エディンバラで映画&文学&カルチャーゆかりのお散歩ツアー催行中

2025年5月6日火曜日

2025年春(?)最近(?)おすすめしたいコメディ系のコンテンツです(バスデン情報を含む)その2 The Ballad of Wallis Island(ネタバレるよ), セス・ローゲンのThe Studio ほか

こんにちは。 

まずは、

1)ついにもうすぐUKで公開されるバスデン&キーwith マリガンの「The Ballad of Wallis Island 」(その1で経緯説明済)

【映画のお話は・・・】

基本的には元々の短編映画と同じなんですが、マリガンがミュージシャン、マグワイア(バスデンさん)の元奥さん、ネル役で加わるんですね。で、彼女は音楽でもともに活動していてマグワイアとのユニットでたくさんの名曲を生み出していた、と。しかし、ユニットは解散し、二人の夫婦仲もピリオドを打ち、長いこと連絡も取り合ってない。マグワイアはソロ活動を続けているけど、鳴かず飛ばずっぽいし、ズレた方向に進んでいるっぽい。

そんななかで、マグワイアが人がほとんど住んでいない小さな島に住むチャールズ(ティム・キー)が音楽フェスティバルを開くので出演してほしい、ギャラはがっつり払うから、という依頼を受け、島を訪ねるんですね。まさか、その音楽フェスってお客さんがティムキーだけ、ということも、ティムキーが、ネルも招待しているとも知らずに・・・。

【感想】***ネタバレます⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️***

2週間くらい前に地元映画館で開催されたプレビュー見まして、ボロ泣きしました。実は!バスデンさんやティムキーの才能に感動して涙したことはありますが、彼らの作る話でボロ泣いたことは今まで一度たりともないんです。今年ボロボロ泣いた映画、これが最初かもしれない・・・

チャールズが50万ポンド(注:宝くじで当てたお金。なぜか異常に運がいい)を積んでまでして手に入れたかった奇跡はマグアイアとネルの音楽のケミカルスパークなんです。ふたりの音楽には、実は亡き奥さんとの思い出にも繋がっている。だから、彼らが起こすケミカルスパークはチャールズが失ってしまった幸せのかけらでもある。ほんのいっときでもいいから、願いを叶えてほしい、っていう切なる思いなんですよね。

でもですね、そのマグアイアとネルのケミカルって、音楽を超えた、人生のパートナーとしての愛もある程度影響していたってことは否めないんですよね。切り離したくても切り離せない、不完全なる人間の性なんです。離婚して、互いに別の道を歩んでいて、さらにネルには新しいパートナーと新しい命も育まれている状況下、完璧主義のアーティストであるが故に、今二人で奏でる音楽は違う、と考えるマグアイア。結果的にネルは島を去ります。

音楽がもたらす奇跡、そして幸せってものが、なんと儚いものなのか、こんなに繊細に綺麗にそして抜群のセンスで描かれているミニマリズムな映画ってあるでしょうか? 

いや、同レベルはあるかもしれないけど、これ以上は、ない。

です。ないです。

マリガンは、元々の短編のことも、ティムキーとバスデンさんのことも、このファンダムのことも全てをものごっつ!わかってることを証明するかのように、究極にベストなところでこの映画を退場(?っていうのかな?)するんですよ。だから、ティムキーとバスデンさんのケミカルスパークがちゃんと堪能できるの!! 

とはいえ、なんでイギリスが最初に公開にならなかったのかって、戦略なんだろうな、と思いました。ティムキー&バスデンのファン層が非常に大きい&強いので(→真顔)、たとえイギリスで興行成績はじいたとしても、他の国で「だって二人のこと知ってるから数字が伸びたんでしょ」って変な色眼鏡で見られちゃって、ドメのネームバリューが作品自体が国境を超えたこの層(=リベラルアーティ層)に響くっていう素晴らしさが、スッと入ってこなそう。アメリカのSXSWから、ってのが頭いい戦略だったと思います。Focus Features やるじゃん。Baby Cow(制作)もクーガンでたくさん経験積んだしな。(→クーガンが元々設立者の一人の会社)

げえええええええ。トレーラーのビューイング数、ごひゃくまん

どうしよう(何が)

これはもはや、日本公開の日も近いのではないでしょうか・・・ひたすらひたすらひたすらに推して推して推してきたふたりの作品が、16年の月日を得て、日本上陸してくれるのかしら。

マリガンはボーくんの日本上陸にも大貢献してくれてるので、本当に感謝しかない・・・。



2)今年1月里帰りをした際に、会った人誰一人まともにApple TVを見てなかったんですけど、一体どういうことですか!!!

