イギリスを主とする海外コメディをガツガツご紹介するブログです。産地直送のイキのよいコメディ情報を独断と偏見でピックアップして(だいたい)絶賛します。***トホホな事情が発生して今まで書いていたGo Johnny Go Go Go を更新できなくなってしまいました(涙)今までの膨大な海外コメディ記事はhttp://komeddy.blog130.fc2.com/です。


2022年12月23日金曜日

最近観たコメディ的なコンテンツの感想です。Avenue 5 Season 2, Live at the Moth Club, Plebs: Soldiers of Romeとか

 



すでに、 キャメロン→メイ→ジョンソン→トラス→スナク…(あれ?なんか飛ばした?少ないきがする・・・_と体験している我々は、リーダー交代にはトラウマ的な恐怖しかありません。仮に本当にTwitter CEOが交代になったとしても、

とか

とかみたいなことを簡単に想像できるわけです。

そんなわけで、引き続きTwitterで呟いててもまるで信用できないので、オールドスクールなブログに忘備録しときます。


1)Avenue 5 シーズン2がついに英国にも降臨。(HBO, NOWTV)

シーズン1の絶賛はこちら



今年秋にHBOで放送開始になってから、クリエイターのイアヌーチ先生が、英国民をがん無視してのハッシュタグRT攻撃の合間に賢者の言葉的なポリティカルツイートをするという、ハッシュタグミュートもちょっとしづらい(→S1から引っ張って来てのリファランスもある)スポイラー回避技術がえらく上達しました。
個人的な自慢をご報告した上で、今回のシリーズ。結構、笑えないです。
というのも、このプロットって完全にオレたちのことだよね?という内容だからです。どの国に住んでいても、自分の住む国をAvenue 5に例えたら、臨場感たけなわ。状況を改善しようと行うことの矗一が状況を悪化に導いていくのです。なんとかできる能力のある人が誰一人いない(しいていえばエンジニアのビリーが一番まとも)なかで、何を!誰を!犠牲にするかの発案と決断と行動とそのリアクションをみてると、現実の世界の権力者たちが「ああ、こうやって(オレらを)犠牲にすることになっているのか・・・」と、変な意味で理解。笑えるんですけど、シャレんなんないですね。
あとは、シーズン1以降出てこれないはずのDaisy May Cooperがガッツリ登場していて、ピカピカにかがやいておいしいところをとっていってます。

2) (何かの賞にノミネートされたらしい)Live at the Moth Club (DAVE UKTV)





昔はたまーーーにバスデンさんが、ここ数年は(ひょこひょこ)サム・キャンベルくんが出没するせいで、観に行けもしないくせにDMメーリングリストに登録しているKnock2Backコメディがありまして。そのコメディ・ライブがロンドンの北にあるMoth Club(Hackneyあたり)で行われるんですよ。このシリーズはそのライブを収録しました、という名目のモキュメンタリ―なんです。舞台裏のスタッフ(マーク・ヒープとかをはじめ、Stath Let Flatsで同じみの面々)をレギュラー陣に、ライブ芸人さんたちはライブ芸人として登場し、ライブをライブ観客の前でやるという。
意外と、もっと前から誰か思い立ってもよさげなフォーマットなのに、今までやったことある人いなかったよねというシリーズです。ライブ芸人さんらがテレビにおよそ引っ張り上げられない手合いの、ガチのライブ芸人さん(Knock2Backのコメディライブをガチ反映している)なのも、素晴らしかったですし。サム・キャンベル、サム・キャンベル、サム・キャンベル君も芸人として出てるしね!



Knock2BackはCardinal Burnsの2人が仕切ってるんですけど(名前貸してるというか実際に動かしてるんじゃなくてエグゼクティヴプロデューサー的な位置)、この二人ってもう最近は役者業ばっかりでなかなか二人でライブ、とかガチのコメディってやってないですよね? 
ep1 とep2で紹介がてら「映画を撮ることになったので何人か才能ある芸人さんをピックしたい」という設定で登場するんですけど、この1&2話だけ、ぶっとんでて、ロジカルな展開をまる無視して繰り広げられていきます。この1&2話がすきだと、3話以降が「普通」になっちゃってちょっと物足りないかも・・・ 
Dave(UKTV)はただで見れるので、ぜひみてください。


