イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2022年8月15日月曜日

Edinburgh Fringe 2022 エディンバラ・フリンジ2022 (禁じ手の)内容を説明しますので、ぜひ体験してください。前代未聞の異空間ワールドが体験できる Mark Silcox: I Can Cure...[Perfect and Arena Ready Show] 観ました

ここ数年、好きな芸人さんたちと一緒に活動してたせいで、ずっとソロ・ショーを見たかったんですけど。

https://tickets.edfringe.com/whats-on/mark-silcox-i-can-cure-perfect-and-arena-ready-show

シルコックスおじさん。多分、知名度が上がったのは、ジョー・ライセットくん(さん?)の番組、Joe Lycett Got You Back (Channel4)でサイドキックとして登場してからではないかな?と思ってます。


パンデミック中から、特にサム・キャンベルくん(以下SC)とのコラボが異常に多くなってしまい、優先順位が爆上がりしてしまったのが、今回観に行った主な理由です。すいません。 

一部紹介↓


またかよ、またSCなのかよ、なのは重々承知なのですが、彼のオンライン上の活動により積み重なったほぼ2年分のバックログを消化することが、何しろ最優先なのです。芸人マグネットのエディンバラ・フリンジでしか見れないやつばっかりなのです。

【内容の前に、感想】

・・・ジョークとかコメディとかショーとか、そういう以前の話で、めちゃくちゃ笑いました。芝居でもコメディでも、鑑賞するときに、オレは何かしらの「視点」でデコーディングをするのですが(注:このデコーディング作業とオレが個人的に面白いと思うかどうかはまた別の話です)視点とかそんなのどーでもいい、問題外のショーなのです。

通常は、二度と観れない一回かぎり系でないと、ネタバレしてレポートしないのですが、Mark Silcoxおじさんのこのショーは、何が起こるかわかって行ってもめちゃくちゃ楽しめる、とエグゼクティヴ・デシジョンにより、ネタバレすることにしました。じゃないと、なんでオレ的に爆笑だったのか、まるで説明できないんだもん!しかもこれネタバレしないと、低評価になっちゃいそうなの。

(オレが行ってた日、若いにいちゃんのレビュワー入ってたんだけど、険しい顔してたから、出てくるレビューが怖くて怖くてしょうがない・・・)

【内容は・・・超・ネタバレです】

1)ちっちゃい会場内に入ると、センターにいろんなものが置かれておりまして。いくつものタッパーとかティーバッグとかケトル3つとか卵とかゴソゴソと。お客さん多分全部で50人くらいかなぁ?もうちょっと入るかもしれないです。とても狭い会場です。

2)今回のショーはタイトル通り「ワタクシが治します」なので、シルコックスおじさんはドクター・シルコックス。お集まりいただいた方々へより良い健康を、というコンセプトのもと、体にいいもの、比較的医学・栄養学的な話を、写真や絵とともに(→A4サイズの紙にプリントアウト、ラミネート加工)みんなに見せて説明していきます。会場狭いですけど、まるで、よく見えないです。

3)体にいいもの、として真っ先にタンパク質が紹介されるのですが、そこで「みんなにChick Peasを・・・」とタッパーを取り出します。その中には、事前に準備していた水でふやかし+茹でてきたひよこ豆が。ドクターはおもむろにそのひよこ豆を一つ目のケトルにぶっ込み、お湯を沸かし始めます。(この間一切喋りません)

4)「ゆで卵も欲しい人はいますか?」と客席からゆで卵の希望者を募ります。ドクターは希望者全員分の数を数え、その人数分の卵を卵パックから取り出し、2つ目のケトルに卵をぶっ込み、お湯を沸かし始めます。(この間一切喋りません)

5)お湯が沸いてもゆで卵ができるまではそのまま10分放置するのだそうで、お湯が湧いた後もいいしばらく、ラミネート加工されたA4の紙とともに、今度は咳について話をしていきます。

