イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2023年9月21日木曜日

英国TVバージョンのMe, tooムーブメントがきたかも? 芸人(?)、プレゼンター、俳優業→YOUTUBER、ライフスタイルGuru (?)Russell Brand/ラッセル・ブランド、性的暴行問題まとめ

https://www.thetimes.co.uk/article/russell-brand-full-statement-reply-allegations-6wm2bp8ph

【はじめに】

 基本的に布教したいアーツしか興味がないので、ラッセル・ブランドの「笑い」に関して何か話したことはないです。しいていえば、アメリカハリウッドに進出時に出た映画がFreaks and Geeks面々関連コメディ映画だったために、2本くらい紹介したのと(注1)、2013年にハードコアな英政治雑誌New Statesmanで1日編集長になったときに、「オレ人生で投票したことないし、投票って無駄。結局権力者による体制を変えられない」てきな発言を無責任にた件をまとめてから、何も触れたことがないと思います(注2)。

カテゴリーも作ってないし、内容的にはロバート・ウエブ賛辞ですかね・・・

 http://www.gojohnnygogogo2.com/2013/10/russell-brand-vs-robert-webb.html


【今回の件について】

世間が最初にどよめいたのは、Channel 4の追跡系ドキュメンタリーDispatchesで、オンエア前日くらいまで通常あるような「次回のDispatchesは…」的な告知がなかったどころか、「誰について」調査したものなのか固有名詞が隠されていたことだと思います。の

当日にこの90分特番は、The Times, The Sunday Times, Channel 4 のDispatchesチームによる共同調査であることが明らかになり、そして勇気をもって取材に協力してくれた女性たちの話をレポートしたThe Times の記事が出ました。

https://archive.ph/NwmVQ

レポートは2006年から2013年の期間、ラッセル・ブランドがBBC Radio 2とChannel 4でレギュラーを持ちMC等を務めていた時期の彼のパワハラと性的暴行について女性たち(匿名)の証言をもとに報じられています。

すさまじいです。

  • ブランドのLAの自宅でレイプされた女性。同日にレイプ・クライシス・センターにて手当を受けた。
  • 16歳のときに(まだスクールに通っていた)被害を受けた女性。年齢が当時のブランドよりも半分にも満たないため、「子供扱い」(そのくせ性的暴行)し精神的パワハラ。16歳の未成年に、無理やりペ〇スを彼女の喉の奥までつっこみ、マスカラが流れ落ち、オエッてむせり息もできないのにやめなかった。胃袋を思いっきりパンチするまで終わらなかった
  • LAで彼の仕事まわりで働いていた女性。性的暴行を受けたことを誰かに話したら法的措置をとるといわれ、黙るしかなかった。
  • 精神的および肉体的暴行を受けた女性。
  • 調査チームはこれらの証言をもとに、個人メールやテキストなどのやりとり、情報収集のためのさまざまな許可申請、被害後の女性たちのメディカルノートやセラピーレポートのチェック、およびブランドの当時のインタビュー、TV露出、YOUTUBEコンテンツ等をすべて分析調査(注3)。
  • ブランドの芸風とコンテンツのおさらい
  • ブランドの性的暴行やパワハラ言動は、業界内ではオープンシークレットだった。女性芸人たちの間では、とくに、警戒モードはマックスだった。しかし、たとえ立ち向かおうとしても、彼の地位と権力そしてTV局側の対応は、とても、勇気ある彼女たちに正義をもたらせてくれそうもない、むしろ、不利な立場へ置かれるか、キャリアをつぶされる可能性があり、声をあげることができずにいた。
  • ブランド側には、放送の8日前に報道について通達しており、当初の弁護士の対応はwe are not in the position of...その後、被害者の女性が全員匿名を希望していることから、信憑性を疑い、ブランドのような影響力のあるオルタナティヴ・メディアの存在をメインストリーム・メディアがつぶしにかかる陰謀と反論。

一方ブランドは、彼のYOUTUBEチャンネルで激しく性的暴行行為を否定。

https://www.youtube.com/watch?v=ZGr_PVUHn2I

https://archive.ph/KZmRl  


【ドキュメンタリー Dispatchesについて】

The Timesの報道と内容的には一緒です。1時間半におよぶ映像での調査レポートは本当にエグかったです。冒頭にブランドのスタンダップショーでのクリップが出てくるのですが、そこで話しているネタが、女性に無理やりフェラさせたときの、マスカラが流れ落ちる話なんですよ。ガチの実話どころか相手が未成年(16歳)だったのかよ。身の毛もよだちました。

スタンダップの芸人さんは「本人」としてであれ、「パーソナ」というものを作って、素とパーソナのラインを行き来しながらパフォーマンスを繰り広げる。こうした理由から、ブランドのパーソナをもとにしたえぐい話や女性をネタにした話は(面白いと思うかどうかは別にして)、ガチのガチだと受け取られていない傾向にあった。そして深刻さはことごとく軽視されていた。

その一方で、ブランドの女性に対する性的、肉体的、精神的暴行を見て見ぬふりしていたのは、黙認していた者は誰なのか。どうしてどのように黙認されてここまできたのか。これからこのエンタテイメント業界が向き合わなければいけない課題だ、といった方向で締めていました。