Apple TVのコンテンツ一番ヤバいと思います! ねずみープラスとか、ろくすっぽ見るものがない、と思うそこのあなた、そんなあなたにApple TVです。Slow HorsesとSeveranceは見ないといけないやつだと思います。

そして今年4月から、新たに鬼素晴らしいコメディシリーズが配信開始になったんですよ。Apple TVのコメディって試したけど、ぬるくてあんまり・・・と思っているそこのあなた、騙されたと思ってこれを見てください。セス・ローゲンのThe Studioです。

【お話】

映画へ馳せるピュアな気持ちは心に持ちながらも、お金と政治の波に飲まれて溺れてヘロヘロになりながら生き延びるハリウッド・スタジオのエグゼクティヴを中心に描かれる、ほぼほぼワンショット(に近い)・コメディです。今年おそらく一番話題のネトフリのドラマシリーズ、アドレッセンスが、驚愕の1話完全ワンショットで、嘘だろ無理だろどうやって??の連続シーンを見せつけてくれてしまったせいで、全然、映像で誰も驚けなくなってしまったんですが、相当すごいんですよ、実は。8話目だったかな? ゴールデングローヴ賞だったかの完全再現をほぼほぼ、ワンショットでやるんですけど、本当もっと評価されてもいいと思う!

あの、ロバート・アルトマン&ティム・ロビンスの名作映画「The Player」覚えてらっしゃいますかね? オープニングシーン覚えてらっしゃいますかね。多分あの映画とあのシーンが影響してるシリーズのはずなんですよ(調べてない)と言うのも、ティム・ロビンスの扮したグリフィン・ミルズがコンティネンタル(スタジオの会社名)のボスなんです。theStudioでグリフィン・ミルズを演じてるのは、ブレイキング・バッドだったBryan Cranstonですけど。これ、こちらの映画レビューといえばのマーク・カーモードが言ってて、うああああああ!って思いました。

あと、脚本のクオリティが良すぎです。セス・ローゲンの書く作品に関しては元々高い期待を寄せる派なのですが、今回は、マジで、ピカイチです。心にのこる、メモしておきたい名セリフいっぱい。 

確かにですね。いい映画を作りたくても、お金と政治とコンプラとスポンサーとえらい監督や人気の俳優などのしがらみで、全てが予想だにせぬ方向へコロコロ転がってく様を描く、というのは、HBOのThe Franchiseでもありました。イアヌーチ先生の息がかかっているので、こんなこと言うのは本当に大変心苦しいのですが、このThe Franchiseでやりたかったことが、このThe Studioなんじゃないかと思います。

って言うくらい、素晴らしいんです。

というわけで、超おすすめです。よろしくお願いします。

2025年春? 最近(?)おすすめしたいコメディ係コンテンツです (バスデン情報を含む)その1

こんにちは。

随分ご無沙汰しているのですが、3月末にアメリカで、バスデンさんとティムキーの(元々短編だった)The Ballad of Wallis Islandが(長編フィーチャーになって、キャリー・マリガンがメインキャストの一人に加わって、トマトメーターも97%とかなので、ここの忘備録を更新しようと思い立ちました。

この映画の制作発表は2023年5月だったんですね・・・。忘備録ってこういう時に便利が良いです。

http://www.gojohnnygogogo2.com/2023/05/blog-post.html

ちなみに、アメリカ先行公開、イギリスでの一般公開は5月末なんですよ。嘘でしょ。グラスゴー映画祭のシークレット映画で見逃し(何しろシークレットなので見逃すしかない)来週の地元の映画館で先行プレビュー。ローカルのクラスタは全員行くんじゃないかしら(つまりオレは行く)

Accidental Death of an Anarchistにてウエストエンド・デビュー時にリポストというファンクションを学んだバスデンさんは、まめにインスタの(誰かの絶賛ポスティングの)リポストをしてくれています。

ちなみにサントラはすでにAvailableです。下記Spotifyリンク。普通に素晴らしいです。エコ贔屓とかじゃなくて、普通に!素晴らしいアルバムです。信じて。買った方がいいと思います。

https://open.spotify.com/album/3JpQrQ3nnV6ore1iSywyZe?si=R4h-86KbSZ6w46DC3dOkZw&nd=1&dlsi=1d7a12130e3f4719

ローカルクラスタの間では、元々の短編(30分くらいだけど)が大好きすぎて、このフィーチャー映画がどんな感じで変わっちゃって、好きになれなかったらどうしようと不安に思っているものもおります(注:オレではない)その点も含めて、来週見に行ったら感想を書き、日本公開時にも大きく大きく声をあげていきたいと思っています。

