https://tickets.edfringe.com/whats-on/eleanor-morton-haunted-house
エレノア・モートンは地元エディンバラ(リース生まれ)ということで、ボソボソずっと観ています。キャラクターコメディもよくやっていて、そのなかでも、ハネまくったスコットランドガイドのクレイグは、たまにライブもやってくれるので、速攻でチケットとって行くくらい大大大好きです。そのくせ、いままでほとんどブログでとりあげてないみたいなのは、たぶん笑いがダブルスタンダード、ーローカル人とローカルじゃない人用の2重構成ー、であり、自分が前者のため、後者の場合があんまり推し量れないため、だったりします。あと、見ているのは、ほとんどのケースでフリンジじゃないときなので、オレのフリンジじゃないときの、感想をアップするモチベが低いせいもあります・・・
そんななか、今回観たやつは、モートンがモートンとしてゴーストについて繰り広げる1時間のショーは、本当に素晴らしかったのと、いろんな意味でthink outside the boxであり、見事に1つのショーに紡いでいたので、ぜひプロパーに布教したいと思いました!
以下はショーの展開となぜ素晴らしいと思ったのかの箇条書きです。
- エディンバラフリンジで暗黙のご法度、とされるローカル内輪ネタをあえてやる:フリンジは国際フェスティバルでもはや英語の理解できるパフォーミングアーツファンが世界中から集まってくるわけですね。伝統的に、オーディエンスがイギリス人でないことを想定したショーづくりってものがある程度期待される傾向にある。しかし、エディンバラって、もはや街自体が国際的に知れ渡ってね? ここに来てる人たち、エディンバラ観光しないやついなくね? ってローカルを強みにエディンバラといえばのゴーストストーリーを展開していきます。この街のゴーストネタは世界中でパラノーマル番組が組まれたり、日本ですら冝保愛子さんを通して有名になってたりしましたからね。ゴーストツアーに参加すれば鉄板で通過するお化け話で、ウォームアップ
- ステージわきには、このショーのために作られたドールハウスがあり、その扉を一つ一つ明けながら、進行。お化けって信じる人もいれば信じない人もいる。結構「信じないよ。でもね・・・」「自分自身は体験ないよ。でもね・・・」ってやつだよね、と。その存在自体が確定していない。ここがショーの軸となって次のネタへと展開していくんですね。つまり、ただのお化け話じゃなくて、ゴーストに疑似できるもの、ゴーストに例えられるもの、へとつながっていくんです。子供のときのアメリカ旅行の体験話を織り交ぜながらエディンバラのリース生まれ育ち、コメディアンとしてキャリアを積み上げてきたときの話、ロンドンに数年住むも、現在は再びエディンバラを拠点にしているため、フリンジ中は実家が芸人アコモデーション状態になっている話、というのが女子芸人としての存在やポジションのメタファーになっていくんですね。
- お化けネタ、という軽いトーンで始まったものが、気が付けばダークなトピックへと導いていく展開が見事で、今までいろんなゴーストについて話してきたからには、と話出すの仲間の女性芸人さんたちを襲う、業界で力を持つ男性たちへの怒りでした。自分の立ち場を守るためではなく、自分の仲間を守るため、名指しもできない。だけど、そいつらは女性たちを襲って利用してのうのうとエディンバラフリンジに出入りしている。まるでこの街に住み着くゴーストのように。許さねえ。モートンは「オレは誰か知ってるからな。姿を表にみせず罪を犯し、その罪免れると思ったら大間違いだぞ。この街の(別のタイプの)ゴーストであるオレが絶対に逃がさねえ。
- ちなみに、このくだりになるまえに、結構ジャブは打つんですよ。wankerだと思った芸人の名前を挙げるくだりがあるんですが、そこで毎日名前を変えてるそうです。25日間、違う名前を毎日あげても足りないくらい沢山いるそうです。
- 最後もそれまで何回かランニングジョーク「え?その人はもう死んじゃったけど」を上手に畳みかけて、今までのネタを一つの綱にまとめて落としてて、素晴らしかった。沸き起こるモートンの怒りが青い炎みたいにぼわーっと見えるようなショーでした。最近、世の中の絶望さに、怒りよりは諦めを含めたリジリエンスややるせなさを原材料とした笑いを多くみかけていましたので、怒りのエネルギーからくる笑いは、新鮮でした。
あと、リース出身ですからね。モートンのことは、絶対に怒らせないほうが、いいよ。
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