文字通り解釈されたので、リベンジで批評の1ワードだけ取って、次のショーのポスターに引用し、ローガンがホモフォビックみたいに見えるようにしてやったって話を含め、 コンテクストの読み取りをされない、コメディが芸術ととられづらい状況に触れ、観客の思考にパフォーミング・アーツでのコメディの立ち位置が考えられるよう切り込みを軽く入れるのもスキルだったと思う!

 (もともと小柄できゃしゃな容姿ではあったのですが)この半年で2.5 stone(5キロ?)減量しちゃって、ほっぺもこけちゃってて。もしかして、ショー内で話していた例のSNS事件のせいなのかな?って。(Fin vs InternetもHistoryも出てなくなっちゃったし...)

なんだけど、SNS事件での大迷惑や、痩せちゃってちょっと容姿変わっちゃったことすらも、たとえば、リプリーみたいなオシャレ・スマートカジュアルなお洋服だったり、会場前の外にヴィットリオをこき下ろすボードをぶら下げたおじさん立たせたりして、 全方位でショーにintegrateさせてる一方、どれも仕込みっぽく見せないナチュラルさが、すばらしかったんですよ、ほんとに。 

本当にこの芸人さんで見てみたかった密かな期待ががっつり満たされた!という気分です。

今さっき見たら、22日に追加公演が出てるのと、ツアーでひとしきりUK回るだろうというのと、それも無理なら、そのうちYOUTUBEスペシャル出るだろう、と。いやその前に、Netflixが買いますように(笑