6)ちょうど咳についての話が終わったところで、「多分準備ができたと思うので・・・」と客席全員にキッチンペーパーを配り、そのペーパーの上にティースプーン一杯分くらいのひよこ豆(タッパーに一回戻して塩をまぶしてよく振ってから)を全員にサービングしていきます。(サービング中一切喋りません)

7)配り終わったところで今度は「ゆで卵も・・・」とゆで卵を取り出し、再びキッチンペーパーを取り出し、ゆで卵をカチッと割って(茹だってるか確認してから)先ほどの希望者たちへサービングしていきます(サービング中一切喋りません)

8)全員に行き届き、それぞれがタンパク質を食すなか、プレゼンが再開。すいません、ここで何喋ってたか覚えてないです。ただ、お客さんがこの状況で笑っちゃうので、ドクターもこらえきれずに、笑っちゃって、笑いのエコー現象に。

9)第一部が終了し、第二部へ。第二部の内容は生物の歴史的な話で、ビッグバンから入り、地球の地質学の歴史と、氷河期以降の生物、そして「クモ」について。しかし、第二部が始まる前に「正直この第二部は、とてもアカデミックでつまらないので、みんなにお茶でも・・・」と、3つ目のケトルでお湯を沸かしながら、紅茶、またはコーヒーを希望する観客を募り、希望者全員に飲み物をサービング。(ミルク、砂糖もお好みで)

(→この間、本当に普通にお茶作ってるだけですこのおじさん)

10)お湯を沸かしている間にカスタードビスケットもサービング。全員に配布されます。

11)お茶とビスケットが行き渡ったところで、第二部へ。ビッグバンがどうやってできるのかを説明した後に「では実際にビッグバンを・・・」と、ドライアイスの入った瓶に風船の空気口をはめます。(確かそうだったと思う)ゆっくりと風船が膨らんで行く中、地球の歴史を引き続きレクチャーするドクター。客側はその風船がいつ膨らみすぎて割れるんじゃないかと恐れおののき、レクチャーを聞く余裕なんてないです。途中でみんなの様子に気づいたドクターは、かなりパンパンに膨らんだ風船を取り、口を結んでマイクスタンドに結びつけ、レクチャー続行。

レクチャー自体に、マジで笑いどころがあったかどうかまるで覚えてないです。

一通り生物が生まれるまでを話したのち、チャッカマンを取り出すドクター。「・・・では、みんな耳を塞いで・・・」とチャッカマンの火を風船に近づけ、風船が割れると炎もブワッ!!!

「以上です」

・・・終了・・・。






2022年8月14日日曜日

Edinburgh Fringe 2022/エディンバラ・フリンジ2022 まさに一夜限りの真夏の夜の夢。あの大人気の芸人さんが即興で演出したマクベスがあまりにもすごかったので、一部始終レポートします。

 一回行って、大変楽しんでレポートしたばかりなのですが、本日ノコノコとお昼のショーを観るために並んでいるときに、息をするかのようにチェックするツイッターのTLに

ニック・ヘルムが、

https://tickets.edfringe.com/whats-on/nick-helm-what-have-we-become (本人ショーのリンク)

マクベス演出

まるで理解不能なパワーワードが2つ並んでいるのを目撃しまして。

ニック・ヘルムといえば、オレがそれはもう長年ご贔屓にしている超才能のある芸人さんです。8 out of 10 catsとかそーゆーパネルショーでもおなじみかと思いますが、BBC コメディ Uncleで一躍有名になったのではないでしょうか?英国のコメディドラマでちょこちょこいい味出してる。

感想記事やお知らせ記事をたくさん更新しています。が、ここで紹介している文面がものすごくよくまとまっていると思うので、こちらの記事をお勧めします

そんなわけで、ニック・ヘルムというパワーワードを出されたら、オレが行かないでどうするよ。というわけで、行ってきました。この芸人さんが喋る言葉は全てパンチラインですね。どんなに弱い玉でも、拾ってスマッシュする。まるで無駄がないどころか笑いの大量生産です。土曜の夜なので、お行儀の悪い客も混ざってるんですよ。特にニックの客層はそういうのが混ざる可能性が高い。そういうお行儀の悪い客もちゃんと取り込みつつ上手に回す。涙流して笑いましたが、感動しました。