その他の最近の(?)おすすめは・・・

1)(満を持して?)英国版ドキュメンタル配信。予想以上に日本オリジナルの真逆を行った内容でしたので、感想。

ちなみにこの件に関しては、コロナ渦中に3本くらい上げてます


ご存知かと思いますが、ドキュメンタルのフランチャイズはすごい広がっていて、今回の英国版を含めて28カ国です。(注:なぜかアメリカはまだやってない)

その一方で、フォーマットを日本と同じにしている国はどこにもなく、オレの知る限りでは、オーストラリア版のフォーマットと足並み揃えています。

英国版が出る前にアイルランド版が配信された時は、超有名なグレアム・ノートン、アシュリン・ビーというビッグネームが名を連ねていたので、かなり評判になりました。

で、今回の英国版。以下箇条書きです。
  • とにかくメンバーがすごい、です。ただ豪華なだけじゃなくて、この(有名な)コメディアン(&コメディ・パーソナリティ)で観てみたいと思わせてくれる種類のキャスティング。予算もあるんでしょうけど、制作側の本気度と丁寧さが伝わります。
  • テレビで活躍してる人たちばっかりだからかもしれないけど、エシカル・倫理基準が本能で最高レベルの人たちばかりを集められてます。表もついつい、ポロリ、はこのメンバーでは
    • Jimmy Carr:オリジナルでは松ちゃんのポジションでオーストラリアではレベル・ウィルソンのポジション。TVのパネルショーもいくつか持ってるし、ライブツアーも現役で行ってるし、適役ですよね(深くは掘りません)
    • Rosin ConatyこのブログではMan Down(テレビシリーズ)とかTaskmasterで何回か書いたことあります。挑戦者じゃなくて、Jimmy Carrだけだと間が持たないとかあるのかしら、一緒に笑う人として最初からモニター室にずっといました・・・ http://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Roisin%20Conaty
    • 挑戦者例:Bob Mortimer この感想を読んでくださる方に説明は不要ですが、念のため。この人出るから普段テレビ見ない人も見る、っていうくらい素晴らしいものを見せてくれる笑いの魔法使いみたいな人ですね。30年以上この信頼とハイレベルな笑いの提供は、さすがになかなか、ない。
    • 挑戦者例:Daisy May Cooper This Countryでとんでもない才能を全国規模で披露してくれて以来、大人気ですね。詳しくはhttp://www.gojohnnygogogo2.com/search/label/Daisy%20May%20Cooper
    • 挑戦者例:Richard Ayoade テレビのバラエティではこの人出てるからクオリティがワンランクアップを保証される人ですね。IT Crowd、映画脚本監督、本執筆、テレビ番組の司会担当などなど。無表情が売り的なところがあるので、「笑うところが見たい」「誰に笑かされるのか」という、フランチャイズ版のドキュメンタルに一番高い付加価値をつけてくれる人物じゃないかと思うんですよね
    • 挑戦者例:Joe Wilkinson多分Countdownシリーズとかで芸風はすっかり浸透してるかと思いますが、想像つかないことをいきなりやるのが得意なのと見てる側もその期待感が高いのでナイスキャスティング。
    • 挑戦者例:Judi Love Taskmasterにもすでに出てますし、今ウィキで確認したらStrictly Comes Dancing にも出てますね。オレがテレビのバラエティをほとんど見ないので、あまり深く知らないのですが、番組の倫理レベル上げるのに絶対必要で最適役の一人ですよね
  • 強いのは、 Joe Wilkinson、Richard Ayoade、Bob Mortimerだろうなと思ったら、本当にその通りでした。ただ笑っちゃうとアウトなので、その意味でつよかどうかは?個人的にはBob&Mortimer世代なので、Bob Mortimerがやばいです。歌がやばいんです。Taskmasterの大活躍でDaisy May Cooperにも相当期待したんだけど、自分の趣味的には彼女の台本書きの方がハマるのかも。意外とハリエット・キムズリーのノリが女子の中では一番好きだった。
  • 個人的ハイライト、というか、エシカル英国メジャーコメディの真骨頂だな、と思ったのは、ハリエット・ケムズリーの中国人の夫(という設定)からの手紙を(その夫の声で)読み上げる役に任命されたリチャード・アイオーアデの対応ですね。第4話目だったかな。難度の高いボールなので一同緊迫するんですよ。あっぱれでした。
Amazonプライムはメインストリームなんです。


他にもいくつか記録しときたいので、新たなエントリーで続けます。