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2020年11月2日月曜日

サイモン・ペッグとニック・フロスト(と仲間たち、的な)がタッグを組んだパラノーマル・コメディ・ドラマ、Truth Seekers / トゥルース・シーカーズ(アマゾンプライム配信)の感想です

 世にも時代遅れでサムい邦題サブタイトルで、日本の世間がガン無視してる気がしてならない… 



配信前に主に制作サイドの情報をアップした記事はこちらになります。

http://www.gojohnnygogogo2.com/2020/09/truth-seekers-1030.html


【さわりのあらすじ】

ブロードバンド電波配信会社 スマイリーに勤務するガス(ニック・フロスト)は、妻エミリーを亡くし義理の父(マルコム・マクダウエル、なのね?)と2人暮らし。

配信率100%を目指す会社のボス、デイヴ(サイモン・ペッグ)は、他の人なら敬遠するようないわくつきの場所からの依頼を二つ返事で受けてくれるガスを大変気に入っていて困った案件になるとガスを指名します。実はガスは、パラノーマル探検が趣味で、仕事を利用して様々なパラノーマル事件の調査をしていたのです。YOUTUBEチャンネルも作っていてレポートしてます(視聴者ほとんどいないけど)。

そんなある日、ガスはボスの任命で、新しく雇われたエルトン・ジョンとチームを組むことに。エルトンはパラノーマルが大の苦手だし、ガスもエルトンが余計な足手まといになるから渋々だったのですが、2人がチームを組むことで、予想だにしない大きなパラノーマル事件の連鎖に遭遇し始めます…


【感想】

すごく綺麗に風呂敷を広げながら風呂敷を畳んでいく、コメディ要素のあるドラマ、でした。ようは、力のこもってるところが、笑いの方じゃないんですよ。

散在する仕込みがどのように一本のストーリーの1部となしていくのか、というプロット展開やパラノーマル効果をどう出すかに重きが置かれている。続けて見たいと思わせる要素は、各登場人物が抱える悩みやこっそりしている過去、遭遇したパラノーマル事件、ガスの奥さんの死、各業務先に潜む歴史など、各ネタが単体のようで実はつながっている、というところにあります。

映像も、Jim Field Smith監督のものです。「コメディ」の監督さんじゃないんです。「(コメディ要素のある)ドラマ」でここ10年くらい売れっ子なんです。True Seekersもこの監督さんの味がすごく出てて、映像の色味とかカット割りとか完全に過去作のThe Wrong Mans とかStagとか系なんですよ。彼の洗練された映像と演出はコメディの撮り方ではないんです(*)。

つまり、これをガチのコメディカテゴリーで「俺たち」シリーズにされるのは本当に、困るんです。

笑いに関して言えば、サイモン・ペッグとニック・フロストが過去に出演してた映画がいくつかありますが(Paulとか)、あの路線かな。


アマゾンプライム という幅広い視聴者層がターゲットなので、アイスクリーム3部作的なジョークを意識しつつも、わかりやすさ、拾いやすさでいうと、決してBBC2の夜10時枠とか、エンタメ・ギークならではの遊びも入れるエドガー・ライト監督系ではない。なので映画や音楽のリファランスはちらほらわかりやすく出てます。(→ショーシャンクには笑いました)

また、サイモン・ペッグ扮するデイヴの他に、エピソードによってゲスト登場するコメディアン&俳優さんたち(**)の技量に頼ったコミカル要素が出ています。義父役のマルコム・マクダウェルは序盤から終盤にかけてコミカル要素をホラー要素にナチュラルに変換していったのは、やっぱりベテランの素晴らしい役者さんだから、ですよね。

(*) コメディの撮り方って、なんだよ、と思われるかも、と思い、エドガー・ライト監督に学ぶコメディの撮り方、という素晴らしい参考映像クリップがありますので、みなさん、ぜひご参考にしてください。コメディを生み出す撮り方、というのは、あるんです。


(**) 目立ったところで Kevin Eldon, Justin Demri-Burnsです。若手の芸人さんちらほらとHorrible Historiesの人がが出てると思うんだけどクレジット確認したらないので、違うかも。


【まとめ(↓ 一部ネタバレしてるので気をつけてください)】



面白いです。気軽に楽しめます。いろんな伏線も比較的すぐ繋げてくれるので、焦らされることもないし、どんな伏線だったか忘れちゃうこともないし、拾うべきものは全部拾いやすい。こういう構成は好きです。風呂敷を広げはじめて、ひたすら広げ続け、どこも畳むことなく、またいつ畳むのかも推測できないまま延々進行し続けるお話が苦手だから。

魔術(魂の移動およびパラノーマル現象)と電波会社の陣地とり戦争みたいなところはなるほどねって思ったし、(両方周波数扱ってるから)ふふふって思いました。

ただ、ツイッターでも呟いちゃったど、この手のホラーコメディではInside No.9が完璧の上を行っちゃっているので、あのすごさが脳内をふよふよしちゃうようだと、プロットの深さや仕込みの部分で物足りない感は、否めないかも、です。

例えば、ほぼほぼ15−6世紀あたりのシーンで魂を体内から別の場所へ移動させ、永遠の命をモノにする呪文の本が出てきて、それが現代のシーンでレスターの車のトランクで見つかったっつーくだりがあるんですけど、レスター&車ときくと、やっぱりバラ戦争とかデーモノロジーに絡むのかな、みたいな、深みを本能的に期待しちゃうんですよね。でもそれ以上何もないの。タイトルはラテン語で書いてあるし、現代でその魔術を復活させようとするドクター・トインビー(ジュリアン・バラット)が叫ぶ呪文もラテン語っぽいし(全部じゃないと思うけど)。

もしかしたら、さらっとしてるのは今だけで、S2以降に深まる入り口なのかもしれないですけどね。

それに、Inside No.9のような深さをはじめから視野に入れてないと思うので(アマゾンプライム だから)引き合いに出すのもどうかとも思ってます。


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