さて。

前回のレポートでもお話ししましたが、このマクベスの基本ルールは以下の通り。

1。毎日ですね、フリンジにいる誰かをとっつかまえて演出家として招待し、その人の指示通りにマクベスやります。ほんとに言われた通りに従ってやります。 

 2。ショーはもちろん1時間枠です。1時間で2時間半のマクベスを終わらせます。無理やり終わらせます。ゲスト演出家も演者の二人も時間内に終わらせることをつねに気にしますので、芝居が終わらずに終わるということがありません。 

 3。マクベスを2人だけで演じます。いや、マクベスの一人芝居ってアラン・カミングが昔やったけど、そういうことじゃなくて、ふつうのマクベスを2人だけで演じます。だから例えば1シーンで1人が魔女やってバンクオーやって夫人やるんです。超ベーシックに衣装とかカツラとか変えてやるんです。

すでにこの時点で相当無理がある上に、その上に、あのニック・ヘルムが、即興で、演出したら・・・? 一回限りのことなので、ネタバレしちゃいたいと思います。

【開始前に大問題発覚】

オレらが会場に入って、下手脇に鎮座するディレクター・チェアーの近くの席に腰を下ろすと、センターでティムさんが、1番前席のお客さんと熱心にやりとり。お客さんへと目を向けると、フリンジあるあるの、ショーの年齢制限を丸無視して、お子様連れてきちゃう、ってアレでして、ど真ん中に小さな男の子がちょこんと座っておりまして。

年齢6歳(ウップ)

今日は特に6歳のお子様にふさわしい内容にはならないので、出ていくなら今。お金は払い戻します。と説明を入れている(はずです)が、動かぬ両脇の両親(*)。


【ティムとトムのウォームアップ的なイントロ&本日の演出家紹介のフリでニック・ヘルム登場】

演出後登場後、20秒と立たぬうちにF語とC語の嵐。手加減するわけがありません。6歳児に目を見やり「6歳なんだってね。ふぁっきんごしゅうしょうさま。あんたら両親Cxxxだな」と最大限の親切をするニック。つまりこの時点なら、(万が一程度を推し量れていなかった場合)気を変えて、会場を出ることができる。どんな頻度でどんな程度の言葉が飛び交うのかを親切に教えてあげたのです。しかしそれでも頑として動かぬ両親。そーかい、じゃあ遠慮なく、ということで、ここから先2−3語に1回の割合くらいでF語が入ります。

【魔女3人、演者2人。どうしても3人フィジカルに見せたい演出家】

「演出家のポジションに見合うシェイクスピア的経験は?」
「・・・ライオン・キングを見ました」
「・・・」
「で、最初はどんなシーンなんだっけ?」
「ま、魔女の登場です」
「ああそう。じゃ、まあ、ベストを尽くしてやってください」

ようやく芝居スタート。演出家のビジョンは「みんなにクリアにわかりやすく、明るい、ライトなテイスト」のマクベス。照明も明るく、と魔女のシーンは照明ガンガン当てて開始。しかし程なく、その案は却下となり、赤、緑と迷走。
音響も何しろHeavy Entertainmentが売りの演出家なので、グレートでキャッチーなオープニングを、とAirbourneのHeartbreakerを指定。サビの部分では客に合唱を強制する始末。

しかし、魔女が喋り出すとほどなく、
「ちょっと待って。お前何役?」
「魔女です」
「お前は?」
「魔女です」
「魔女って何人出てくるの?」
「3人」
「じゃあお前ら2人で3人分の魔女やってるってこと?」
「はい」
わかりづらい!!!

