3本、忘備録を、上げます。
2025年8月18日月曜日
Edinburgh Fringe 2025 エディンバラフリンジ2025:観て良いと思ったもの忘備録:Adam Riches & John Kearns, Huge Davies, What Men Want (Evaldas Karosas/Katie Greena double bill)
2025年8月14日木曜日
Edinburgh Fringe 2025エディンバラフリンジ2025:観て良いと思ったもの忘備録、Joz Norris, Rhys Darby, Rob Kemp, Simple Town 他
今週は出てきてる評判をちらちら見ながら様子見にしようと思ってるので、このまにコツコツ生産したいと思います。
Joz Norris: You Wait. Time Passes.
去年WiP見て、えらい気に入って、最終形態を見たくて見にいきました。
WiPの感想:http://www.gojohnnygogogo2.com/2024/08/edinburgh-fringe-2024-2024joz-norris.html
「一世一代のライフワークがついに完成したんで、みんなの前で発表するよ!」っていう前振り。WiPでは、いつまで経っても完成作品の発表に至らず、いろんな形で引っ張り続けてたんで、ベケット色が強かったんだけど、完成品は、発表したらどうなるのか、をきちんと描くことで、アーティストの欲望ってなんなのか、そしてアートってなんなのか、というピンポイントなテーマに落とし込んでました。芸のためならー女房も泣かすー(古)ってやつですね。(女房泣いてないけど。泣いてるの自分だけど)一世一代のライフワークが彼が出身(?というのか?)のWeirdos Comedyの極みで、あまりにも強烈で途方も無いバカバカしいものなんですが、それを超キープしながら、「アート」とそれに翻弄されてしまうアーティストのお話を作り出せていたのは、大変良かったと思うんです。2025年8月13日水曜日
Edinburgh Fringe 2025 エディンバラフリンジ2025:【ネタバレ注意】Luke McQueen: Comedian's Comedian観たんですが、いろんな意味で今年はコレでいいんじゃないでしょうかの決定打かと思います
いやいやいやいやいや…
これね、多分今年のブラックホース。失礼なんですが、こんな期待はまるでしてなくてですね。
失礼すぎて、申し訳ないです。でも、大穴。
まだフリンジ始まって前半ですけど、オレの笑いの好みも含めて、全ての意味で今年のエディンバラの賞を取るなら、このショーが一番今年ふさわしいんじゃないかと思うんですよ。Comedians' Comedianのポッドキャストって、一体どこまでUKコメディの世界線を超えて知られてるんだろうか、という疑問は拭えないんだけど、それでもMalcolm Hardee賞では、マイナーすぎる気が。
その理由が上手にここで書けたらいいな、と願いつつ、以下です。
https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/luke-mcqueen-comedian-s-comedian
[バックグラウンド]
ごめんなさい。本当に失礼なんですが、それが基盤となって展開するので、しょうがない。
Luke McQueenさんって、UKコメディ付きの間では知られてはいるんですが、結構長いことですね、鳴かず飛ばずな芸歴送ってきてる芸人さんなんですよね。オレはTurtle Canyon Comedyで10年くらい前に配信してたショートがきっかけかな? 元祖(ハネる前の)エイカスターと(現在までの)Stuart Lawsクラスタって言って安全だと思う。
Channel 4がこれからハネるんじゃないか?的な芸人さんたちに10分くらいのショートをコミッションする企画で何回か選ばれてたりとか、BBC3がこれからハネるんじゃないか?的な芸人さんたちに10分くらいのショートをコミッションする企画でも選ばれたことが過去にありました。
たまにComedy Centralの番組に出たりしてた。けど、レギュラーではない。パネラーの一人、みたいなやつ。
というわけで、かなり芸歴長いわりに、(あの芸人さんもこの芸人さんも、ハネちゃってる一方)現在も同じようなポジションで相変わらずの鳴かず飛ばず。ヒットがない。
フリンジにも結構毎年きて何かやってたんじゃないのかな。記憶にあるのは、かなり前(もしかして10年くらい前かも)のショーを(Chortleの)ベネットさんによりにもよって2.5星をつけられた時のことです。「完全なる営業妨害! まだ1つ星の方が良かった。どんだけ酷いショーなんだろうって、興味が湧いて見にくる客がいるから。こんなミッドすぎる星の数では、誰も興味がわかないじゃねーか!」って激オコってた時の件です(→非道い)確か両者示談で納得したんじゃなかったっけか?