3. Plebs: Soldiers of Rome (CHANNEL4)



このシリーズにいちいちしつこく食いつているのは、このシリーズのクリエイターと作家がバスデンさんだからです。ITV3なのに。

シリーズについてのもともとの!説明はたぶんここが一番いいかも・・(十年も前だ・・・)→ http://komeddy.blog130.fc2.com/blog-entry-439.html

シリーズはね、5で終わったんですよ。そのあと、こんな特番作ってるみたいなニュースをずいぶんまえに聞いた気がするけど、2020-2021の二年間ってコメディ的に死んでるんで、すっかり忘れてたんですね。そしたら、奥さん、そんな死亡期間中に、バスデンさんてば凝りもせず、インスタのアカウント作ってですね。こんなポスティングしまして。

ちゃんとギリギリ、オンエア前に告知してました。なんだろう。この、できないくせにあきらめずSNSをやろうとする心意気にもやもやする自分は・・・(→オレが文句を言うのは失礼ではないと思っている)

前置きがまた長くなりましたが、このクリスマス特番、本当は映画館的ななにかで上映するつもりだったの?というfeature length な尺で1時間24分!(だったかな?)んでもって、すんごい!ちゃんと!一昔前の時代劇コメディくらいな見栄えのあるくらいお金使ってですね! ふつうの王道なコメディドラマになってて、びっくりですよ! 
全然!見る価値あります。

話としては、前シーズンまでで元トイレを改造してパブ経営してたじゃないですか。そこにローマ軍の兵隊たちが戦争(どの戦争だっけ?)から帰還して、その貢献をたたえられ、街中でただで飲み食いするんですよね。で元トイレのバーでもコンプリメンタリーっつって、ただで飲み食いにご招待するんです。マーカス(トム・ローゼンタール)の知らんところでジェイソンが勝手に。で、それを知ったマーカスがあわてて「今からはただじゃなくて払ってもらいますー」って強硬中断させたので、兵士たちが腹いせにパブをvandaliseするんですね。んで、困った連中は「あ、兵隊志願すれば、あいつらみたいに飲み食いただでできるしみんなにちやほやされるんだ」って入隊する・・・よってタイトルが Soldiers of Romeです。
マジで普通に普通なんですけど面白かったんで、おすすめです。

あとはAlways Sunny のポッドキャストにダニー・デヴィートが登場して、クリスマス一番のご褒美くらいに最高のエピソードだったので、それも貼り付けときます。



2022年12月4日日曜日

最近観たコメディ的なコンテンツの感想です。The Banshee of Inisherin/イニシェリン島の精霊, White Lotus S2/ホワイト・ロータスS2, The Rehearsal/リハーサルとか。

 

色々観てるのに、Twitterに垂れ流すだけで、まともに記録に残してないことを先日後悔しまして。

Letterboxdアカウント作って(*)最近観たものを中心に流してた感想をコピペ作業に勤しみ、

https://letterboxd.com/whiteanklesocks/

ここでも、もうちょっと頻繁にまとめてアップしようと思いました。ここんところ叫んでいたのは以下の3作品です。


1)Banshee of Inisherin イニシェリン島の聖霊→2023年1月27日日本で公開

紹介とかあらすじとかは上のリンクでどうぞ。

今年ベスト1の映画じゃないでしょうか? 

他にこれより良かった映画を思い浮かべられません。だってLast Night in Sohoは去年のこの時期だったし!

マーティン・マクドナーが手がける待望すぎる待望の新作です。第79回ヴェネチア国際映画祭では、男優賞&脚本賞を受賞してます。期待を裏切ることなく、最高を生み出す、それが我らのマーティン・マクドナー。何を作ってもだいたい(注:だいたい)素晴らしいしかないのですが、やはりアイルランドものは、ダーク・コメディの観点から一番キタ感がある。後頭部あたりにものすごい重いものをチラつかせながら、残酷かつ極度乾燥しなさいな笑いがスパンスパン。