叫ぶ演出家。

「せめてもう一つ頭がないと、無理。なんかないの?」
「あ、マスクがある(→猿のラバーマスクを慌ててとってくる)これでは?」
「あー、いいんじゃない? あとさ、音楽なんだけど、やっぱりちょっとバイブが違うんで、セラ・ブラックのサプライズ、サプライズ(注:昔ITVでやってたファミリーフレンドリーなバラエティ番組。→しつこいようですが、マクベスの方向性は「明るくライトにわかりやすく」)のテーマに変えて欲しいんだけど・・・Spotifyに入ってるでしょなんでも?」
「・・・えーっと(曲を探すトムさん)い、いや、ないですねぇ・・・YOUTUBEには上がってるんでそれをかけます・・・」
「オッケー、じゃあ、アックション!」

で、かかった音楽がこれで、ブチギレる演出家。「ちがああああああああう!
「えええええええ???でも、これは確かにサプライズ、サプライズの・・・」
「違うだろ?! らいふ、いず、ふーる、ふぅる おゔ さぷらいずいーず🎵🎵だろっ?!」
「あ、そ、それはエンディング・・・」
「ああ??」
「エンディングだったんですね、いやテーマ曲っていうからつい・・・(小声)」トムさん小さい人なので、恐喝されてる中学生にしか見えません。

ただでさえ時間がないのに、細かい演技指導に入る演出家】

おそらくこの時点でゆうに30分はすぎているはずですが、まだ最初の魔女のシーンであり、かつ魔女がろくすっぽ喋ってません。にもかかわらず、魔女役に細かい演技指導を始める演出家。
「あのさ、The importance of being Earnest 見たことある? Patricia Routledge(注:90年始めにTVコメディkeep Up with Appearanceでシアターとか行かない人もみんな知ってる女優さんになったという印象ですが、間違ってたらごめんなさい)のBlacknell夫人ってさ、今お前がやったみたいな感じじゃん? そーじゃなくてさ、ジュディ・デンチがやったバージョンの方、そっちにしてくんない? (とジュディ・デンチを真似る)」
ここでいいしばらく、ジュディ・デンチ風魔女のトレーニング・タイム。さらには「Caudronは?」とないものをねだるので、演者二人は3人の魔女に加え、(薬混ぜる例のでっかい)ツボ役までやらないといけない、という始末。

【その後、起こった惨事】

力尽きてきたので、リスト書きします。

  • 認識できない登場人物は「そんなやつ知らん。重要なのか?」と排除。冒頭で、ストーリーのセットアップ的な役割をしてくれてるマクベスの部下を「知らん」と排除。メッセンジャーを「いらないそんなもの」と排除。
  • 「あいつが問題を複雑にするせいで上演時間が長くなる。あいつが諸悪の根源。あいつさえいなければ済む話」とマクベスを排除。結果、ストーリーがさらに迷走。マクベスがなかったことになってバンクォが喋ります。バンクォはトムさんがやったのですが、魔女のシーンで受けた演技指導から方向性を掴み取り、バンクォは「キアヌリーブス」アクセントで進行。演出家にめちゃくちゃ褒められます。
  • 「この芝居のトラウマ的な苦悩を表現するために、演者二人同時に喋れ。観客が「どっちを聞いたらいいんだあああああ」とさいなまされ、時間も節約できる!」と、なぜかマクベス夫人とメッセンジャーが同時に叫び合うシーンが展開( この時点で削除されたメッセンジャー復活)。演出家はそれを見て「我ながら素晴らしい演出だと思う」とガチで自画自賛。
  • とにかく、時間がない。時間がないんです。倍速で進行するために、セリフをかいつまめ、短く喋れ、登場人物削れ、とあれこれ試行錯誤してたのですが、まだ誰一人として死なないうちに1時間経過。ガチの会場スタッフが何度も演出家に近寄り「マジ終わってください」と請願。
  「この話、誰が死ぬの?何人死ぬの?」
        「たくさん死にます。いろんな人が死にます。ダンカン、マクダフの子供と奥さん、バンクォ、夫人・・・(と羅列してく演者二人)んでマクベス。マクベスも死にます」
  「マジで?! もうー無理じゃん! わかった、じゃあ、みんなページ開けて、えっと・・・ページ〇〇目!」
   「いや、だから、最初に説明した通り、それぞれ持ってるマクベスの本、バージョンが違うんで・・・」「〇〇ページ目を開いても、同じシーンにみんないない・・・」
 「いいから!〇〇ページ目開いて!!で、そこのページ1stラインから交互に読んで!」

