こんにちは。
まずは、
1)ついにもうすぐUKで公開されるバスデン&キーwith マリガンの「The Ballad of Wallis Island 」(その1で経緯説明済)
【映画のお話は・・・】
基本的には元々の短編映画と同じなんですが、マリガンがミュージシャン、マグワイア(バスデンさん)の元奥さん、ネル役で加わるんですね。で、彼女は音楽でもともに活動していてマグワイアとのユニットでたくさんの名曲を生み出していた、と。しかし、ユニットは解散し、二人の夫婦仲もピリオドを打ち、長いこと連絡も取り合ってない。マグワイアはソロ活動を続けているけど、鳴かず飛ばずっぽいし、ズレた方向に進んでいるっぽい。
そんななかで、マグワイアが人がほとんど住んでいない小さな島に住むチャールズ(ティム・キー)が音楽フェスティバルを開くので出演してほしい、ギャラはがっつり払うから、という依頼を受け、島を訪ねるんですね。まさか、その音楽フェスってお客さんがティムキーだけ、ということも、ティムキーが、ネルも招待しているとも知らずに・・・。
【感想】***ネタバレます⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️***
2週間くらい前に地元映画館で開催されたプレビュー見まして、ボロ泣きしました。実は!バスデンさんやティムキーの才能に感動して涙したことはありますが、彼らの作る話でボロ泣いたことは今まで一度たりともないんです。今年ボロボロ泣いた映画、これが最初かもしれない・・・
チャールズが50万ポンド(注:宝くじで当てたお金。なぜか異常に運がいい)を積んでまでして手に入れたかった奇跡はマグアイアとネルの音楽のケミカルスパークなんです。ふたりの音楽には、実は亡き奥さんとの思い出にも繋がっている。だから、彼らが起こすケミカルスパークはチャールズが失ってしまった幸せのかけらでもある。ほんのいっときでもいいから、願いを叶えてほしい、っていう切なる思いなんですよね。
でもですね、そのマグアイアとネルのケミカルって、音楽を超えた、人生のパートナーとしての愛もある程度影響していたってことは否めないんですよね。切り離したくても切り離せない、不完全なる人間の性なんです。離婚して、互いに別の道を歩んでいて、さらにネルには新しいパートナーと新しい命も育まれている状況下、完璧主義のアーティストであるが故に、今二人で奏でる音楽は違う、と考えるマグアイア。結果的にネルは島を去ります。
音楽がもたらす奇跡、そして幸せってものが、なんと儚いものなのか、こんなに繊細に綺麗にそして抜群のセンスで描かれているミニマリズムな映画ってあるでしょうか?
いや、同レベルはあるかもしれないけど、これ以上は、ない。
です。ないです。
マリガンは、元々の短編のことも、ティムキーとバスデンさんのことも、このファンダムのことも全てをものごっつ!わかってることを証明するかのように、究極にベストなところでこの映画を退場(?っていうのかな?)するんですよ。だから、ティムキーとバスデンさんのケミカルスパークがちゃんと堪能できるの!!
とはいえ、なんでイギリスが最初に公開にならなかったのかって、戦略なんだろうな、と思いました。ティムキー&バスデンのファン層が非常に大きい&強いので(→真顔)、たとえイギリスで興行成績はじいたとしても、他の国で「だって二人のこと知ってるから数字が伸びたんでしょ」って変な色眼鏡で見られちゃって、ドメのネームバリューが作品自体が国境を超えたこの層(=リベラルアーティ層)に響くっていう素晴らしさが、スッと入ってこなそう。アメリカのSXSWから、ってのが頭いい戦略だったと思います。Focus Features やるじゃん。Baby Cow(制作)もクーガンでたくさん経験積んだしな。(→クーガンが元々設立者の一人の会社)
げえええええええ。トレーラーのビューイング数、ごひゃくまん。
どうしよう(何が)
これはもはや、日本公開の日も近いのではないでしょうか・・・ひたすらひたすらひたすらに推して推して推してきたふたりの作品が、16年の月日を得て、日本上陸してくれるのかしら。
マリガンはボーくんの日本上陸にも大貢献してくれてるので、本当に感謝しかない・・・。
2)今年1月里帰りをした際に、会った人誰一人まともにApple TVを見てなかったんですけど、一体どういうことですか!!!
Apple TVのコンテンツ一番ヤバいと思います! ねずみープラスとか、ろくすっぽ見るものがない、と思うそこのあなた、そんなあなたにApple TVです。Slow HorsesとSeveranceは見ないといけないやつだと思います。
そして今年4月から、新たに鬼素晴らしいコメディシリーズが配信開始になったんですよ。Apple TVのコメディって試したけど、ぬるくてあんまり・・・と思っているそこのあなた、騙されたと思ってこれを見てください。セス・ローゲンのThe Studioです。
【お話】
映画へ馳せるピュアな気持ちは心に持ちながらも、お金と政治の波に飲まれて溺れてヘロヘロになりながら生き延びるハリウッド・スタジオのエグゼクティヴを中心に描かれる、ほぼほぼワンショット(に近い)・コメディです。今年おそらく一番話題のネトフリのドラマシリーズ、アドレッセンスが、驚愕の1話完全ワンショットで、嘘だろ無理だろどうやって??の連続シーンを見せつけてくれてしまったせいで、全然、映像で誰も驚けなくなってしまったんですが、相当すごいんですよ、実は。8話目だったかな? ゴールデングローヴ賞だったかの完全再現をほぼほぼ、ワンショットでやるんですけど、本当もっと評価されてもいいと思う!
あの、ロバート・アルトマン&ティム・ロビンスの名作映画「The Player」覚えてらっしゃいますかね? オープニングシーン覚えてらっしゃいますかね。多分あの映画とあのシーンが影響してるシリーズのはずなんですよ(調べてない)と言うのも、ティム・ロビンスの扮したグリフィン・ミルズがコンティネンタル(スタジオの会社名)のボスなんです。theStudioでグリフィン・ミルズを演じてるのは、ブレイキング・バッドだったBryan Cranstonですけど。これ、こちらの映画レビューといえばのマーク・カーモードが言ってて、うああああああ!って思いました。
あと、脚本のクオリティが良すぎです。セス・ローゲンの書く作品に関しては元々高い期待を寄せる派なのですが、今回は、マジで、ピカイチです。心にのこる、メモしておきたい名セリフいっぱい。
確かにですね。いい映画を作りたくても、お金と政治とコンプラとスポンサーとえらい監督や人気の俳優などのしがらみで、全てが予想だにせぬ方向へコロコロ転がってく様を描く、というのは、HBOのThe Franchiseでもありました。イアヌーチ先生の息がかかっているので、こんなこと言うのは本当に大変心苦しいのですが、このThe Franchiseでやりたかったことが、このThe Studioなんじゃないかと思います。
って言うくらい、素晴らしいんです。
というわけで、超おすすめです。よろしくお願いします。
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