俳優さんも、おなじみ的な(笑)。加えて、ここ数年注目しかない、バリー・キョ(ケォ)ーガン(注:世界中発音錯綜してるけど、本人がこう言ってる)が出てる。

オレはそれはそれはマーティン・マクドナーが大好きで、お芝居も4作品くらいはロンドンまで行って見に行ったりしてるし、映画はもちろん全部見てるし、プロパーなファンだと思う!ところが、そのファンを証明する証拠ともなる感想がまるでブログ内に見つからず、どうもTwitterに感想流してドヤってただけっぽい。なので、これを機会にちゃんと記録に残そうと思います。


2)White Lotus S2 

絶賛しているSeason 1の感想はこちらです。

HBOって最高すぎませんか? SuccessionとWhite Lotusがあるんですよ。HBOを超える放送局はない。HBOに並ぶ放送局はHBOMax。

シーズン2のさらなる注目は何しろ、ウィル・シャープくんが投入されることだったので、それはそれは楽しみにしてイギリスで配信開始日には全ての環境を整え(→電気毛布とお茶の用意)満喫してます。

今回はイタリアのシシリア(?)にあるゴージャスなホテルリゾート「ホワイト・ロータス」で展開。超金持ちのタニアとタニアのダンナさんになったグレッグを除き、登場人物は総入れ替えです。毒々しいやりとりは相変わらず、これからやってくるであろうクライマックスに向けての仕込みが着々と進行中。今回のターゲットは「(性)欲」にフォーカスした men's suprimacyベースの男女関係かなぁ。男尊女卑、何かにつけて、女性が不利な状況になってしまう。古代ローマ、ギリシャ神話まで掘り下げてる匂いがプンプンなので、マジで目が離せません。

以下が主な登場人物です。

タニア:S1で母を亡くした傷心を癒すためにマウイ島のホワイトロータスに行き、そこで出会ったグレッグと結婚。しかし同居はしていない&グレッグはめちゃくちゃ忙しいようで、今回彼の「ホワイトロータスで落合い、1週間ロマンティックなひと時を過ごそう」という提案により、やってきます・・・が!!が!!

ポーシア:思いっきり非日常な冒険をしてみたいと憧れるものの、そんなチャンスも勇気もなく、ありきたりの生活を送ってきた女の子です。今回タニアのアシスタントとして雇われてホワイト・ロータスにやってきます。タニアは一人でいるのが嫌なので、必要なときは常に瞬時で彼女のそばにいないといけないわりに、夫グレッグがいるときは「存在を消してちょうだい!」と部屋に自己隔離を命じられる。とはいえ、ずっと篭っているわけにもいかないので、リゾートホテル内で食事をしたりはするのですが・・・そこで親子三世代でやってきた旅行客のアルビーに話しかけられます。アルビーはスタンフォード大学生でめちゃくちゃいい子なんだけど、非日常の冒険ランデブーとはちょっと違う、なんて思っているところに・・・!思っているところに!

アルビー:シシリーにルーツを持つというイタリア系アメリカンで、今回おじいちゃんのバートとお父さんのドミニクと男三世代でホワイト・ロータスへ。本来はお母さんも含めての家族旅行であるべきなのでしょうが、ドミニクがあっちの女性こっちの女性に手を出しまくりが治らず(→セックス中毒とのこと)お母さんは縁をブチ切っている状況。というわけで、男3人。ポーシアと出会い、彼女に好感を持つのですが…!!! が、が、が!!!

ドミニクアルビーのお父さん。妻となんとか和解し、よりを戻したい。そのために全てを尽くす、と息子にも自分にも「本気で」言い聞かせている。言い聞かせているけども! 下半身とモージョーは正反対なんですよ。ホワイト・ロータスのエリアでも、ネットの出会い系ですでにやりとりをしていて、到着したその夜、お父さんの部屋のドアをノックする音が…

ルシア&ミーア:そのドミニクとやりとりをしていたのが地元の若く魅力的で野心的な女性ルシア。目的のためにドミニクみたいな男性と一晩過ごしてお金をあら稼ぐことも気にしないでやっちゃいます。後半闇が見えてくる感じ・・・一方、友人ミーアは抵抗あるものの、プロのシンガーになりたいという夢のために、ホテルのレストラン・バーで歌うジュセピーに近づきますが…

キャメロン: 奥さんのダフネ、そして学生時代からの友人イーサンと彼の奥さんハーパーとともにホワイト・ロータスへやってきた投資家金持ち。ハーパーキャメロンと正反対の性格のため、到着時から居心地の悪い空気がダダ漏れており、ものすごいsubtle な火花が。またダフネとはラブラブ(死語)の様子なのですが、うーん胡散臭い(笑)

