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2024年3月28日木曜日

最近観たライブ感想その3:絶賛UK ツアー中☆Nick Helm's Super Fun Good Time Show 観ました

【これまでの(ファン的角度からの)お話】

ニック・ヘルムさんについてはこちら。その場限り的な空前絶後のパフォーマンスが得意なので、詳細を記録しときたいという理由からショーの一部始終を書いちゃってるものもあります(こことかこことか)。2017年2019年2022年は鬱三部作と言われていて(*1)、そのうち2022年の作品の感想をまともに書いていないまま今に至ってしまっております。

https://www.nick-helm.co.uk/#live

2024年3月26日からツアーが始まりました。が、チケットは完売していないようです。(今日のグラスゴーもチケットあるらしいよ!)テレビ出演、人気(コメディ)ドラマ出演も多く、知名度は高いはずなんですが、ライブへ客は流れづらい印象。常々書いてましたが、(コメディ)ドラマの役柄イメージとライブパフォーマンスのパーソナとの間に、一見すると果てしないギャップがあるように見えるからなんじゃないかというのが、オレの見解です。表現方法が違うだけで、基盤は同じなんだけどね。それが見えるリテラシーを大衆に求めるもんでもない。というわけで、劇場サイズはでかくても300くらい+完売なかなかしない。

とはいえ、ファン的には、布教活動に勤しむモチベが維持されるし、10年以上前と変わらぬ距離でライブ観れるのは、めっちゃありがたいというのは否めないですが…

【今回の作品について】

過去3作が「気が付かず鬱」(2017年)、「鬱と自分」(2019年)「パンデミックを潜り抜けた鬱病者(自分)のケーススタディ」(2022年)的なテーマで。今回のテーマはどうしようかなーと思っていた昨今、抗うつ剤をいろいろ試しても鳴かず飛ばずな効果なんで、医者に相談に行ったら、じつは鬱というよりはbipolar(双極性障害?)だって診断されちゃった。

ええええええ! 

「でも先生、オレ「躁」のときの認識がないんですけど・・・?」

「bipolarの種類もいろいろあって、患者さんの場合は躁が💩レベルしかない(→鬱のときとあんまかわらない)」

「・・・・・・」

そんなわけで、bipolarの処方をもらい始めたのだけど、ずいぶん調子がいいらしいんですよ(*2)。観客のみなさんと、心の底から最高に遊べるfun timeを作ろう!って気分になり、今回のショーが誕生です。

ショー自体の長さは「60分」。なんですが、エディンバラのフリンジやそれをそのまま転送できるSOHO THEATRE的なところじゃないかぎり、芸人さんは90-120分の任務を課せられるんですよね。対処法としては、1)前座を1-2人入れちゃう 2)自分で全部時間埋めちゃう 3)(劇場サイズのデカいところでやる大物さんにはよくあるケース)始めからショー自体の長さを45分x2(15-20分インターバル)で構成しちゃう。で、ヘルムさんは迷いもせず(2)なんですよ。なんでかってと、crowdworkの天才だから(*3)。本編ほどに綿密に準備もせず、クオリティを落とさず、量を増し増しにできるんじゃないかと思います。

よって、最初の40分(実際には60分に伸びてた)は「ショーまだ始まってない」と定期的になんどもなんども断りを入れつつ、Super Fun Good Time Showの導入口的な話。薬は効いてていいんだけど、イカないんだこれが! いや、大丈夫、勃起はする!めっちゃ!硬くなる!めっちゃ!めっちゃ!!めっちゃ!!!硬くなる!!! (前に座る男性客指して)大丈夫!ハードファンをがっかりさせるようななよったちんこじゃない!安心して!めっちゃ!めっちゃ!めっちゃ!!!硬くなる!!!だけど、どうにもイカない!!!

からの、「自分90sがティーンエイジャーだったからCOMEって言葉に汚れを感じる世代なんだけど、どうみんな?COMEってなんて言ってる?言ってた?」と、どこに座ってても直撃&つっこまれる、ヘルムさんおなじみの展開に。しかも下ネタ全開。この「ニックヘルムのショーに来たら、どの席座っても安全な場所はない」って緊迫感(?)が最近緩かったんで(*4)ああ、たしかにお薬効いてるのかしら、とほっこり。

多分ネタなんだろうけど、「お前らノリが悪すぎ!おまえもおまえもおまえもCxxxばっかり!!」とか。トイレに立つなどの大きな動きをするお客さんだけじゃなく、、顔にてェあてて感慨深そうに見てた(かなり後方の)お客さんにいきなり突っ込み始めたり。

「ショーは始まってない!!!」とものすごい頻繁に言い張り続けるものの、これらのティーン時代・思春期時代の下ネタ、そしてヘルムさんがいぢってるお客さんたちが、きちんと「ショー」自体(→結局80分くらいの長さに)のなかでストーリーとしてつながりを持ち、高クオリティのメタジョークとなり、またいぢられたお客さんたちはのちに舞台に立たせられ、ネタの落としどころとして役立ち、大活躍していくんですよね。ヘルム氏、4人舞台に立たせられ、客席内でも(前方後方関係なく)3人くらいと一体となって一番のメインネタを作り上げていくってね。神業スキルだな、と思います。ご本人社交性がないんで・・・って言ってますけど、それとこれは別なんですよね。

お客さんたちは素人さんですから使いづらいことも結構多いと思います。でもヘルムさんのすごいところは、素人さんどんなボールも貶してスマッシュ決めるんですよ。スマッシュ決めてかつコントロール下に維持する。今回はフェスティバルでもない平日は水曜日の地元客ばっかりだったので、よっぱらいやスタグナイトのヤバいやつはいなかったけど。

というわけで、20時に始まったショーは15分のトイレ休憩をはさみ、22時35分に終わりました。めちゃくちゃ!疲れたけど最高でした。


(*1)2017年は本人やってるときにまるで気が付いてなかったけど、周囲から「どんよりモードにもほどがある」って言われて認識したらしいです。オレはじつはWiPしかみてないのと、本人が気づく前の者だったに違いないので、「鬱」の印象があんまりないんですよね。ただすげえ暗黒世界の究極のエロ芸術コメディで、感動した記憶が今も残ってます。

(*2)前作も鬱病の薬をもらってよくなったーよくなったーっていってたんだけど、今度はもっと実感してるみたい。

(*3)crowdworkっていうと一番前に座るお客さんを中心に「なまえは?」「どこからきたの?」「職業は?」「そこカップル?」みたいなやりとりでウォームアップというか、場をつないでいく、みたいのが典型的ですが、ヘルムさんのは、もうその域とレベルを完全に超えていて、ナタリー・パラミディスが大絶賛されてる系のクラウニング・スキルです。実際以前ヘルムさんどこかの媒体でクラウニングのレッスンを数カ月受けたって言ってたと思う。ただ数カ月のレッスンからの実践の繰り返しでこの達人レベルに至っているのは、天性の才能があってこそ、と思わざるを、得ません。

(*4)Hot'n Heavy の10周年記念ライブを去年エディンバラフリンジでやったときは除く


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