それだから、というわけではないのですが、Luke McQueenの60分のソロ・ショーって見たことがなくてですね。今年プチッと見てみようかな、と思ったのは、2年前に見たSongs with Father という深夜に2日間だけ、Mark Silcoxおじさんとやった完全企画もののショーが、内蔵が口から出てくるほど面白かったからなんですよね。同行者らが、その経験をベースにして、今回見にいくというので、じゃあ、行こう、と。だから、本当に申し訳ないんですけど、どんなもんなのかなー?程度の、気の軽さだったんです。
【お話のさわり】
っていう、キャリアのせいでですね。
英国の芸人さんインタビューポッドキャストの2大巨塔の一つであるThe Comedians’ Comedian Podcast に一回もゲストで呼ばれたことがないんですよ。
エピソード回数は531もあり、中には何度もリピート登場している芸人さんもいるのに。
一回も、お呼びにかかったことがない。
一回も。
というわけで、この有名ポッドキャストのクリエイター・芸人さんでありインタビュワーのStuart Goldsmith(SG)に直接電話して聞いて見ましたー
プー。プー。ぷ、ガチャ。(以下、うる覚えだけどこんな感じ)
S G: あーもしもしー。
L:あーどうもどうもLukeですー
S G:おーげんきどうした?
L:いや、どうしてオレってComedians Comedianに呼ばれたことないのかな?って思って
S G:・・・は(ぁ)?!
L:なんで?なんで?なんでなの?
S:えっ、いや、えっ、えっ?! えっ?!
L:ゲストに出して
S G:・・・この方向で会話進むのコレ、マジで?
L:ゲストに出して
S G:け、結論から言うと、できない
L: なんで?
S G: あのポッドキャストって、いろんな(成功ストーリー的なものがあった上で)掘り下げをしたくて、オレ側からオファーしてるのよ。
L:・・・
S G:おまえ、ないじゃん。
L: ・・・・・
ここで、Comedians’ Comedianやってやる!! スチュー、めちゃくちゃにボロクソにめった切りにしてやる、チクショー!!
ってやつなんです・・・
ものすごいチープな手作り人形がスチュワート・ゴールドスミスとなって、猛毒インタビューが展開していきます。
***ここから、ネタバレるので、今後見る予定の人は、踏まないでください (ロンドンでもSOHO THEATREとかで見れるようになると思うので)***
このショー、心の闇を巧みに利用した、(本人曰くの)アヴァンギャルド・プランク(→あまりに気に入ったので、そのまま用語を使用)なんですよ。
プランク(おちょくり)の相手は誰かといえば、もちろんComedians’ Comedian PodcastシリーズのSGでも、SGはこのショーの仕込みで冒頭は芝居だったということでもない、つまり、お客さんでもないんです。
じゃあ、誰か。
AIなんですよ。
AIが人間のクリエイティビティすらもとってかわろうと恐れられるくらいの威力となっている昨今、生身の人間の生き様の尊さ、感情や創造性が勝てるんだ、って挑戦状を叩きつけてるショーなんです。AIにフィクションをリアルとして教え込ませ、訓練する。そしてショーがリアルに見えるように利用する。つまりAIにプランクをかけてできたショーなんです。
途中からSGが悪魔の申し子みたいな変化を遂げて、元々のポッドキャストにある彼の生い立ちやキャリア活動を取り上げながら「芸人本来の自分」を見せていく、の究極をいき、自分が認めたくない、自分が見つめたくない事実と無理やり向き合わせようとする展開をとっていきます。何度やり取りやっても、本当の自分を見せることができず、違うだろ、そうじゃないだろ、って、SGにダメ出しされる。本当の自分を出さないと、お前が誰にも見せたくない、ひっそりとPCに隠してるこの極秘ファイルを公開するぞ、って脅される。
それだけは、そのファイルこそが真実なので、それだけは公開しないで、と、マスク(ジムキャリーの)になって(注:マスク至るまでのフリはあります)ついに暴露するんです。それは、芸人としてかなり長い間頑張ってきて、まだこの業界で頑張りたいと、コメディをアートと信じ、自分はアーティストとしての誇りを持って頑張ってきた自分が絶対に認めたくない、紛れもない真実なんですよね。