ダフネ:キャメロンの奥さんで、見たくないものには目をつぶる系の奥さん。いわゆるインスタ系で、夫とラブラブ、お金持ち、可愛いお子さん(→今回お子さんをおいてホワイト・ロータスに来ている)と完璧そうな生活の裏には・・・。ダフネはギリシア神話でアポロの執拗なアプローチから逃れるために木になったじゃないですか。Redditファンダムでは、これと絡んでるんじゃないか、って深読みしてます。

ハーパー:イーサンの妻で文化系・インテリ女子グループ旅行にイヤイヤきています(ハーパーやってるのがオーブリー・プラザ)はプエルトリコの家系なのですが、キャメロンがそういう角度から攻撃する。ただオレ、プエルトリコのことやアメリカでのプエルトリコの差別的イメージとか知らないので、ちゃんと拾えてない気がして悔しいです。Redditのお世話になってる。

イーサン:(ウィル・シャープがやってる)ハーパーの旦那さんで、めちゃくちゃいい人だけど、言動力?にかけるというか。どうもキャメロンに引っ張られがちで、ノーと言わない傾向に。ここの夫婦は、互いを信頼しあっていて、情愛&欲、というよりは、人間同士のつながりがベースで夫婦関係を築いているのだけど、あることがもとで、ぎくしゃくし始めます。

あと、ホテルのマネージャーや、(トム・ホランダー率いる)ハイエンド・ゲイのグループがめちゃくちゃ注目なのですが、ストーリーが進むと出てくる注目どころなので置いときます。


3) The Rehearsal 

The Rehearsalについては、まるで知らなかったのですが、This is Importantを聴いていて、DersとBlakeが「今まで見たこともない番組だけど、なぜこれを思いつかなかったんだ!っていうような盲点をついた傑作」っと絶賛していて、何?!と。HBOなので、NowTVで放送してました。

一言でまとめると、メタ沼の最高峰。すごいんですよ。素人さん相手に「何か大きな壁や問題を抱えていて、をれを乗り越えなければいけない。その乗り越える「本番」にむけて、リハーサルをご用意します」という名目で展開します。1話目は履歴書に嘘ついてた男性が彼に信頼をおいている上司の女性に真実を伝える、というもので、その告白をする予定のバーそっくりのセットを作り、上司の女性を完璧に演じる役者さんを揃え、納得いくまで繰り返し「リハーサル」する。

2話目以降に、子供を産んで育てたい独身女性の「出産&子育てリハーサル」を始めるんですけど、彼女の思い描く設定通りに全てをセットアップし、1週間ごとに子供が数年後に成長していくパターンで、リハーサルしてくんですよ。赤ちゃんから子供も全部!仕込んで。すごいのが、「リハーサル」はあくまでリハーサル(作り物)じゃないですか。「リハーサル」を作る過程にある「リアル」が「リハーサル」に影響をしていくんです。で、それを調整するために、きたる現実に向けての完璧な準備になるような「リハーサル」にするために、「リハーサル」のリハーサルをやっていくんですよ。わっだふぁっく?です。すごいんです。後半、顎が外れるかと思うほど開いた口が塞がらない・・・っていうのかしら(汗)

このシリーズ、カナダ出身のコメディアン、ネイサン・フィルダーが作っています。かつてディミトリ・マーティンとかと一緒にツアーをやっていたので、ああいう(笑)トーンの芸人さんだな、という印象**。まあパーソナですけど。

素人さん相手に色々実験しちゃう芸人さんで、Comedy Centralで、’経営苦戦している商売をお助けします’って、全然お助けにならないようなことやっちゃうパロディ・リアリティ・ショー(?)「Nathan for You」をご覧になったことがある方もいらっしゃるんでは・・・?

というわけで今回は、以上です。ぜひ3本とも超おすすめなので、見てください!


(*) Mastodonアカウントは作ったわいいけど、フォローしたい人も上手に見つけられない状況で、放置してます。アクションを起こす気力もない…

(**) と書いていて、まるでディミリトリ・マーティンのエントリーがなかった…(愕然)