   結果、再び魔女のシーンに戻る演者と、ダンカン王が喋る演者が同時に登場。

  • しかしながら、この方法が意外といける、と気に入った演出家は、この方法で最後のページを読んで終わりにすることに。何一つ終わってないですが、終わりました・・・次のショーのお客さんが攻めてきているので、このショーの客は別の非常口を通って会場を出ることに。
ということで、こんなマクベスを見たら他のマクベス見れないよね、っていうくらいトラウマ級に面白かったです。

(*)あのね、6歳の子供が入ってきても6歳児に合わせた言語レベルにはならんのですよ。特にゲストの演出家目当てで、ソールドアウトなんです。連れてきた方が悪いんです。こういう両親見ると正直めちゃくちゃ腹たちますね。



2022年8月12日金曜日

Edinburgh Fringe 2022 エディンバラ・フリンジ2022 2019年フリンジ・コメディ・アワード受賞者の新作観ました。Jordan Brookes: This Is Just What Happens

 ここ数年、レギュラーご贔屓の芸人さんです。感想記事数は少ないけど、ここ数年生産物はだいたい網羅してます。

Jordan Brookes: This Is Just What Happens

https://tickets.edfringe.com/whats-on/jordan-brookes-this-is-just-what-happens


過去の記事をぜひどうぞ。 


過去にショーの感想記事で、「シアターあがりの人としか思えない、ショーの作り方なのだが、その辺の情報が一切出てこない」とぼやいているのですが、パンデミック時に、結構オンラインでコメディーやったり、フリンジで賞をとったショーをYOUTUBE経由でWatch partyしたりとしてくれていて、その度に参加しては、作品づくりについてききたいことを質問する機会があったんですよ。 やっぱりジョーダンさんは、短期ですがドラマスクールに通ってました。名前忘れちゃったけど、うんちゃらさんっていう講師から、ストリートパフォーマンスのテクニックを教わったらしい。それがベースにはなっているそうです。

納得。

【今回のショーの内容は】

「今までのショーでは、お客さんにconfrontationalで居心地よくない空気を作っちゃってたけど、それは過去のはなしぃ。お互いナイスでいたいよねぇ。だからこのショーはナイスを保ちます!」という前フリ。なので、ナイスなわけがありません。いわゆるクラシックなジョーダン・ワールドの幕開けくらいな感じです。

「今回話したいのは、ひどいこと言われたときのこと。いやどんなに頑張ってもオレってハンサムではないじゃん。ジョーダンってハンサムじゃないよねって誰かが言ってるの聞いたら、「ええええ?!(あんた何言ってんの?!的に)」って激しく本気で否定する人はいないじゃん。「…えええええ…?(いやそんな身も蓋もなく言っちゃぁ)」って否定するくらいだよね? だから自他共にそーゆーレベルだってのは認識してるんだけど、あるパーティでさ、友達がさ「今友達がジョーダンのことネチネチした陰気なスライムだよね、って言ってた」ってオレにわざわざ伝えに来てさ。ええええええ?!そんなことわざわざいううううう?

っていうところから展開して行く、自意識、自己アイデンティー、メンタルヘルスについてダークに探訪して行く1時間です。

【感想】

ショーは、オーディエンスと交流するという演者vs客の2面と、ジョーダンさんの心の声と建前とのやりとりで展開される2面という、ダブル構成。

建前のジョーダンは、客席から私語が聞こえれば「そこで話してる人たち、ダイジョーブ、どーぞどーぞ喋ってて(にっこり)」会場(おトイレで)抜ける人がいれば「あ、いいよいいよー、でてっちゃうのね、行ってらっしゃあーいー」動きとかポーズが、稲中卓球部とかグリーン・ヒルとか、ああいう感じ。(そーいえば、ジョーダンさんの雰囲気って古谷実ワールドとかぶるかも・・・)そこに時々、心の闇の声による罵倒が聞こえてくる。