でも、本当の本当の真実は、そこでもなく、その「極秘ファイル」にあるわけなんです。
で、まあ、ここに至るまでの間で、「SG(の声)ってどういう立ち位置なんだろう。ガチ(=仕込み)?AIなの?」って後頭部あたりでショーの方向性を考えながら見ていくんですけど、この極秘ファイルの手前のレイヤー「真実の自分」の公開までで、すでに内容濃くて深いので、極秘ファイルがなんなのか想像する余裕もなかったです。この芸人さんが色んな意味で業界の伸び悩み時期が長いんで、リアルに染みるんですよ。
素晴らしかったのが、最後の最後のオチ。一番人間らしくて、一番シンプルで、一番心を打たれるものだったことです(*1 注釈)
「Chat GPTに⚪︎⚪︎してもらいました!」「AIに聞いて見ました!」って類を超えた、シアトリカルな意味でAIを盛り込んだコメディってここ1年ちょっとで結構見てるので、確実に増えてきていると思います。やっぱりアメリカが早いかな。Connor O'Malley とか(参考:https://www.youtube.com/watch?v=Svual-PcOxE&t=6s でもオレが本当にこの人はコメディの神だと思ったのは、この配信直前に1時間生配信でやってたコレ https://www.youtube.com/watch?v=5cpU9ud1AtE&t=775s)Alan Resnick とか https://www.youtube.com/@AlanResnicks。
で、このショーは、今アートシーンで一番シリアスな問題になっているAIを利用する、を一歩超えてることを見せてると思うんです。
テーマがまさに旬だし、演者も(こういうキャリア経歴なので)賞を取るには一番ふさわしい気がする。
今年のフリンジでも、Rhys Darbyが一本のドラマとして作れちゃうよね、っていうような素晴らしさで、「AI vs 人間」で50で衰いのハンディも潜り抜け、AIに打ち勝つっていうナレティヴの1本作ってます(→あまりに素晴らしかったので、別記事立てる予定)これはAI自体は作品中に利用してない、まさに体一つなんだけど、エンドポイントとしてはこのL.McQueenのComedians Comedian一緒じゃないだろうかと思います。
というわけでですね。いいものみましたし、もう一回みたいくらいなので、オレの中では5つ星です。
(*注1)Naviさんからこのショーの演出、Jordan Brookesだと教えてもらって、ものすごい納得でした。このレイヤーと深みは、彼のテコ入れがあってこそ、だったのかもしれないです。Jordan Brookes本当に素晴らしいです(二言目には素晴らしいしか言えてないのはボキャブラリーがないからです申し訳ないです)多分彼はどちらかというと、いかにしてショーを軽くするかで模索している感じだけどw 昨年のタイタニックミュージカルは、序盤のWiPに比べたらえらい軽いトーンになってましたしね。
2025年8月10日日曜日
Edinburgh Fringe エディンバラフリンジ2025 先週から見たもののいくつか忘備録 Christopher Macarthur-Boyd, Luke Wright、Rohan Sharma他
もー大変なので、 今年から、ものごっつおすすめだけ、1投稿でしっかり書くことにして、
あとは良かったものや特記したい点があるショーについてだけをメモ書き程度にしようと思います。なぜなら、まだ始まったばかりの今の段階で購入しているチケットが20本以上あり、少しずつこなす中、次々に追加購入をしているからです。今年も、まあいいですけど、とか、どーでしょう、みたいに思ったやつに関しては、触れません。
2025年8月7日木曜日
Edinburgh Fringe 2025 エディンバラ・フリンジ2025:あらためて、この果てしない素晴らしさについて考えてみたい Alasdair Beckett-King: King of Crumbs 観ました
ABK! ABK!ABK !