個人的に特記したいことは

  • Dispatches はChannel 4が放送していているのに、Channel 4の倫理委員会や編成部等、みな第三者的な立ち位置で、他人事のようにこの件についてのDispatchesの問い合わせに対し「いやー知らなかった」以上のことをしない。っていうことにこの業界のインフラ構造的な闇をあらためて思い知らされましたね。番組は局制だったとしても制作会社がたくさん絡んでいるし、Dispatchesに関しては大手制作会社が4社でそのうち一つはITVです。 日本でも某リアリティTVショーで参加してた方が誹謗中傷で自殺されちゃったときに局に矢面が立つ一方、局側的には、局が番組を放送しているけど、制作しているのは下請けの制作会社だから、実際の制作時の状況とか、そういうことに関しては責任は・・・みたいな対応で、ヴァイラルになってたかと思いますけど、それと同じだと思います。とはいえ、この放送後、BBCとChannel4は過去にブランドに対して訴えやレポートがあったかを調べるとしています。
  • (当時)16歳の女の子が被害にあった日、ブランドはBBCの車で下校中の彼女を迎えに来た、そのときの運転手さんが「車に乗るな」と彼女に懇願した、というくだりが話題になっています。ブランド自体には「車に乗って、Be my little girl」と懇願され、結果的に乗り込んでしまった。運転手さんは、もしかしたら、同じ年ごろの娘さんがいたのかもしれない。車に乗り込み、車中でメイクアップをするさまを、ただ何もすることができずに見てるしかなかった運転手さんを思うと、一層重く心が痛みます。
  • これまでブランドの件だけでなく、職権を乱用できる立場にある芸人、プロモーター、ブッキングマネジャー等が、女性芸人さんたちに性的暴行を繰り広げている話は、多くきいていて、そのたびに、声をあげて、女性芸人さんたちをサポートする男性芸人さんたちの数が圧倒的に少ない傾向にあるんですよね。自分たちも声をあげたら、キャリアに影響あるかも、という不安からです。そんななかで、邁進しているのが、ダニエル・スロスDaniel Slossです。彼は自身のスタンダップショー「X」で、勇気をもってサポートしなかったことを一生後悔している話をしているのですが、今回のドキュメンタリーで唯一、顔出しで証言しています。

【放送終了後のメモ(2023年9月20日現時点)

  • 女性芸人たちの間ではオープンシークレットだったという件を受けて、キャサリン・ライアンが以前、ルイ・セソーのインタビューで「名指しできないけれど、プレデターがいる」と答えていた、アレは、ブランドだったのか、と。なるほど、と大きな話題となりました。キャサリン・ライアンは2018年からジミー・カー、ブランドとともに共同でRoast BattleUKのジャッジをやっていたのだけど、何度も何度もブランドの不適切な言動についてレポートしていたようです。(ブランドは1シーズンで降板。噂によるとライアンの一言に激怒したとか? あくまで噂です。)
  • Channel4、TheTimes、BBCと本格調査を開始しており、多くの女性が名乗りをあげているそうです。
  • 現在YOUTUBEはブランドのチャンネルの広告収入をさし止め(登録者数600万人位)
  • ブランドのツアーもキャンセル(か延期)
  • ブランドを擁護している人たちの声は、オレのエコチャンバーには直接聞こえてこないのですが、弁護士側と同じ角度で、勇気をもって立ち上がっている女性たちを「なぜそのとき警察に訴えなかった?今頃になって話し出すなんて別の目的があるにきまってる。大手メディアから多額のお金をもらって真実を語るオルタナティヴ・メディアをつぶそうとしているな」というスタンスでの攻撃が多いようです。

最後に、下記リンクをはりつけて今回は一回締めたいと思います。



注1:オレは当時のジェイソン・シーゲルやセス・ローゲンはむちゃくちゃ面白いと思っていたし、ジョナヒルも当時は出るもの全部良くしてくれると思っていた。人は変わるし新しい事実も出てくるし、オレも考え方変わるしで、このあたりの作品を再訪してないけど、たぶん今もまあまあ面白いんじゃないかな(弱気)ちなみにこれは現在のブログのpercursor 的な同タイトルのブログでアップしました。

注2:じつはMy Booky Wook出版当時に読んでいて、感想を書いていた気がしたんだけど、うーん。ない。よくチェックしたら2008年出版で、ブログ書き始めたのが2009年だか2010年からだから、そりゃー・・・ないですね。この本の(当時の)オレの視点と感想は、Marina Hyde さんのこの記事よんで、こういうことだな、と思っています。

注3:セックスとドラッグ中毒でリハビリとか通った過去が芸能人としてハネてからもコンスタントにあります。「パーソナ」がセックス中毒のwomaniser で、ネタもセックスとか自分に魅了される、自分とセックスする女性っていうスタイルです。

一点特記したいのが、めちゃくちゃ饒舌なんですよ。イングリッシュ・ポッシュ用語(それ表現するのにこの言葉・フレーズ使うんかい、っていう小難しいターム)を人がついていける頻度でぶち込みまき散らす。

ちなみに、まともにライブも見てないし、テレビ出演も見てないし、たまにゲストで話題(いいか悪いかは?)になった番組回をみたことがあったかも?という程度ですが、最初の自伝は読んでます。



0 件のコメント:

コメントを投稿