この建前&本音という2パターンのジョーダンさんが出たり入ったりしながら、後半のメインネタとなる真剣に付き合ってた彼女と別れてから、ちょっと色々冒険したほうがいいよね、と友人に勧められて、いろんな女性とデートをしたときのエピソードが語られていきます。人の目や言動に翻弄され、悩みを抱え問題だらけの自分。だけど自信を持って、世間なんて気にするもんじゃないよ・・・

ってまるでポジティブメッセージなナイスなショーのように見えて、とんでもない。ジョーダンさん、わかってるんですよ。ごっちゃごっちゃ問題あるとか嫌な目にあったとか、悩みがあるとか言ってるけど、それって結局イングランドの中流階級の白人男性が抱えるようなレベルでね、って。自意識過剰で自分で悪い方向に考えちゃってるのが原因でね、って。しかも最後のオチは、ダーク、皮肉、そして酷いな笑いが制覇する。本当にうまいなぁ、と思いました。この女性とのカジュアルデート部分は、素材としてWiPで聞いたことが2回くらいあったのですが、作り上げるとこうなるのか、と。やっぱりジョーダンさんはすげえ、と思います。

2022年8月11日木曜日

Edinburgh Fringe 2022/エディンバラ・フリンジ2022 もはやこれはシェイクスピア・ルネッサンス。いかにもなフリンジらしい体験ができます。Thom Tuck and Tim FitzHigham: Macbeth ついに観ました!

ここ数年、limited runでやってるのですよ。もっとハネていい代物なのだけど、何しろPRとかまともにできない人たちでやってるので、知る人ぞ知る(というか超ニッチなコメディ・サークル)の範囲を超えられない・・・それが トムさんとティムさん制作による例のシェイクスピア・スコティッシュ悲劇です。

Thom Tuck and Tim FitzHigham: Macbeth

https://underbellyedinburgh.co.uk/event/thom-tuck-and-tim-fitzhigham


1)(というか)トムさんとティムさんって誰よ。

Thom Tuckさんは 結構レポートしてます。一回祭ったことがあるので(なんと10年近く前だよ)簡潔にいうと15年以上前にThe Penny Dreadfulsというトリオでフリンジを盛り上げまして、その前後でソロ活動もやってまして、どっちかっていうとトムタックさんは、芝居よりでも活動を多くしていて、観てるのはスタンダップよりも芝居系のほうが多いです。オルタナティヴ・コメディ・ソサエティを運営してる人の1人です。(名誉会員になったかもしれないけど)ショーの演出よくやってます。

Tim Fizhighamさんもぽろぽろ話してます。しかししっかり感想記事を書いたのは11年も前だった・・・ 大丈夫、基本こういう芸人さんです。年とったけどやってること変わらん。


【内容は・・・】

(いや、マクベスなんで(汗)。マクベスの説明はしませんです・・・)

1。毎日ですね、フリンジにいる誰かをとっつかまえて演出家として招待し、その人の指示通りにマクベスやります。ほんとに言われた通りに従ってやります。

2。ショーはもちろん1時間枠です。1時間で2時間半のマクベスを終わらせます。無理やり終わらせます。ゲスト演出家も演者の二人も時間内に終わらせることをつねに気にしますので、芝居が終わらずに終わるということがありません。

3。マクベスを2人だけで演じます。いや、マクベスの一人芝居ってアラン・カミングが昔やったけど、そういうことじゃなくて、ふつうのマクベスを2人だけで演じます。だから例えば1シーンで1人が魔女やってバンクオーやって夫人やるんです。超ベーシックに衣装とかカツラとか変えてやるんです。

【感想】

毎日違うゲスト演出家を迎えるので、あたりはずれがあるかも?と思いきや、とんでもないですね。これはお金と時間があれば毎回とんでもないバージョンのマクベスが堪能できます。オレが観たバージョンは二度とないと思うので、ネタバレしますね。

まずゲストの演出家が当たりだった。Comedy StoreとかでずっとPaul Mertonとかと即興コメディやり続けてきたRichart Vranchだったので、チームワークで展開する即興のエキスパートだったんです。