https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/alasdair-beckett-king-king-of-crumbs
もはやフリンジ中に観た上に通常ツアーで地元に来た時にも観に行っちゃうくらいにはお気に入りになってしまっているんですが。
ABKについては、過去に何度か絶賛してまして、ご興味あれば下記どうぞ。
http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Alasdair%20Becket-King
今回も、期待を裏切らぬ、期待以上のクオリティ。2025年8月5日火曜日
Edinburgh Fringe 2025 エディンバラ・フリンジ2025: ほぼ売り切れなのに恐縮ですが、今年のイチオシ確定です>Vittorio Angelone: You Can't Say Nothing Any More
Vittorio Angelone: You Can't Say Nothing Any More
https://www.edfringe.com/tickets/whats-on/vittorio-angelone-you-can-t-say-nothing-any-more
ものすごく良く当たるオレの目利きでは、今年のアワードの本命、出たかな。最低でも、今年のアワードでノミネートまではいくと思います。
エディンバラ・フリンジがまだフリンジ根性を持っていれば、の話ですけど。
【お話のさわり】
ありがたいことに、フリンジのチケットは発売すればとくにお金かけてPRしなくても完全ソールドアウトという位置にいて、
(そこそこ) ソーシャルメデイアでも存在確立してて、
まあテレビなんて出なくてもいいんですけど。
てかあんまりテレビ出る機会がないんですけど。
てか全然テレビ出る機会もらえないんですけど。
てか、てかですね。
テレビ出たことないんですけど。
なんですけどね。
なんですけど、ものごっつ 出たいんで出れるように頑張ってるんですよ。
昨今の状況的に、白人独身男性が、テレビ出演にオファーをもらうチャンスを上げるにはね、テレビウケしそうな、リプリーに登場しちゃいそうな夏のスーツをみにまとってね、ピアスとかしてね、リアクションを“らしく”作って、匂わしたりとかね、努力してんですよ。
なんだけど。
たった一つきたテレビのオファーはRichard OsmanのHouse of Gamesだけ。
そんな状況である一方、半年に一回必ず!テレビ局、制作会社、エージェンシーどこかしらか、必ず! 来る依頼があるんですよ。
それが!
Troubles 関連のドキュメンタリー。
半年に1回。かっならず。
オレ、絶対出ねえからな!!!
【感想】(そんなにネタバレはしてない、と思う)
っていう、フリから、始まるヴィットリオ個人そして彼の世代からみる「北アイルランド」の歴史と、それがもとで否応なしに翻弄される様を語る1時間です。
家族が昔はアイスクリーム屋を営んでいたとか、あとになって(troublesによって)受けた被害の内容を某メジャー新聞を通して知った、とか、さらにはあるポスティングを文字通り受け取られたことがきっかけで、大変になったとか。(ネタバレになるから言いませんけども)
その一方で、politicalに頑張ったところで、実質的に役に立ってるのかと思うと? わざわざことを荒げるだけに、パレスタインのバッジつけてリチャード・オズマンのパネルショーに出る気にはなれないよね。
というような、彼の元々の「北アイルランドの苦労にかすらなくてもいいように守られて育ってきたから、ネタにして笑いにしたくねえ」っていうスタンスをしっかりと展開していく。これらが完璧に、なんの違和感もなく両方活かされた上で、彼と彼の世代のアイデンティティにつながるway of thinkingが展開、探求されるのが本当に素晴らしかったです。
元(?今もか?)ガーディアンのコメディ評論家ブライアン・ローガンにデビュー・ショー内でのネタをいいように切り抜きされ、それを文字通り解釈されたので、リベンジで批評の1ワードだけ取って、次のショーのポスターに引用し、ローガンがホモフォビックみたいに見えるようにしてやったって話を含め、 コンテクストの読み取りをされない、コメディが芸術ととられづらい状況に触れ、観客の思考にパフォーミング・アーツでのコメディの立ち位置が考えられるよう切り込みを軽く入れるのもスキルだったと思う!
(もともと小柄できゃしゃな容姿ではあったのですが)この半年で2.5 stone(5キロ?)減量しちゃって、ほっぺもこけちゃってて。もしかして、ショー内で話していた例のSNS事件のせいなのかな?って。(Fin vs InternetもHistoryも出てなくなっちゃったし...)
なんだけど、SNS事件での大迷惑や、痩せちゃってちょっと容姿変わっちゃったことすらも、たとえば、リプリーみたいなオシャレ・スマートカジュアルなお洋服だったり、会場前の外にヴィットリオをこき下ろすボードをぶら下げたおじさん立たせたりして、 全方位でショーにintegrateさせてる一方、どれも仕込みっぽく見せないナチュラルさが、すばらしかったんですよ、ほんとに。
本当にこの芸人さんで見てみたかった密かな期待ががっつり満たされた!という気分です。
今さっき見たら、22日に追加公演が出てるのと、ツアーでひとしきりUK回るだろうというのと、それも無理なら、そのうちYOUTUBEスペシャル出るだろう、と。いやその前に、Netflixが買いますように(笑