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2015年11月12日木曜日

The Lobster (film)観ました【軽いあらすじは書きましたがネタバレはしてまっせん】

時間がついにとれたので、観に行きました。



コリン・ファレル、オリヴィア・コールマン、アシュリー・ジェンセン、マイケル・スマイリー、ジョン・C・ライリーとコメディ畑で活躍する役者さんが名を連ねているのと、レイチェル・ワイズ、ベン・ウィショーと英国の有名な役者さんがちらちら見えたので、とても気になっていたのです。

監督さん&作家さんがヨーゴス・ランティモース(Yogos Lanthimos)さんで、ギリシャで実力とキャリアを確立しているクリエイターさんですね。世界各国のアーティなインディペンデント系の映画にスポットラントをあてることが得意という印象のロッテルダム映画祭のシネマート・プロジェクトでこの脚本一番いいで賞を受賞して、制作に入り、今年のカンヌでパルムドール競争に参戦し、審査員賞を受賞している、エリート映画ですね。

【お話は…】
このカテゴリーがSFなのですが、いわゆる映画でよくみるSF的なヴィジュアルはありません。
近未来の世界。”街”にはとあるルールがあります。①独身で居続けることが許されない。②独身になると”ホテル”に連れて行かれ、45日以内にThe Other Half を見つけなければならない。③見つけられた場合は、その後、カップルとして機能するかどうか、1ヶ月トライアウト。④成功したら自由になり、”街”に戻れる。⑤失敗したら殺され、自分が(人間だったときに)希望した動物として生まれ変わる。⑥45日間の間に”狩猟”のルーティンがあるのですが、そこでこのルールから逃亡した”独り者(Loner)”たちをハンティングします。1人ハンティングできるごとに、ホテル滞在猶予期間が伸びる、という仕組みです。

物語はディヴィッド(コリン・ファレル)がホテルに入居するところからはじまります。連れている犬は、兄弟(兄?弟?)。もと人間だったけれども、上記のルールにより、犬になった、というわけです。”足を引きずった男”(ウイショーさん)と”舌ったらずの男”(ライリーさん)となんとなくつるみながら、伴侶探しをします。どうもこの伴侶探し、”運命の人”と自他ともに認められるような決定的な要素がないとカップル成立させてもらえないようで、そこが、自由を得る目的のための結婚を防止している。そのため、デイヴィッドはビスケット女(アシュリー・ジェンセン)とかにガンガンアタックされるのですがカップルとなることができずにいるんですね。「好意を抱いている相手にその思いを隠すより、好きでもない相手を好きなフリをすることのほうがずっと大変。僕にはできない」とディヴィッドはいいます。それでもなんとか生延びたい。結果的に彼はある行動にでます…

【奇妙な物語を作りたい方への超お手本作品】
これは遠い昔、編集ライターをやらせていただいていたころ、某雑誌で、某大漫画家先生(*)のインタビューをやらせていただいたときに、”どんな物語にも王道なテーマを入れる” とおっしゃっていたんですね。それはもう、バイブル同等の名言として心に刻んでいるのですが、このThe Lobsterを観て、その言葉を思い出しました。さらっと観ていると非現実的な世界なのですが、ちゃんと考えると、現実と背中あわせです。恋愛関係そして夫婦関係を経験したことがある人なら、誰もが似たような環境にじつはぶち当たっており、独身の立場も、カップルの立場も、独り者(Loner)の立場も自分仕様に解釈できるスペースがある。
”街”のルールも、このご時世、どこまで非現実的といえるのか? どこまでオレたちは”なんじゃこりゃ?”と思うルールを受け入れてしまっているのか。どこまで抵抗することができるのか。どの部分まで諦めるのか。
すべての基盤となってしまっている”ルール”をどこまで覆すことができるのか。 
1984と同じような問題の模索がなされていると思います。

【ちなみに…ウイショーさん扮する足をひきずった男について】
ウイショーさんは足を引きずる男性役だったのですが、その人が見せる普段は表に出さないブラックな人間らしさの出し方がとてもいいお味を出していました。映画作品自体が一貫して”静”なので、ウイショーさん自体の持ち味とシンクロ度が高かったと思うのです。あんまり細かくいうとネタバレちゃうから言えないですけど。(笑いどころをとっちゃうので)

そんなわけで、本作、日本公開は決まってもおかしくなさそうですけど、決まってるのかしら? ぜひおすすめします。




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