トムとティムの無駄話ですでに8分ロスしているなかようやく紹介されて登場。ディレクターチェアという舞台袖でろくすっぽライトも照らされないポジションに座らされ、マクベス開始。

「いやさ、テレビシリーズとかで何シーズンもあるみたいな調子で5幕もやってらんねー。てか、ボックス・セットってなに?シーズンがハコになってるんじゃなくてシーズンがハコになってるんだからBoxed Setって呼ぶべきでしょ。そんなわけで、今の時代に5幕もやってらんない。若い層にもアピールできるように、キャッチ―で尺短くて、歌って踊って、リップシンクで1幕目はやるべき」と魔女役のトムさんが舞台袖で音楽かけて歌うティムさんに合わせてリップシンクで冒頭シーンを展開。ここでじかんがすでに半分近く使われちゃって、その後一気に一幕目の最後へ。1幕目のおさらいと2幕目のティーザーを演じることで1幕目をカバーします。(これまでのお話・・・ってやつですね)

とにかく「短く短くキャッチ―に」が演出の方向性なので、すっ飛ばすのが全部オッケーに。

2幕目に入ることにはすでに残り20分。前にいるお客さんにプラスチックの斧持たせて、ダガーにみたて、マクベス苦悩しながらも覚醒するシーン。とにかく時間がないので、ダンカンが殺されるシーンも、部下殺されるシーンも、バンクォ殺されるシーンも、夫人が狂っちゃって死んじゃうシーンも、全部舞台袖の見えないところで叫ぶだけで終わり。いいんです。じっくりやるのは今の時代にあわないんで、飛ばしちゃえばいいんです。

そんなこんなで残りもう8分。最後のクライマックスもやる時間なんかありません。「キャッチ―に纏め的にクライマックスを歌って説明して締めちゃうべきだと思う!」と名演出家の指示に従い、ティムさんギターを取り出し、ちゃらーん。その音色が、どうにもメキシカン。なぜそんな音を奏でる!という突っ込みも脳内でできる前に演出家が「それ、いいねぇ! トーンが明るくてキャッチ―! スペイン語でやっちゃおうか」とスペイン語を指示だし。一方、スペイン語まともにわかる演者ゼロ。無情なまでにメキシカンサウンドが奏でられるなか、うる覚えのスペイン語で、「おバカどもの、おーはーなーしいいいいい」と繰り返し、じゃんじゃかじゃんじゃかギターひいて終了・・・。

こんなマクベスみたことあるか、っていうマクベスでした。でもちゃんとマクベスやってたし終わってました。1時間で。これはもうシェイクスピア劇のルネッサンスだと思います。ぜひキャッチしてください。レビューとかどーでもいいレベルで、フリンジならではの最高な体験ができるかと思います。




Edinburgh Fringe 2022 エディンバラ・フリンジ2022 すでに豪州では絶賛の嵐。オーストラリアの Comedy Award の新人枠ノミネート済。DAN RATH: COCKROACH PARTY 観ました。

 ・・・背筋にむっちゃくちゃへんな衝撃が走り、なんじゃこりゃ?と考える余裕もないまま ハマっちゃって出てこれない。このショーのタイトルがゴキブリパーティなら、会場だったAssembly George SqのStudio5はゴキブリホイホイと表現するのがベストです。

というようなすごい芸人さん、登場。一秒でも早くレポートしたくてバックログ4本分の感想をすっ飛ばしてpriority serviceで感想をお届けします。

DAN RATH: COCKROACH PARTY

https://assemblyfestival.com/whats-on/dan-rath-cockroach-party


【絶対観なきゃ!のレベルで注目した背景】

この芸人さん、オーストラリアのインディぶっ飛び芸人さんを何人か囲ってるプロモーター、The Junkyardの芸人さんなんですよ・・・それは何を意味するかといえば、もちろん(枕詞略)Sam Campbell君の仲間たちなんです。レビューの評価はどーでもよく、例えば下記みたいんの見ちゃってると、注目度はすでにマックスなんですよ・・・

で、ですね。某サイトで某レビュワーさんが4.5星をたたき出していたレビューが、エディンバラフリンジのレビューにリスト化されてることで、エディンバラに来ていることが発覚。このお宝がエディンバラで徘徊していることがこれ以上世間に知られる前に、さっさと見に行かなければ!と行ってきた、という経緯です。

【内容ですが・・・】

社交能力低くて、社会の順応度低くて、オフィス仕事とか無理で、「旅行先でさ、駐車違反チケット切られて、罰金って払うもんなの?払わないとどうなるの?」ってヨーロッパでチケット切りまくって、車没収されました。「友達」っているのかいないのかようわからん。「同僚」っているのかいないのかようわからん。基本自閉症なんで子どものときからいじめの対象だったし、社会的地位とか金とか一切持ってない。福祉頼って生きてます。そんな社会のゴキブリみたいな立ち位置なんで、失うものなんてなんもありません。しがらみのない思考回路にうかんだことそのままなんでも言っちゃいますよ。オレの頭んなかへようこそ、こんにちは。お品書きには、以下のものが入りますが、必ずしも近年の傾向に沿っているとは限りません。

リベンジ

あなたがたとの交流

バス

Nando's

メンタルヘルス etc.

(オレものすごく、内容をちゃんと説明できたと思う! アレ見てこれだけスポイラーなしにまとめたオレ、えらい!)

【感想】

何しろ、期待値は推し経由で計っていたのと、タイトルがタイトルだったもので、プロップやらゴロゴロ使うショーなのかと、勝手に想像してたら、ばっさり裏切られました。古着やで見つけたボロッボロ!の FANTA のTシャツとトラックスーツ、お酒と炭酸水ボトル抱えて登場。ピンコーンってベルならしたら、こういう感じで出てくるハウス・パーティのホスト、学生のときに経験してませんでしょうか。まさに、あのバイブです。

思考回路が前代未聞で、なんでいきなりそんなことを想像させる?みたいな「Imagine...」連発。プロップ等を使わない、むしろそこに頑張るエネルギーがゼロの、燃え尽き症候群系サム・キャンベルです。笑いには毒がたっぷりあります。

ただこれ、協調したいのは、今回のショーのために容姿振る舞い含めて緻密にビルズアップしたパーソナだということです。たぶん、どっかでブチっときれて、「出しちゃったほうがいい」と思ったからなのかな?と、2-3年前と比較して思っています。

客とのやりとりがショーの50%くらいをしめていて、ハコが狭いので半分近いお客さんとやりとりをするのですが、そしてその内容はよくある5W1H系の「仕事何やってるの?」なのですが、「オーディエンスをピックアップしていぢる」という使い古されたスタンダップのフォーマット、というよりは、客とのやりとりを通して先述のキャラを根付かせるための、インタラクティヴ・コメディというべきです。仕事何やってる以上のことを客はしゃべりますから、どんな内容が飛び出すかわからないんですよ。でも瞬時に、Dan Rathの作る世界観と彼の(ステージ上)パーソナを強化するための笑いが生み出されていくんです。そしてその笑いの数が半端ない。サムくんみたいに、この芸人さんも笑いに清く無駄がまるでない。

・・・というわけで、これがオレの感想であり絶賛の理由なのですが、なんと、今回同行した大学生のうちの子とお友達にとっては、共感の笑いと思考回路なんだそうです。いくつかほかにも連れてったんだけど、Dan Rathが一番気に入ってて、めちゃくちゃハマって笑ってました。実際お客さんも学生が多かったです。単純に深夜枠で口コミかな?と思いきや。別にTikTokで見ました、memeで有名です、とかじゃなく。その辺でも、ひゃー!!!と思いました。

参考までに、このショーからの数分のクリップがあるので、下に貼り付けます。自分観たショーはこの順番でしゃべってないので、毎回思考回路の赴くままなのかもしれません。今このクリップみると、一貫してあるピリピリ感は、ライブ環境と俊逸な客とのやりとりがあってこそ、とも思えてきました。